石造りの遺跡で見る壮大なサンセット『勝連城跡』(うるま市)

沖縄県

小高い丘の上に立つグスクの遺跡。びっしりと積み上げられた石垣は、いかにも遺跡といった情緒にあふれています。今回は夕暮れのタイミングに合わせて訪問しました!

2018/10/6(土)

グスクの遺跡

「城」という漢字が当てられている通り、グスクというのは本土における城のような役割を持っていたとされる建築物。11~15世紀頃に建造されており、グスク時代という時代名称にもなっています。

沖縄本島を中心に遺跡が残されており、今帰仁城跡、座喜味城跡、中城城跡など、いくつかは「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として世界遺産にも登録されています。

今回訪問した勝連城跡は、うるま市の勝連半島の付け根部分にのこされた城跡。開門時間がなく入場料も不要な見学自由スポットなので、1日の最後に組み込みました。

※2018年の訪問当時の情報です。現在は開演時間および入場料が設定されている可能性があります。

ひたすら続く石段

勝連城は丘陵に造られているため斜面の連続!とても攻めにくそうなお城で、見学するにもなかなかハードです。

基本的には石段なのですが、水平なところはほとんどナシ。サンダルだとちょっと登りにくいです。

1458年に廃城となっているため、建物の遺構は残っておりません。入口には勝連城跡鳥瞰図が掲載されており、この図を見ながら登って行くとイメージがしやすいです。

グスクの石垣の積み方は大きく3種類あります。この勝連城跡で見ることができるのは、四角く加工した切石を積み上げる「布積み」と呼ばれる積み方。かなりキレイに積まれています。

壮大なサンセット

広々とした三の曲輪。空がとても近く感じます。

最上部まで上り詰めると、夕日に照らされるうるまの街並みが見渡せます。高台に建つ勝連城跡は抜群のサンセットスポットなのです。

夕日を浴びた遺跡は雰囲気抜群!この時間に来て大正解でした!このまま夜景も見たいけど、街灯などは無いため少し不安。日が完全に落ちる前に下ることにしました。

城跡の見どころ

麓に広がるのは「防御田地(ぼうぎょでんち)」。普段は田んぼですが、有事の際は足場の悪い湿原となり防衛機能としての役割があったそうです。

こちらは「トゥヌムトゥ」。最初木のことを指しているのかと思ったのですが、どうやら地面に並んだ石のことを指すよう。旧暦2月と5月の祭祀(ウマチー)の際に神人たちが腰かけて休憩する場所とのこと。

頂上部分は「玉ノミウヂ御嶽」となっております。城内には必ず「御嶽」と呼ばれる聖域があるのが、本土の城郭とグスクの違いの一つ。

夕暮れでしたが、御嶽を拝むために集まっている人をたくさん見かけました。そのため、写真は撮っておりません。

最後の城主・阿麻和利

勝連城といえば、最後の城主である「阿麻和利(あまわり)」は非常に有名。いったいどのような人物だったのでしょうか。

阿麻和利は15世紀に活躍した按司の一人。悪政を行っていた城主を倒し、10代目の城主となります。人々からの信頼も厚く、海外貿易を積極的に行い、勝連に繁栄をもたらしました。(※按司=あじ、地方の支配者)

力を持っていた阿麻和利に対し、琉球国王も自分の娘を嫁がせるという懐柔策をとります。しかし、最終的には首里城を攻める疑いをかけられ、1458年に琉球王国によって滅ぼされてしまいます。(※天下統一を夢見たとも言われています)

書物により悪人だったり英雄だったりと様々に描かれておりますが、地元では非常に愛されている印象を受けました。「勝てば官軍」という言葉が示す通り、基本的に歴史は勝者こそが正義。そこに歯向かったものは悪人となる場合が多く見受けられます。この阿麻和利も、まさにそんな存在かと思います。

アクセス情報

那覇空港から車で1時間30分、沖縄自動車道を利用すれば1時間ほどでアクセスできます。バスの場合は那覇バスターミナルから約1時間30分のバス停《勝連城跡前》下車後、徒歩1分ほど。

2021年7月には『あまわりパーク』がオープン!ライブシアターなどの体感型コンテンツを備えた歴史ミュージアムで、うるま市の歴史や文化をわかりやすく学ぶことができるそうです。

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