お台場や日本初の鉄道など、港区の様々な歴史を学べるミュージアム。圧巻の建築や、ミンククジラの骨格標本など、見どころはたっぷり。広い館内を探検するような気持ちで楽しめます。
城壁のような資料館
松岡美術館とあわせて訪問したのが、港区立郷土歴史館。まず驚かされるのがその外観。ちいさなミュージアムを想像していたのですが、考えている以上に立派な建造物。

ここは、昭和13年(1938年)に竣工した「旧国立公衆衛生院」の建物を港区が改修した施設。郷土歴史館に加えて、「がん在宅緩和ケア支援センター」や「図書館」「学童クラブ」などが入る複合施設であり、「ゆかしの森」と呼ばれています。
設計は内田祥三(うちだ よしかず)。東京大学工学部の教授であり、本郷キャンパス内大講堂(通称:安田講堂)などを手がけています。いわれてみれば、この建物めっちゃ大学っぽいですね!!
レトロで豪華な館内
建物内部の見学は無料で自由に見学することができます。入口を進むとすぐに見えてくる中央ホールは、床は天然石、壁面は人造の大理石があしらわれた豪華な空間。円形にくり抜かれた吹き抜け部分や、漆喰のレリーフも美意識を感じます。

この公衆衛生院は関東大震災をきっかけに昭和13年(1938年)に設立された施設。国民の保健衛生に関する調査・研究を行う大学のような施設でした。ここ旧院長室は、当時高級であったベニヤ材をふんだんに使用し、最も手の込んだしつらえであったそう。

旧講堂も開放されています。340席の座席が階段状に配置された大きな部屋で、各種式や講演会が行われていました。教壇に向かって左右の壁には、新海竹蔵によるレリーフが埋め込まれています。

港区を学べる常設展示
郷土歴史館は、そんな館内の2フロアにて展示が行われています。受付でチケットを購入後は、QRコードでゲートを抜けて入ることができるというシステム。展示室は撮影禁止となっているのでご注意ください。

常設展示は、港区と海にまつわる資料を集めた「海とひとのダイナミズム」、江戸時代の港区の様子を紹介する「都市と文化のひろがり」、近現代の港区の歴史を学べる「ひとの移動とくらし」の3つのテーマ。
マハゼやクロダイなど東京湾の生き物の生態展示、伊皿子貝塚の貝層断面、江戸時代のお台場の築造、明治期に創立された多数の私立学校、日本初の鉄道の駅である新橋停車場など、港区の歴史を感じることができる様々な展示が盛りだくさん。デジタルコンテンツも備えており、小規模ながらも充実しています。
普段あまり区単位で意識していませんでしたが、あれもこれもあって港区ってすごい!って気持ちになりました。
別料金にて企画展示も開催。「終戦80年戦争を見つめなおそう」というテーマのもと、兵士の写真、寄せ書きされた日章旗、空襲に備えた防毒マスクや鉄兜、空襲の爆弾の破片など、様々なものが展示されていました。

自由にさわれる骨格標本
2階の奥にあるコミュニケーションルーム。こちらは入場無料で撮影可能な展示室です。

シンボルと呼べるのが大きなミンククジラの骨格標本。宮城県鮎川で捕獲された個体であり、体長は9m前後。これでもナガスクジラで最も小さい種類のクジラです。

他にもオウサマペンギンの剥製、アジアゾウの頭骨標本、マッコウクジラの歯なども展示されています。
さらに昭和30年代の家電も展示されています。保温ジャーやテープレコーダー、氷式の冷蔵庫など、今は見かけないものがたくさん。レトロな感じを楽しめます。

この部屋の展示物は基本的に自由にさわってOK!!!
昭和の家電の大きなボタンも、ミンククジラのざらざらした骨格も全ておさわりOK。くじらの骨を展示している施設は数あれど、こんなに自由にさわれるところは滅多にありません。訪問される際は、ぜひこのコミュニケーションルームへの立ち寄りをお忘れなく!
アクセスと営業情報
東京メトロ南北線・都営三田線の「白金台駅」2番出口より徒歩1分。
| 開館時間 | 9:00~17:00 ※土曜は20:00まで |
|---|---|
| 休館日 | 第3木曜、年末年始 |
| 料金 | 300円 |
| 公式サイト | https://www.minato-rekishi.com/ |
※掲載の情報は2025年8月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。


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