多方面で活躍したロイヤルシップ『明治丸海事ミュージアム』(江東区・越中島)

東京都(23区)

豪華仕様の灯台巡回船として造られた明治丸。時代とともに様々な役割を経て、今は東京海洋大学にて保存されています。特定日に限り内部も公開しており、そのゴージャスな仕上がりを見ることができます。ミュージアムや明治時代の天文台も合わせて見学がおすすめです。

訪問日:2024/2/3(土) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

キャンパス内のミュージアム

東京海洋大学の越中島キャンパスに広がる明治丸海事ミュージアムは、国の重要文化財「明治丸」、「百周年記念資料館&明治丸記念館」、現存する日本最古の2つの天文台「第一, 第二観測台」など、見どころが詰まったスポット。

注意点は、いつでも開館しているわけではないということ。2024年2月時点では火曜・木曜・第1,3土曜限定、時間は10:00~15:00と限定的な開館でした。

また明治丸内部も自由見学は不可、ボランティアガイドさんによるガイドツアーに参加しないと入ることはできません。訪問した際は①10:15②11:15③12:15④13:15⑤14:15の1日5回催行、百周年記念資料館が受付でした。

ガイドさんに尋ねてみたところ、「一応時間は決めてますが、土曜など来客が多いときは随時開催していますよ」とのこと。実際私も何も知らずに訪れたところ、13:45頃からツアーが出発しました。

ちなみにツアーの所要時間は1時間程度でした。時間には余裕を持っていくのがベターです。

様々な役割を担う明治丸

明治7年に竣工した明治丸。一等飛脚船同様の出来と言われたこの船は、特別室やサロンを備えた豪華仕様の燈台巡回船として造られました。

明治8年(1875年)、小笠原諸島の領有権問題が生じた際、日本政府の調査団を乗せ、英国船より早く小笠原に到達。このことによって、小笠原諸島は日本の領土となりました。もし明治丸が無かったら、小笠原諸島はイギリスかアメリカの領土となっていたかもしれません。

明治9年(1876年)、明治天皇の東北・北海道巡幸の際は、天皇陛下を乗せるという重要な役割を担います。この際、函館経由で横浜に帰着した7月20日は、昭和に「海の日」という祝日に制定されました。

大正12年(1923年)の関東大震災や、昭和20年(1945年)の東京大空襲では、被災した多くの住民を収容し災害救援にも貢献しています。

戦後は占領軍に接収されダンスホールなどとして利用されます。まともに整備されることもなかったため、漏水してしまいました。接収の解除にともない引き揚げ、復元されていきます。

昭和53年(1978年)に船としてはじめて重要文化財に指定されます。その後も何度か保存修理が行われ、平成25年(2013年)より、大規模修復工事が開始。平成27年(2015年)3月に竣工し、その美しい姿がよみがえりました。

現在の船は鋼材が主流ですが、この明治丸は鉄でできた鉄船。溶接技術このない時代、鉄板をリベットで繋げられました。通常はリベットの頭が露出していますが、この明治丸はそれが見えないように仕上げられています。

豪華な仕上がりの船内

今回はガイドツアーに参加しているので、船内へと進むことができます。デッキでは、あちこちを綺麗に掃除している人の姿が。いずれもボランティアで保存活動を行っているそうです。

階段を降りて船内へ進むと、そこはサロン。天窓からの自然光が降り注ぐ開放的な空間に、円形ソファや長テーブルが設置されています。椅子の背もたれの位置を前後に動かすことができるのがとってもユニーク。

こちらは御座所。前述の明治天皇の東北・北海道巡幸の際に天皇が生活した部屋です。応接室・寝室・バスルームの3室が続いているそう。

こちらはパントリー(配膳室)。床と天井に見える丸い跡は、マストを取り払った跡。もともと明治丸は2本マストでしたが、1898年に3本マストに変更されたため、その名残なのです。

百周年記念資料館

こちらは百周年記念資料館。三菱商船学校からはじまる東京海洋大学の100周年記念として昭和50年(1975年)に建築された施設。明治丸見学の受付でもあり、無料で見学できるミュージアムでもあります。

館内では商船教育史と、その周辺の海事史を物語る資料を収集展示。様々な帆船の模型や、操舵輪、短波受信機、信号灯といった実際の船に搭載されていた様々な設備を見ることができます。

ずらりと並ぶ錨模型。らせん型のスクリューアンカー、円形のマッシュルームアンカー、5本爪のグラブネルスアンカーなど、様々なカタチの錨は見ごたえがあります。

百周年記念資料館は、明治丸記念館につながっています。こちらでは明治丸の歴史を記した年表や明治丸の建造指示書・重要文化財指定書、明治丸内部で使用されていた銀製の食器類などが展示されています。

明治時代の天文台

敷地内には明治36(1903)年に建設された貴重な明治期の天文台建築も残されています。こちらの「第一観測台」は煉瓦造2階建て。1階は八角、2階は円形という独特な姿をしています。現存する日本最古のドーム屋根形状の天体観測室であるそう。

この円形ドームは360度の開放機能を持っており、手動で回転可能でした。内部には赤道儀式天体望遠鏡が備えられていたそうです。

すぐ側には「第二観測台」の姿も。煉瓦造平屋建てで、平面は八角形、屋根は八角錐鉄板葺き。天体の子午線通過時刻を精密に測定して、精確な経度の測定、あるいは時刻の決定ができました。

この2つはいずれも1903年6月に建設されたもの。現存する中で日本最古といわれる天文台なのです。明治丸を見学に来た際は、ぜひこちらもお見逃しなく!

アクセスと営業情報

・東京メトロ東西線の「門前仲町」駅より徒歩約10分
・都営大江戸線の「月島」駅より徒歩約10分
・JR京葉線の「越中島」駅 より徒歩約2分

開館時間 10:00~15:00
開館日 火曜・木曜・第1,3土曜限定
料金 無料
公式サイト https://kaiyou-juku.org/

※掲載の情報は2024年2月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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