普通の植物園じゃない!禁じられたあの植物も見れる『東京都薬用植物園』(東大和市)

東京都(市町村部・多摩地区)

「薬用」というコトバが示す通り、様々な利用がされる植物を栽培している植物園。漢方や染料に利用される草木や毒草など、一風変わった植物を多数見ることができます。厳重なフェンスで囲われた中には、法律で禁止されているあの植物の姿が・・・!

訪問日:2024/8/4(日) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

一風変わった植物園

西武拝島線の東大和市駅の近くにある東京都薬用植物園。1946年に薬務行政の一環として設立された施設です。

観光スポットとして知られているような植物園とは少々異なる施設ですが、一般開放されているため、誰でも予約不要で見学することができます。入園料は無料で、受付も不要でした。

園内はいくつもの区画に分かれています。それぞれテーマがあるのですが、「漢方薬原料植物区」「製薬原料植物区」など他では見かけないような区分。種類を印した白いプレートも立てられており、ときおり解説が記載されているものも。まるで野外博物館のような、学べる植物園です。

毒と薬は紙一重

「漢方植物区」でみかけたマオウ。トクサのような節のある低木で、小さな赤い花がとってもかわいらしい。麻黄湯、葛根湯などに処方されるそうです。

「製薬原料植物区」で花を咲かせていたニチニチソウ。白血病、悪性リンパ腫などに使用する抗腫瘍剤に使用される成分を含んでいるそう。薬草ときくと大昔に利用されていたようなイメージですが、現代の薬に利用される植物も多数存在しているのです。

薬草だけでなく、毒をもつ植物を集めた「有毒植物区」もあります。オニドコロはジオスシンという有毒成分を含んでおり、大量に食べると嘔吐などを引き起こします。昔はサカナを獲るのに使用したそうですが、その使い方は根を砕いて川に流し、魚を麻痺させるという大胆な活用法であったそう。

毒草であっても有効な利用法があったり、薬草であっても間違えれば毒になったりと、園内の案内を歩いていると「毒と薬は紙一重」というコトバを実感します。

華やかな熱帯温室

入口付近には建つのは熱帯温室。熱帯性の華やかな植物や巨大な葉を持つ植物など、個性的なラインナップがそろっています。

こちらはサンジャクバナナ。1mはあるかという巨大な葉がインパクト抜群ですが、バナナの中では小型種であるそう。

訪問した際はカカオの果実が実っていました。果実が成熟したのち、中の種子を取り出して発酵させるとカカオ豆に、それをローストしてすりつぶし、砂糖・ミルク・香料などを加えて固めるとチョコレートが完成します。

厳重に警備された区画

そんな園内を歩いていると、青いシートに包まれた区画が。二重のフェンスに覆われており、「監視カメラ作動中」の記載も。物々しい雰囲気です。

ここは、「ケシ・アサ試験区」。日本では栽培が禁止されている種類のケシやアサを研究用に栽培しており、実物を見ることができる貴重な区画です。

細長い葉のアサ。雌花の花穂や葉にテトラヒドロカンナビノールという幻覚成分を含んでおり、栽培・所持などが禁止されています。

ケシの仲間では栽培が禁止されていないものもありますが、アサの隣にあるハカマオニゲシは全草に麻薬の原料となるテバインを含有しているため禁止されている種。5〜6月に訪れると、花が咲く姿も見ることができるそうです。

そんな中に混じっているのがエビスグサ。生薬「ケツメイシ」の原材料として知られる植物ですが、禁止されているわけではなさそう。なぜこの区画で栽培されているのか気になるところです。

薬事資料館

駐車場の傍らには薬事資料館が立っており、こちらも園内同様自由に見学可能。独特の香りが立ち込める展示室。薬用植物園四季を映し出した映像がエンドレスで流れています。

ずらりと並ぶ生薬。植物由来のものだけでなく、動物性のものも。原料となるセンザンコウの剥製や鹿の角、ヨウジウオの標本なども並んでいました。

アヘンから作られた医薬品も展示されています。モルヒネ、コデインリン酸など、意外と馴染みあるものも。思ったより身近な存在というのが驚きです・・・!

気になる名前の植物

園内の植物を見ていると、気になるのはその名前。なかなか個性的な名前の植物を見かけたので、最後に紹介させてください!

こちらはボケ。ユニークな名前の植物では代表格とも呼べそうです。

あの日見た花の名前を僕達はまだ・・・・

民間薬として、傷やあかぎれに利用されることもあるそうです。

「ゴミムシ」や「バカガイ」のようにかわいそうな名前の生き物は多数存在していますが、個人的に最もかわいそうだなと感じる名前がこちら。

クソニンジン・・・・

ちなみにニンジンと付きますが、ヨモギの仲間。抗マラリア薬「アルテミシニン」の原料であり、解熱・皮膚のかゆみ止めにも用いるそうです。ぜんぜんクソじゃない感じがしますが、特異な異臭があるのが名前の由来とのことです。

アクセスと営業情報

西武拝島線の東大和市駅より徒歩2分。

開園時間 4~9月:9:00~16:30
10~3月:9:00~16:00
休園日 月曜、年末年始
料金 無料
公式サイト https://www.city.kodaira.tokyo.jp/kurashi/072/072025.html

※掲載の情報は2024年8月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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