竹林に包まれて横たわるのは巨大な石造物。下部には格子状の模様、上部には正方形の2つの溝があり、明らかに人為的に加工された様子を見ることができます。この不思議な石は、いったい何のために造られたのでしょうか・・・?
竹林の中へ
飛鳥には、古代に造られた不思議な石造物が多数散らばっています。その中でも最大といわれるのが益田岩船。
前回ご紹介した「亀形石造物」や「鬼の雪隠・俎」は他の観光スポットとあわせて巡りやすい位置にありますが、この益田岩船は中心から少し離れています。少々わかりにくいのですが、「白橿西集会所」のそばに、岩船に通じる道が。
竹林の中の階段を進んで行きます。今日は9日間の旅の最終日。長旅のつかれもあって息が上がりますが、ラストスパートです!
上った先は未舗装の山道に突入。切り通しのような道を進んで行きます。雨の後だとぬかるむ箇所も多そうです。
あたりが竹林になり、道が平坦になってきたらもうすぐそこ!
格子状に削られた巨石
登り口からわずか5分!鎮座する巨大な岩が姿を現します。
イメージしていたよりもずっと大きい!東西11m、南北8m、高さ4.7mという規模。飛鳥に残る石造物の中でも最大級とのこと。
下部には格子状の溝を見るとことができます。表面を平らにするための加工法が途中までされたものであるそう。前回書いた「亀石」にも見られるようですが、私は見逃してしまいました。
人工的な2つの溝
よく写真を見かける岩船らしき姿をみるには、もう少しだけ上ります。
上から見下ろすと、大きな石に四角形の2つの溝が空いていることがわかります。もとの石が大きいので、この溝もなかなかの大きさ。一辺の長さが1.6mと、畳2畳分くらいあります。
片方は水が溜まっておりますが、もう片方は見えません。地面に抜けているのか、それとも深さが違うのか気になるところです。
何のための石造物か
あきらかに人工的に形作られた姿ですが、いったい何のためのに造られた石造物なのでしょうか。
この石の用途は、「石碑の台石」、「占星術用の観測台」、「火葬墳墓」など様々な説があるそう。中でも有力なのは「古墳の石室」説。すぐ近くにある「牽牛子塚古墳(けんごしづかこふん)」の石室は巨大な岩をくりぬいて造った「石槨(せっかく)」と呼ばれるタイプ。この岩船も横に倒して、上部の溝に棺を納めていたのではないかという考えです。
でも、なぜ古墳のないこの場所でこの向きなのか。たまたまこの地に巨石があり、本番前のテストとして加工したとかならば納得できるかもしれません。
何かのパーツと考えるとロマンがあります。何かがぴったりハマりそうな造形、ここにちょうど良いものはないでしょうか?
あ!!思い出しました!!
兵庫県高砂市の石の宝殿が同じくらいの規模で、しかも凸型。
過去に訪問した際に「まるで何かとドッキングしそうな構造。もしかして、他の岩と組み合わさっていた、または組み合わさることを想定していたのでは・・・?」なんて書いていましたが、益田岩船こそ相応しいのではないでしょうか!?
ぴったりハマりそうではありますが、冷静に考えると組み合わせてどうなるんだという気もしてきました。土地柄的にも、やっぱり古墳の石室関連と考えるのが自然かもしれません。ぜひ現地に行かれた際は、竹林の中で巨大石造物の用途について考えてみてはいかがでしょうか。
アクセスと見学情報
地図で見ると近鉄線の飛鳥駅の近くですが、道のりは少々わかりにくい。線路を越えていくため、けっこうアップダウンがあるのです。今回電動自転車だったので良かったですが、ノーマル自転車だったらかなりハードになりそうです。
車で向かう場合、駐車場はありません。近くに路上駐車できそうな場所もないので、「橿原白橿郵便局」のそばにある「タイムズ白橿町」に停めて歩くのが良さそうです。
ちなみに、益田岩船のすぐ近くには、「牽牛子塚古墳」への抜け道も。実際に通っていないので詳細は不明ですが、20分弱くらいで向かえそうな予感です。
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