誰でも知ってる招き猫ですが、そのバリエーションはとっても豊富。手を挙げている理由や、色の意味など、意外と知られていない招き猫のヒミツについても学ぶことができるミュージアムです。
レアな招き猫専門のスポット
猫グッズを豊富に扱うおもだか屋というお店に併設されており、2階部分がミュージアムとなっています。洋館風なレトロデザインでおしゃれな外観です。
もともと群馬県嬬恋村に存在していた招き猫ミュージアムを移転してきた施設で、収蔵品の数は、なんと5,000点にも及びます。土人形・張り子・磁器・樹脂など様々な素材で作られた招き猫がびっしりと並ぶ様子は壮観です。
一般的な2等身の常滑タイプや、すらっとした瀬戸タイプ、華やかに装飾された九谷タイプ、そして無数のバリエーションが生まれた現代の招き猫とそれぞれ分けて展示されいるため、見比べて楽しむことができます。解説文もいくつかあるため、真面目に学びたい派のニーズにも応えます。
なお、館内は写真撮影禁止。画像が無いのも寂しいので、招き猫ミュージア厶の外にいた猫たちを貼っていきますね!
江戸から続く縁起物
招き猫の発祥については諸説ありますが、一般的には江戸時代後期に生まれたと考えられています。招き猫は、だるまや福助人形などとともに庶民信仰として普及しました。
はじめは素朴な土人形であった招き猫も、明治時代になると磁器製のものが作られるようになっていきます。
戦後、愛知県の常滑を中心に大量生産がはじまり、広く世間に知れ渡るようになります。現在でも常滑は日本一の招き猫の産地となっており、「とこにゃん」と呼ばれる巨大な招き猫の姿も見ることができます。
※この招き猫ミュージアムがある瀬戸市と常滑市は車で1時間ほどと少し距離があります。セットで訪問予定の方は、移動時間にご注意ください。
平成に入るとペットブームの波に乗り、招き猫ブームも到来。材質・デザイン共に多種多様なものが作られました。さらに、東南アジアを中心とした国外にも登場したりと、根強い人気を誇っています。
デザインの秘密
招き猫といえば、名前の通り前足を掲げて招くような姿をしています。このユニークなデザインは「顔を洗う猫の手が耳を越せば客が来る」、という中国の言い慣わしを元に生まれたといわれています。
右手を挙げているものと左手を挙げているものがおり、右手は「金招き」、左手は「人招き」のご利益があるそう。
中には両手を上げた「万歳招き猫」というちょっと欲張りなタイプも。人も金も招き入れるのでお得に思えますが、「お手上げ万歳」に繋がり、逆に縁起が悪いと捉える人もいるそうです。
豊富なカラーバリエーション
招き猫はポーズだけでなく、その色にも意味があります。一般的な招き猫のイメージといえば、白地に黒と茶色が入った三毛猫スタイル。これは開運招福を意味しています。
他にも黒は魔除けの効果があり、近年ではなんとストーカー避けというピンポイントなお守りにもなっています。赤いものは無病息災・長寿などのご利益で健康面をカバー。金は見た目そのまま金運アップ、さらに恋愛成就のピンク、学業成就の青なども生まれてきています。
これだけあると、ついついカラーバリエーションをそろえたくなってしまいますね。
招き猫ゆかりの寺社
日本各地のお寺や神社には、招き猫と関わりの深い場所がいくつか存在しています。館内には、そんな寺社を紹介しているコーナーもありました。
豪徳寺(東京都)
招き猫のお寺といえば、真っ先に浮かぶのが世田谷にあるこのお寺。招き猫発祥とも言われているここの招き猫は、三毛ではなく真っ白な体をしており、赤い首輪と金の鈴のみのシンプルな見た目。
「豪徳寺を通りかかったお殿様が、お寺の住職の飼い猫の手招きによって雷雨を回避することができた」というエピソードにちなんでおります。そのため右手挙げタイプですが、ここの場合は「金招き」ではなく「人招き」とも。もちろん小判も持っていません。
詳しくはコチラの記事にて
今戸神社(東京都)
2体並んだ「並び猫」が特徴ですが、こちらは平成にブームとなった、比較的歴史の浅いもの。しかし、今戸神社のある浅草今戸町では今戸焼という陶磁器が盛んで、江戸時代には猫の姿の人形を作っていたそう。これが招き猫の元祖であるという説もあります。
住吉大社(大阪府)
大阪市住吉区にある住吉大社には、「初辰(はったつ)まいり」という招き猫に関連した非常にユニークな民間信仰があります。
毎月最初の辰の日にお参りするのですが、その際に奇数月は左手挙げ、偶数月には右手挙げの小さな招き猫を授かります。これを4年間続けることで48体の招き猫を集めると満願成就のご利益があるそう。なお、途中で忘れてしまうと最初からやり直しという、なかなかハードなルールがあります。
成田山新勝寺(千葉県)
関東有数の初詣参拝者数を誇る、千葉県成田市にある寺院。実は、ここでもオリジナル招き猫が存在しています。
小判を2枚抱えており、1枚は「百万両」とスタンダードな文字が入っていますがもう1枚には「成田山」と描かれています。由来などはわからないのですが、何か関連するエピソードがあったのかも知れませんね。
信仰からアートへ
招き猫ミュージアムの目の前には寝転がっている巨大な猫、その名も巨大涅槃猫といいます。
涅槃(ねはん)像といえば、仏教においてお釈迦様の入滅する様子を現した寝姿の像のこと。その姿を模した大きなネコは、しっかりと左手を掲げて招く仕草をとっています。
こちらは造形作家・HISOKAさんによって作られた強化プラスチック製の作品。デザインしたのは奥様でもあるアーティスト・宮内久美子さん。
100年以上も愛され続けてきた招き猫ですが、近年ではアートの題材としても人気。招き猫に関連する作品を集めた「招き猫展」なるイベントも開催されています。
アクセスと営業情報
最寄り駅は名鉄瀬戸線のの尾張瀬戸駅。そこから徒歩8分ほどでアクセスできます。車の場合は東名高速道路の名古屋ICから約30分、名古屋駅からは1時間弱。
駐車場はお店の前のコインパーキング・Mパーク駐車場を利用します。料金は30分まで無料・1時間毎に100円ですが、招き猫ミュージアムの入館料と買い物で1,000円以上で1時間無料、3,000円以上で2時間無料となります。
なお、前述した巨大涅槃猫もこのコインパーキングに鎮座しています。
休館日:火曜
料金:300円
なお、おもだか屋さんの店内には、TBS「マツコの知らない世界」に登場したマツコ・デラックスの招き猫も展示されています。
現在の放送スタジオでも目立つ位置に置かれているので、イメージがわかない方でも「あ!どこかで見たことある!」ってなるのではないでしょうか。
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