昭和の町が広がるノスタルジックな博物館。再現された焼き物造成の工房や窯、びっしりと並んだ瀬戸の陶磁器、そしてそれを運んでいた「せとでん」車両と、焼き物の町である瀬戸を丸ごと体感できるスポットです。
瀬戸観光の拠点
愛・地球博に合わせて2005年にオープンした「瀬戸蔵(せとぐら)」。名産の陶磁器を扱うショップやレストランに加えて、ホールや交流ラウンジも併設された複合施設です。
この2階と3階にあるのが瀬戸蔵ミュージアム。瀬戸の焼き物の歴史を中心に、古代の人々の暮らしや瀬戸の町の発展など幅広くを展示しています。
パネルや実物の展示に加えて、昭和30~40年代頃の町並みがまるごと再現されており、雰囲気抜群な博物館です。
レトロなせとでん
まず目に入るのは濃い目のグリーンが目立つ「せとでん」。かつて瀬戸と名古屋を結ぶ瀬戸線として走っていた車両で、人だけでなく焼き物もたくさん運んでいました。
この車両は瀬戸蔵の建築に合わせて、クレーンで運び込まれました。当時の写真も掲載されており、まだ骨組みだけの建物の中に車両が組み込まれていく様子がわかります。
せとでんの後ろには、大正時代に造られた尾張瀬戸駅の駅舎も再現されています。当時、時代の最先端であった洋風建築は、異彩を放つとともにシンボルとして親しまれていました。
駅舎の隣に赤いポストが設置されているのですが、こちらは実際に利用することもできるそうです。
リアルな焼き物工房
瀬戸といえば焼き物!昭和の町並みの中には「モロ」と呼ばれる焼き物工房が丸ごと再現されております。趣深い家屋からは、今にも陶工(焼物師)さんが出てきそうな雰囲気。
内部もとってもリアルで、ついさっきまで制作が行われていたかのよう。壁や床には土が飛び散っており、モーター式の土練り機「クネット」や「ロクロ」が音を立てて動いています。
モロの隣には石炭窯も再現されています。内部には製品を入れる「エンゴロ」と呼ばれる筒状のケースがびっしりと並ぶ。
再現された作業場に加えて製造工程を撮影した映像コンテンツも設置されており、「やきものができるまで」を体感できる仕組みになっています。
ドラマティックな瀬戸焼の歴史
階段を登っていくと、びっしりと並ぶ焼き物が並ぶフロア。
瀬戸焼のはじまりは古墳時代にまで遡ります。当時は朝鮮半島よりもたらされた須恵器を製造していました。いわゆる土器の時代です。
その後、鎌倉時代頃になると山茶碗と呼ばれる焼き物が生まれていきます。釉(うわぐすり)を用いていないため、ザラっとした質感の焼き物です。
安土桃山時代になると、瀬戸市内の陶工が美濃へと移る「瀬戸山離散」が発生。戦乱を避けるためとも、利便性を求めたためとも言われるこの移動によって、瀬戸における焼き物の歴史は一時的にストップします。
江戸時代になると、徳川義直が瀬戸に陶工を呼び戻す「竈屋(かまどや)呼び戻し」を行い、瀬戸の焼き物作りは再スタート。美濃で作っていた黄瀬戸や志野を作ります。
しかし、時代は変わり陶器よりも磁器が人気に。有田焼など九州の磁器におされ、瀬戸焼の需要はどんどん下がっていきます。そこで、加藤民吉という人物が九州へ修行に。磁器作りの技術を持ち帰り、瀬戸でも磁器作りがスタート。「陶器の町」から「陶磁器の町」として、瀬戸は蘇りました。
アクセスと営業情報
公共交通機関の場合、名鉄瀬戸線の尾張瀬戸駅から徒歩5分ほど。名古屋から1時間ほどでアクセスできます。
車の場合は名古屋ICおよび長久手ICから約30分。駐車場は60分まで無料、以後60分100円です。
休館日:第4月曜、年末年始
料金:520円
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