広大な敷地内に作品や工房が点在する屋外型のアートスポット。森の中に展示された作品は自然と上手く調和しており、訪れた季節によって印象が変わります。手入れされた美しい森を散策しながらアート鑑賞が楽しもう!
休館日:月曜、年末年始
料金:常設展示は無料
金津創作の森へのアクセス
金津創作の森は、福井県北部、石川県と接するあわら市にあります。JR芦原温泉駅からタクシーを利用、もしくはJR細呂木駅から徒歩20分ほどでアクセスできます。
車の場合は北陸自動車道の金津ICから5分。駐車場は無料でたくさんあるので困ることはなさそうです。
体験型のアートスポット
金津創作の森は、工房やアトリエを備えた芸術活動支援施設。陶芸やガラス工芸、教育プログラムも行っており、体験型美術館とも呼ばれています。
もちろん多くの作品を収蔵している美術館としても楽しめます。アートコアという屋内展示室に加えて、広大な敷地のあちこちに作品を野外展示しているオープンエアな美術館です。
作品を全てめぐるには、起伏の多い森の中を進む必要があります。歩きやすい服装、そして夏場は虫除け・日除け対策をお忘れなく。
屋外作品
屋外には全部で14もの作品が展示されております。それぞれ離れており、全てめぐるにはそれなりの時間と体力が必要です。今日は歩いているだけでもどんどん体力が削られていく真夏日。いくつかに絞って鑑賞することにしました。
「隠されたピラミッド」by 土屋公雄
野面積みの瓦礫でできたピラミッド。よく見ると、鉄パイプや消火器など様々なものが組み込まれています。
環境汚染を象徴するかのようなジャンクにはいったいどのような意味が込められているのでしょうか。何か戒めるために建てられたのでしょうか。キレイな形を保つには悪い部分も必要、そんなメッセージが込められているようにも感じます。
「雷神」by 戸谷成雄
チェーンソーで線が刻まれた横たわる倒木。もともとは直立していた作品ですが、2017年に倒壊。すっかり姿が変わってしまいましたが、それもまた作品のカタチとしてそのまま展示されています。
気になる倒壊の理由ですが、台風が原因とのこと。雷神は風神に負けてしまったようです。
「Trieb – 水体Ⅰ」by 遠藤利克
森の中に立つ錆びた鉄の作品。鉄板かと思いきや、裏に回ってみると奥行きがあり、直方体ということがわかります。上から見るとどうなっているのか、上はふさがっているのか、それとも箱状なのか。見えない部分への想像が膨らみます。
「関係―鉛の巣箱」by 河口龍夫
アートコアの壁にまばらに設置された作品。よく見ると鳥の巣箱のカタチをしています。放射能を防ぐ鉛で作られており、命を守るシェルターのような意味が込められているそう。実際に居住者がいるのかは不明ですが、何部屋かは生き物が暮らしているのではないでしょうか。
「牀座」by 藤田昭子
遠くから見ると、まるで公園に設置された椅子とテーブルの様にも見える作品。穴だらけの陶器がたくさん並んでおり、土器や土偶といった原始美術のを連想させられます。穴の中ではコケが育っており、作品が自然の中で成長していく様子を感じます。
「森のアンリの小屋」by 眞壁陸二木
森の緑と反対色である暖色中心の色合いで染められた小屋。よく見ると、壁面には木々のシルエットが描かれています。
森の色が暖色へと変わる秋や、一面が白くなる冬に訪れたら、また印象がガラリと変わりそうです。
ところで、アンリとは誰を指しているのでしょうか?アンリ・ルソーやアンリ・エドモン・クロスといった画家の名を借りているのか、それともフランス王か、もしくはラピュタの海賊兄弟の3男か・・・。いろいろと想像が膨らみます。
「森に棲む-9」by 國安孝昌
整然と木が組まれた作品。どう見ても頭にキャンプファイヤーが浮かんでしまいますが、火をつけてはいけません。組まれた木の中心には杉の木が生育しているのです。
「あり!あか!おう!」by古郡弘
まるで城壁のような囲いが全長196mにもおよぶ、かなり巨大な作品。この中にはいったい何があるのか気になります。
耳をすませると、壁の向こうからは川のせせらぎのような音と、低く響き渡るウシガエルの鳴き声が聞こえてきました。もしかしたらここはカエルの城なのかもしれません
屋内展示室アートコア
さて、最後はアートコアの館内を見ていこう!
そう思ったのですが、只今の期間は企画展の入れ替え期間にあたるため展示室は見学不可。企画展がメインとなるため、事前に確認してからの訪問がおすすめです。
展示室には入れませんでしたが、通路に展示されているわずかな作品だけは見学可能でした。
箱根彫刻の森美術館、霧島アートの森など、日本各地に存在する野外美術館。その中でも、この金津創作の森は、素材や色使いが自然と近い作品が多く、より芸術が自然に溶け込んでいる印象でした。
屋外作品の良いところは、静かにしなくても良いところ!
私は一人で訪問したのですが、友だち同士で訪問してわいわいしながらアート探しをするのも楽しそうです。
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