壱岐島に残る無数の古墳。遥か昔からこの島では多くの人々が暮らしていたことを現代へと伝えています。数多くの古墳の中から、国の史跡に指定されている6つをめぐってみました。軽い気持ちではじめた古墳めぐりですが、思っていたよりずっと難易度は高めでした・・・!
古墳の多い壱岐
壱岐の島は古墳がたくさん!6世紀後半から7世紀前半に造られた古墳が、なんと200基以上も存在しております。弥生時代の遺跡である原の辻遺跡とともに、1400年以上前から壱岐では多くの人が暮らしていたことを表します。
また、古墳の出土品には、副葬品として埋葬された品々の中には中国や朝鮮のものも多く見つかっており、広く交易が行われていたことも教えてくれます。
たくさんある古墳のうち、以下の6つは「壱岐古墳群」として、国の史跡に指定されています。この6つは割りと近くに集まっているので、6つ全部まわってみることにしました!(※この判断は後に少しだけ後悔することとなりました。)
①掛木(かけぎ)古墳
②双六(そうろく)古墳
③笹塚(ささづか)古墳
④鬼の窟(おにのいわや)古墳
⑤兵瀬(ひょうぜ)古墳
⑥対馬塚(つしまづか)古墳
①掛木古墳
高さ7mのこんもりとした小さな丘のような外観。
見た目よりも石室の奥行きは深く、その長さ13.6m。入るとセンサーでライトが付いてくれるという、とってもありがたい仕様となっています。
最も奥の玄室には巨大な石の前に石棺が安置されています。この石棺は、「くりぬき式家形石棺」というレアなタイプのもの。凝灰岩か軟質の玄武岩を使用しているそう。
こちらの古墳は壱岐風土記の丘古墳館という小さな庭展示施設&古民家園が併設されています。そのため、アクセスは超良好。展示室に入館すれば知識も得られるので、古墳めぐりの最初に訪問するといろいろわかりやすいかもしれません。
②双六古墳
県道174号線から細い道へ入るとすぐに駐車場があります。そこから歩くこと3分ほどで、双六古墳の姿が見えてきます。
長崎県で最大の前方後円墳。その全長は91m、後円部分の高さは10mにもおよびます。きちんと草刈りがされており、まるで公園のような美しさです。
奥に回ってみると、前方後円墳のシルエットがよくわかります。
円墳部分には石室の入り口があります。木の柵で塞がれているため入ることはできませんが、奥まで覗くことは可能です。入口の両サイドには花が添えられており、現代でも祀られているような雰囲気が独特でした。
③笹塚古墳
笹塚古墳へ向かうには、民家や畑の間のかなり細い道を進みます。「ここであっているのかな?」と不安になっていると、すぐ右側に案内板が!この案内板の隣がすぐに石室の入り口。車の窓からも見学できるドライブスルー可能な古墳です。(少し進むと広場があり、そこに車を停めることができます。)
笹塚古墳は壱岐で3番目に大きな古墳で、石室は全て入ることができます。石室全長は14.8メートルとなかなかの長さを誇り、遺跡探検気分は高まります。
最奥の玄室までたどりつくと、板状の石を組み合わせて作られた箱式石棺も見ることができます。
この古墳からは、金銅製馬具など非常に多くの出土品が見つかっています。一支国博物館に収蔵されていますので、詳しく知りたい方はそちらもおすすめです。
④鬼の窟古墳
鬼の窟古墳は壱岐で最大級の円墳で、木々が生い茂る様子はまるで山のような古墳。県道174号線沿いにあり、看板も出ているため非常に訪問しやすいところにあります。広めの駐車場もあり、石室も駐車場から見えるほど近くにあります。
巨大な玄武岩を積み上げて造られた石室。天井の高さは3mと、かなり広々としています。
入り口閉ざすかのような岩があるため途中までしか進むことはできませんが、奥まで覗くことは可能です。その奥行きは16.5mと、壱岐の古墳で最長を誇ります。
ライトが設置されており、スイッチを入れると奥がぼんやりと輝きます。積み上げられた石と、その下にある石棺がうっすらと見えます。
余談ですが、壱岐の人々は古代に造られた古墳を「鬼の棲家」と考えていたそう。そのため、このような名称になったのではないかと考えられています。
⑤兵瀬古墳
鬼の窟古墳で見かけた案内マップやGoogle Mapには記載があるのですが、近くに行ってもそれらしきものは見当たらない。
たまたま近くにいたおばあさんに尋ねてみたところ、「お、案内しますよ~」と案内してくれることに!
付いていくと、民家や畑の中を通り抜けていきます。なんとこの兵瀬古墳は、個人の私有地にあるのです。そのため、案内板などは設置されておりません。
運良く地元の方に出会えたらラッキー、それ以外の場合は入ることができない難易度高めな古墳です。
兵瀬古墳は長崎県最大級の円墳で、木々に包まれた崖にぽっかりと空いた石室が印象的。きれいに積まれた石が、まさに自然の中の遺跡といったとても良い雰囲気を作り上げています。
内部にも入れてもらいました。奥行き12.3mの石室を進んでいくと、箱式石棺が置かれています。
このおばあさんには、近くにある別の古墳も案内してもらったり、島のことをいろいろ教えてもらったりと、とってもお世話になりました!
⑥対馬塚古墳
グーグルマップで登録されている場所を目ざすも、道がわからず周辺をぐるぐる。やっぱり案内板などはありませんが、もうこれくらいでは驚きません・・・!
たまたま歩いている方に尋ねてみたところ、この先にある電柱近くの黄色い旗から見上げてくださいとのこと。
その場所へ行ってみると・・・・
森の中にわずかに黄色い布のようなものが見えます。幟みたいなものを想像していたのですが、まさかコレでは。
ということは、さきほどからぐるぐるまわっていたこの山が対馬塚古墳だった、ということになります。
対馬塚古墳は、双六古墳に続く、県内で2番目大きい前方後円墳。全長63m、後円部分の高さは9mです。
少しだけ登ってみたのですが、完全に藪に包まれており、装備が弱い私には探索は不可。あとは藪こぎに慣れている方におまかせして私は退散します。
めぐってみた感想
軽い気持ちではじめた古墳めぐりでしたが、想像以上にハード。国の史跡=案内など整備がされているというわけではないことを思い知りました。
とりあえず壱岐に来て古墳を見ておきたい、という方は①掛木古墳と④鬼の窟古墳をめぐるのが良いかと思います。
あとは掛木古墳の隣の壱岐風土記の丘古墳館や、一支国博物館で知識を得たり、余裕があれば②双六古墳に立ち寄るくらいにしておくのが良いです。
③笹塚古墳と⑥対馬塚古墳は、少々アクセスが難しく、⑤兵瀬古墳にいたっては完全に運頼みとなりそうです・・・!
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