大徳寺塔頭③ 胸がときめく盆栽の世界『芳春院盆栽庭園』(京都市北区)

京都府

大徳寺の境内にある芳春院盆栽庭園は、枯山水と様々な盆栽を鑑賞できる心が落ち着く庭園。華やかな花が咲く盆栽から、樹齢数百年という深い歴史を持つものまで、奥深い盆栽の世界を体感することができます。

訪問日:2025/3/30(日) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

常時公開の盆栽庭園

大徳寺の塔頭であり、最も北に位置する芳春院。慶長13年(1608年)に玉室宗珀(ぎょくしつそうはく)を開祖として加賀藩前田家の祖・前田利家の夫人・松子(まつ、芳春院)が建立した寺院です。

金閣・銀閣・飛雲閣と並び京の四閣と称されている呑湖閣(昭堂)や、小堀遠州によって作庭された古庭園などがあるのですが、基本的には一般公開しておりません。

そんな芳春院ですが、隣接する敷地を盆栽庭園として整備。2021年3月に開園したのが芳春院盆栽庭園こちらは通年公開しております。

もともとそれほど盆栽に興味はなかったのですが、「大宮盆栽美術館」「長浜盆梅展」をめぐっているうちにじわじわ盆栽の凄さを思い知らされてきました。ということで、ここは見逃せません!

枯山水庭園とのコラボレーション

受付までの道には盆栽がずらり。ブナ、シダレザクラ、ツバキ、五葉松など、それぞれ樹種が異なる盆栽のお出迎えです。

真柏、ヒノキを使用した大迫力の創作盆栽も。そびえたつ岩に生える樹木は、まるで中国の山水画のような幽玄の世界。

園内では庭園内の各所に盆栽が添えられています。枯山水庭園とのコラボレーションは、この盆栽庭園ならではの展示。

各盆栽に案内は添えられていませんが、受付でこちらの目録をいただけます。鉢の番号と照らし合わせると、樹種や樹齢などの情報を得ることができるのです。

ここからは、私が気になった盆栽を勝手に紹介させていただきますね!

※見分けやすいので訪問時の目録の「番号」を掲載しておりますが、こちらは変更になる場合があります。

華やかな盆栽

目を引くのは「花物」と呼ばれる花の咲く盆栽。樹齢80年という「5 寒桜」は、こんなに小さな樹なのに立派に花をつけています。

「30 豊後椿」も上品な花を咲かせていました。樹齢はなんと200年!もしかして日常で良く見かける花壇のツバキよりもずっと年上なのでしょうか。

枝を大きく広げ、大樹のような存在感の「29 花梨」。樹肌の模様も鮮やかです。樹齢は驚きの250年。江戸時代から人の手を渡ってきているのかもしれないと考えると胸がアツくなります。ちなみに、果実がなる盆栽を「実物」と呼んだりもします。

「22 宮様楓」は伏見宮貞愛親王の「遺愛樹」であるそう。遺愛樹というのは、著名な人物が生前愛していた樹木のこと。樹齢はこちらも250年。秋になれば紅葉も楽しめる、このような盆栽を「葉物」と呼ぶこともあるそう。

大迫力の松柏盆栽

真っ白くうねる「17 真柏」。躍動感と迫力が詰まった樹齢250年の盆栽です。

盆栽の代表格とされる松や真柏(ビャクシン)の盆栽を「松柏(しょうはく)盆栽」と呼びます。常緑樹であり、根や幹の造形美も楽しめる王道の盆栽です。

こぼれ落ちそうな「8 一位 銘 麒麟」。なんの1位かと思いきや、「イチイ」という樹木。こちらも松柏盆栽に分類される樹種です。樹齢はなんと500年!!世界盆栽大会のポスター樹に選ばれたそうです。

先ほどの真柏と同様に、こちらもまた白い姿が見事。この白骨化したような様子、枝の場合は「神(ジン)」、幹の場合は「斜里(シャリ)」と呼びます。

まるで空へ飛び立つ白龍のような「25 一位 銘 白昇龍」。またまた一位の盆栽、全国から盆栽が集まるイベント「大観展」において、最高賞となる内閣総理大臣賞受賞しているそう。こちらも樹齢は500年!

最期はこちらの「10 一位 銘 謙信峠」。戦国武将・上杉謙信が山中で目に止め、長尾政景に送ったという伝承が残っています。樹齢は驚きの800年!!

水石と龍眼石

園内で見かけたこちらは水石(すいせき)。自然石に台座を敷いて鑑賞するもの。茶色砂の真ん中に置かれているのは安倍川石です。

この水石は、まるで小屋のようにも見えます。小さな水盤に山水景を感じ取るものであり、盆栽ととても相性が良いです。

受付の傍に並べられているのは、中国の竜眼石。岩に石灰岩が入り込んだ石のことであり、白い模様が浮き上がっています。

芳春院は前述の通り非公開ですが、庭園から龍泉庵を覗くことができます。中に入ることはできませんが、坐禅堂には厨子の中に安置された仏像の姿が。


ということで、庭園鑑賞はここまで。小さな鉢に広がる大自然を感じ取れて、胸がどきどきしてしまいました!

本当はもっとたくさんの塔頭をめぐりたかったのですが、時刻は15:30。16:00閉門のところが多く、そろそろおわりの時間です。今回未訪問となった塔頭はまた次回!大徳寺は一日にしてならずです。

アクセスと参拝情報

「京都」駅、もしくは地下鉄烏丸線「北大路」駅からバスに乗り「大徳寺前」バス停下車後、徒歩8分。

開園時間 10:00~16:00
休園日 年末年始
料金 1,000円
公式サイト https://www.instagram.com/hoshunin.bonsai.teien/

※掲載の情報は2025年3月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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