都内屈指の観梅スポット『羽根木公園』(梅ヶ丘駅/東松原駅)

東京都(23区)

都心からほど近い梅林として有名な羽根木公園では、毎年2月に梅まつりを開催中。様々な品種が並ぶ梅の木を一本一本見比べて、その違いを楽しむことができます。

開催期間:2020/2/8(土)〜3/1(日)
訪問日:2020/3/1(日)

梅の名所・羽根木公園

小田急線梅ヶ丘駅から徒歩2分、京王井の頭線東松原駅から徒歩3分ほどのところにある羽根木(はねぎ)公園。

新宿からなら小田急線で13分、渋谷からなら井の頭線で9分とかなり都心からのアクセス良好な花スポット。というか、ここは都心です。

私は今回東松原駅から歩いて向かったのですが、公園到着後、梅ポイントまでは少し歩きます。最短で向かいたい方は梅ヶ丘駅からの方が、入園してすぐに広がる梅の花に出会うことができます。

都内有数のウメの名所

ここ羽木公園は、昭和42年に世田谷区議会議員55名により55本の梅が植樹されます。その後も東京都100周年や世田谷区制40周年などのたびに植樹が行われ、現在では約700本の梅が咲く都内を代表する梅の名所になりました。

そんな園内では、毎年2月に「せたがや梅まつり」を開催しています。2020年の開催期間は2/8(土)〜3/1(日)の約一か月。
期間中は梅にちなんだおみやげを販売する出店に加え、ゆるキャラ登場イベントやワークショップ、抹茶サービスなども開催されます。
しかし、今年度はコロナの影響を受けて催し物は軒並み中止。とはいえ、梅の花は変わらず咲いておりますので多くの人が足を運んでいます。

立体的な園内の斜面には、様々な品種の梅が植えられております。

スタンダードな梅

大木の枝いっぱいにぶわーっと花を広げるサクラに比べると少し地味な印象の梅の花。しかし、よく見るとそれぞれの品種はかなり個性的。全体を見るというよりは、それぞれの花を細かく眺めて違いを見比べるというのも梅の楽しみ方の1つではないでしょうか。

「白加賀(しらかが)」

白い花を咲かせる「白梅」の代表的な品種。梅の花と聞いてぱっと頭に浮かぶイメージ通りの花です。白い梅の花は青空に映えます。

「一の谷(いちのたに)」

白い花びらと赤いガクで華やかな梅。ツボミのうちはピンク色ですが、開花とともに白くなる”移り白”と呼ばれるタイプ。

「楊貴妃(ようきひ)」

ピンク色の花をたくさん付けている。花びらが幾重にも重なった”八重咲き”なので、とても見応えあるゴージャスな花です。樹高が高く、植え込みに囲まれていたため花を間近で見ることができず。

「真鶴(まなづる)」

白い花びらと赤いガクのコントラストがあざやか。花の密度が高く、写真映えも抜群です。花びらが散ったあとも赤いガクが枝に残っており、その様子も美しい。

それぞれ梅の木には品種名が書かれたプレートが付いているのですが、「不明」と書かれたものも多い。梅の品種は数百種類あり、なおかつ名前がきちんと定まっていないものもあるそう。特定するのは難しいのかもしれません。

ユニークな梅

梅というと白やピンクのイメージが強いですが、それだけではないのが梅の面白いところ。

「月影(つきかげ)」

黄緑がかった花が独特の存在感を放ちます。そこに加えて、花が付いている枝も緑色という異色の梅。このような色味の花を青軸性(あおじくしょう)と呼ぶそう。

「おもいのまま」

大きな八重咲きの花が目立つ品種。淡いピンク色がとっても可愛らしい。
変わった名前ですが、この種は白色・紅色・桃色など複数の色の花を付けるミラクルな梅の木。時期によるのか個体差なのかここではほぼ一色でしたが、他所で見たときは様々な色が乱れており、とても華やかでした。

「中国野梅」

中国に自生する梅の原種。他の梅はまだ花を付けていますが、この木はもう散って芽が生えています。花期は12〜3月とのことなので、早めの時期に来れば花が見れるのかもしれません。

なお、「野梅」の読み方は「ヤバイ」。さらに、この原種に近い梅の品種を「野梅(ヤバイ)系」というらしい。凄みを感じる呼び名です。

「淋子梅(りんしばい)」

かなり濃いピンクの八重咲きでとても目立つ花。スラッと高く伸びており、まるで美人画のような優雅さも持ち合わせています。

「蝋梅(ロウバイ)」

蝋細工のような黄色い花を咲かせているロウバイ。黄色いウメもあるのかと思いきや、実は梅とは全然違う植物。花が咲く時期や花の付き方など、かなりウメに近く、名前に梅の字が使用されていますが、こちらはクスノキ目ロウバイ科の植物。バラ目バラ科のウメとはかなり遠い存在なのです。

飛梅伝説

京都で右大臣を努めていた菅原道真が九州の太宰府に左遷される際、大切に育てていた梅の木にと歌を詠みました。すると、梅の木は主人を慕って太宰府まで飛び、そこに根付いたとの「飛梅(とびうめ)伝説」というストーリーがあります。

こちふかば にほひをこせよ 梅のはな
            あるじなしとて 春なわすれそ

そのときに詠まれた歌がこちら。主人がいなくなっても咲き続けてほしいという思いを込めた歌です。

菅原道真を祭る太宰府天満宮では、その飛梅をご神木として祭っています。(同様に菅原道真を祭る各地の天満宮では境内に梅の花が植えられており、都内では亀戸天神や湯島天神が梅の名所として知られています。)

ここ羽根木公園にもその飛梅の分身である木が植えられております。残念ながら花は散っていましたが、紅白一対でそろっているそう。

なお、飛梅伝説には松と桜も関わってきます。梅と同じく松も飛んだのですが、兵庫県にて力尽きそこに根を下ろしたという飛松伝説が残っています。一方桜は梅とは違い歌を詠んでもらえなかったことを悲しみ、枯れてしまったそう。


都心でありながら、どこか地方の公園のような素朴な雰囲気の羽木公園。梅はもちろん、ちょっとした散歩を楽しむのにも良さそうな公園でした。

このあとはしばらく歩いて豪徳寺というお寺へ向かいます。おびただしい数の招き猫に出会えるネコの寺院です。

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