平安時代の貴族、和気清麻呂(わけのきよまろ)を祀る神社。境内には多数のイノシシを見ることができます。御祭神とイノシシには、いったいどのような関係があるのでしょうか。
和気清麻呂を祀る神社
京都御所の西側に鎮座する護王神社。注連縄のかかる表門は、大正天皇即位の御大礼に使用された大嘗宮春興殿正門を下賜されたものであるそう。よく見ると、中央には大きな足腰御守がぶら下がっています。
表門の先にある拝殿。狛犬ならぬ狛イノシシが両サイドを護っています。
中門とその先にある本殿は、明治19年(1886年)に建立されたもの。
御祭神は平安時代の貴族・和気清麻呂(わけのきよまろ)。長岡京遷都、平安京遷都にも貢献した、重要な人物です。足腰の守護神としても信仰されており、境内には足萎難儀回復の碑が建てられています。なぜ清麻呂が足腰の守護神なのかは、後ほど。
清麻呂と猪のストーリー
この護王神社の個性的なポイントはやっぱりイノシシ。境内を守るように立つ狛イノシシはなかなかインパクトがあります。なぜこんなにイノシシをフィーチャーしているのでしょうか。
ときは奈良時代、道鏡という僧が法王となり絶大な力を持っていました。道鏡は天皇の位を狙い、称徳天皇に「私が天皇になれば天下は平和になるという宇佐神宮の御神託があった」と告げます。
称徳天皇は真偽を確かめるために和気清麻呂を大分県の宇佐神宮へ派遣。清麻呂が訪ねると宇佐の大神が現れ、「天皇の後継者は必ず皇族のものを、道鏡は追放せよ」と神託を下します。
野望をくじかれた道鏡は怒り、清麻呂の脚の「腱」を切って歩けなくした上、大隅国(鹿児島県)へ流罪とし、さらに配流先へ向かう清麻呂を暗殺するための刺客を放ちます。
清麻呂は京都から大隅へ向かう途中、皇室を守った大神に感謝を伝えるため宇佐神宮に立ち寄ります。その際に刺客に襲われるも、300頭ものイノシシが現れて清麻呂を守護。さらに不思議なことに清麻呂の脚は治り、再び歩けるようになっていたそうです。
そんなわけで、和気清麻呂を祀るこの神社は猪がたくさん置かれているのです。一度は歩けなくなったものの、再び歩けるようになったことから足腰の守護神としても信仰されているのでした。
境内でイノシシ探し
手水舎もイノシシ。「幸運の霊猪」と呼ばれており、鼻をなでると幸せが訪れるそうです。
手水鉢にはカラフルなイノシシがたっぷり!ぎっしりと詰まった様子がお菓子みたいでとってもかわいらしいです。
手水舎とは別に、「霊猪の手水舎」も。こちらは立ち上がったかわいらしいタイプのイノシシ。二足歩行してるイノシシの像って初めて見たかもしれません。
祈願殿の前に置かれているのは「飛翔親子猪」。樹齢300年のカツラの木を使用したチェーンソーアート。城所ケイジ氏が「生命のよみがえり」をテーマに刻んだものであるそう。翼の生えたイノシシって、初めて見るモチーフです。
招魂樹(おがたまのき)の根元に置かれたイノシシ、こちらは「願かけ猪」。その周りに立っているのは座立亥串(くらたていぐし)。名前と願い事を書いた紙を挟んだ串を、猪の前に刺して願掛けをするそうです。
イノシシの剥製もずらりと並んでいます。作り物とは異なる、リアルで迫力ある姿。
いのししコレクション
社務所の前に置かれたショーケースは「いのししコレクション」。
かわいいものからかっこいいものまでずらりとそろっており、いのししミュージアムと呼んでも差し支えないレベル。神徳のありそうな置物だけでなく、「かいけつゾロリ」のイシシ・ノシシなど、いのししのキャラクターも扱っています。
イノシシって他の動物に比べて圧倒的にキャラクターが少ない気がしますね。イノシシが活躍する話って、ぱっと思いつくのは「もののけ姫」くらい。
あ!イノシシといえばこのキャラクターがいましたね!
「鬼滅の刃」の嘴平伊之助。おそらく、現在もっとも人気なイノシシキャラクターではないでしょうか。
アクセスと参拝情報
地下鉄烏丸線「丸太町」駅から徒歩約7分。
開門時間 | 6:00~21:00 |
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料金 | 無料 |
公式サイト | https://www.gooujinja.or.jp/ |
※掲載の情報は2025年3月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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