御開帳は月イチ!本当に1,000本腕を持つ千手観音に会いに行く『葛井寺』(藤井寺市)

大阪府

1300年という長い歴史を持つ寺院。本尊の「十一面千手観世音菩薩」は、本当に腕が1,000本あります!御開帳は毎月18日のみなので、その日を狙って参拝するのがとってもおすすめです。

訪問日:2025/10/18(土) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

藤井寺にある葛井寺

大阪府藤井寺市にある葛井寺(ふじいでら)は、真言宗御室派の寺院。神亀2年(725年)に葛井連氏の氏寺として開かれたと伝わる歴史深い寺院です。葛井連氏というのは、渡来系の氏族。百済王の血をひく王辰爾をルーツとする一族なのです。

一度荒廃するも、永長元年(1096年)に藤井安基という人物が再興。その際に「藤井寺」という別名がつき、現在の市名である藤井寺市のもとになっているそう。「葛井寺」「藤井寺」と2つの表記があるのは、こういった経緯なのですね。

境内入口となる南大門は寛政12年(1800年)の建立。入母屋造の楼門には、筋骨隆々な仁王像が待ち構えています。

立ち並ぶ諸堂

弘法大師像を安置した大師堂。その前にそびえるのは旅掛けの松。楠木正成・正行はこの松に旗をかけた結果、10倍の細川軍を退けることに成功。そんな逸話から不思議な力を持つとされています。別名、三鈷の松とも呼ばれているそう。

大師堂の近くには弘法大師像の姿も。錫杖を手に笠をかぶった修行時代の姿でありますが、よく見ると直立不動ではなく歩いている姿として描かれています。

阿弥陀堂では「阿弥陀三尊二十五菩薩像」の拝観を行っていますが、それは後ほど。

本堂は宝暦3年(1753年)に建設がはじまり、安永5年(1776年)に竣工したもの。

藤棚に包まれたお茶処は、かき氷や葛餅を扱っています。「ヴィクリディタ・サマデ・キリク」というカタカナの名前は、ヒンディー語で「観音様と共に一服してください」という意味らしいです。

月イチ限定の千手観世音菩薩

本尊は日本最古という十一面千手観世音菩薩。この千手観音の何が凄いかといいますと、本当に1,000本の腕があるのです。

千手観音像といえば通常の2本の腕に加えて、背中から多数の腕が生えていますが、この腕の数は40本。1本の腕が25の生命を救う力を持つことから40×25=1,000となるのが千手の名の理由なのです。

しかし、ここ葛井寺の千手観音は、本当に1,000本もの腕が生えているのです。

これはぜひ見ておきたい!と思いますが、通常は閉扉しているため拝観することはできません。数年に一度の秘仏かと諦めかけたのですが、どうやら毎月18日の9:00~16:30に御開帳がなされているそう。

今回、ちょうど大阪に行く予定がたったので、見に来ました!

拝観料は、阿弥陀堂に安置された「阿弥陀三尊二十五菩薩」とセット券で2,000円となかなかのお値段ですが、拝観券とともにエコバッグももらえました!

1,000本の脇手が広がる観音像

靴を脱いで本堂の内部へ進むと、大きな厨子の奥に鎮座する十一面千手観世音菩薩像が見えてきます。

座った姿で、像高は144cm。大手、小手を合わせた「脇手(わきしゅ)」は、錫杖や数珠などをもつ「大手」と、その間を埋めるかのようにびっしりと連なる「小手」に分類されます。正面の合掌する手もあわせると、その数は1,041本。

まさかの1,000本超えです!!

前後左右の4つのパーツに分かれている脇手。木材の芯に木屎漆(こくそうるし)を盛ってかたちを造る、木心乾漆造という手法で造られています。

このように実際に千本の腕がある千手観音を「真数千手観音」と呼んだりします。日本には、ここと奈良の「唐招提寺」、京都の「寿宝寺」にもあるそう。この3寺はそれほど離れていないので、1日でめぐることも可能です。

なお、仏像までは5mほどと少し距離があります。さらに厨子に納められているため、正面からだと左右の脇手は一度に見ることはできません。作品としてじっくり拝観するには少し物足りないかもしれませんが、その代わり荘厳な雰囲気はたっぷりと感じることができます。

オーケストラ菩薩

千手観音の拝観は阿弥陀三尊二十五菩薩像の拝観とのセット券。ということで、本堂から先ほどの阿弥陀堂へと移動します。

内部にずらりと並ぶのは5年がかりの修理を終えたばかりの阿弥陀三尊二十五菩薩像。阿弥陀如来を中心とした、27尊による群像は圧巻です。

楽器を携えている仏像が多数で、スピーカーからは雅楽のようなBGMが流れております。パンフレットには「オーケストラ菩薩」との記載がありましたが、まさにシンフォニーを奏でているような仏像群。極楽浄土を表しているとのことですが、この演出は現世を離れたような錯覚を感じました。

最後の1枚はこちら。「烏枢沙摩閣」と書かれたお堂。

実はこちらトイレなのです。

烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)は「不浄を焼き尽くす」炎の力を持つ仏様であり、「トイレ」を浄化する神として信仰されているのです。いうなれば「トイレの神様」。それはそれはキレイな女神様ではありませんが、憤怒の表情の明王様が見守るトイレはキレイに使わないといけない気持ちになりますね!

アクセスと拝観情報

近鉄南大阪線「藤井寺駅」より徒歩3分。

開門時間 8:00~17:00
料金 境内自由 ※特別拝観は別料金
公式サイト https://www.fujiidera-temple.or.jp/

※掲載の情報は2025年10月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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