京都の中で最古ともいわれる歴史ある寺院。数多くの文化財を収蔵しており、中には国宝に指定されているものも多数。半跏思惟像(はんかしゆいぞう)は教科書でもお馴染みなので、見たことある人も多いハズ!
京都最古の寺院
太秦の地に立つ広隆寺は、聖徳太子を本尊とする真言宗の寺院。創建は推古天皇11年(603年)、または推古天皇30年(622年)と伝えられております。平安京以前から建つ古刹であり、おそらく京都で最も古くから続く寺院です。
もともとは現在の京都市北区北野上白梅町に建立されていましたが、平安京遷都にあたり現在の位置に移転しました。弘仁9年(818年)と久安6年(1150年)の火災でほとんどの建築が焼失してしまいますが、藤原氏の援助により復興されました。
境内の入り口となる立派な楼門は、元禄15年(1702年)に建立されたもの。

広隆寺の境内は、拝観料不要で参拝自由。霊宝殿以外は無料で自由に見学できますが、お堂の中に入ることはできません。

立ち並ぶ堂宇
立派な講堂は永万元年(1165年)に造られたもの。京都市内に残る貴重な平安時代の建築のひとつで、重要文化財にも指定されています。

地蔵堂に祀られているのは弘法大師作と伝わる腹帯地蔵菩薩。お腹に帯を巻いたかなり大きいお地蔵様で、座高は3m近くあります。子供に恵まれ、安産のご利益もあるそう。

太秦殿は、百済より渡来したとされる秦氏を太秦明神として祀る神社。「太秦」という地は、この秦氏の拠点であったことが名前の由来であるそうです。

奥に鎮座するのは上宮王院太子殿。広隆寺の本堂にあたる建築で、享保15年(1730年)に建立されました。内部で安置しているのは、木造聖徳太子立像。秘仏であるため通常は拝観できませんが、毎年11月22日の「聖徳太子御火焚祭」の際に開扉されるそうです。

貴重な仏像を安置する霊宝殿
境内の奥にあるのが霊宝殿。仏像を中心とした広隆寺の貴重な文化財を収蔵・展示している施設です。

境内は参拝自由ですが、ここだけ拝観料1,000円が必要となります。
内部は撮影禁止。ずらりと並ぶ「十二神将立像」や、上向き2本牙としては日本最古とされる「不動明王像」、つややかな髪と肌の「聖徳太子十六才像」など、多数の仏像が並び荘厳な空気。
国宝に指定されている巨大な「十一面千手観音像(266cm)」と「不空羂索観音像(313cm)」は存在感抜群です。
弥勒菩薩半跏思惟像

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多数の超貴重な仏像の中でも、注目は弥勒菩薩半跏思惟像。教科書でもおなじみの、片脚を上げて座って肘をついてるあの像です!!
漢字がいっぱいですが、「半跏(はんか)」というのは片脚を組んだ姿勢、「思惟(しゆい)」は物思いにふける姿のこと。ここでは①「木造弥勒菩薩半跏像」(通称「宝冠弥勒」) 、②「木造弥勒菩薩半跏像」(通称「泣き弥勒」)という2つの半跏思惟像があります。
このうち①の製作時期は7世紀頃とされており、制作場所は日本ではなく朝鮮半島で作られたという説もあります。②は7世紀末〜8世紀初頭頃に日本で造られたと考えられています。
この像、実は国宝第一号!1,000件以上が登録されている国宝ですが、これが最初と考えると感慨深いです。ただし、同時に国宝指定されたものが他にも多数ありますので、正確には「彫刻部門の第一号」というのが正しい表記な予感。

なお、昭和35年(1960年)、京都大学の学生が像にふれて右手薬指を折ってしまうという事件も。Wikipediaによると「実物を見た時”これが本物なのか”と感じた。期待外れだった。金箔が貼ってあると聞いていたが、貼られておらず、木目が出ており、埃もたまっていた。監視人がいなかったので、いたずら心で触れてしまったが、あの時の心理は今でも説明できない」とのコメントが。
気になるのは、その学生さんがその後どのような処分を受けたのか。文化財保護法違反にあたりそうですが、結局は起訴猶予処分となったようです。
さわりたくなる気持ちにはなりませんでしたが、不思議な魅力を放つ像。笑みを浮かべるような「アルカイックスマイル」を感じる表情が非常に際立っていますが、個人的には台座に掛かる布のドレープが美しすぎると感じました!
(本当にどうでも良いのですが、学校の授業で「アルカイックスマイル」を習った際に、表情を真似るのが大流行した記憶があります。ウチの学校だけですか?)
アクセスと営業情報
・JR「太秦駅」より徒歩約13分
・嵐電「太秦広隆寺駅」より徒歩約1分
| 開門時間 | 9:00~17:00 ※未確認 |
|---|---|
| 料金 | 霊宝殿:1,000円 |
| 公式サイト | 不明 |
※掲載の情報は2025年9月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。


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