東松山市にある戦争に関連する資料館。学校の様子を疑似体感できる教室や、当時の食卓の再現など、戦時下の生活をリアルに体験できる展示が多数そろっています。展望塔からのパノラマも見どころです。
戦争に関するミュージアム
埼玉ピースミュージアム(埼玉県平和資料館)は、埼玉県の東松山市に1993年にオープンした戦争ミュージアム。2013年に一度リニューアルを果たしました。
物見山公園の木々に包まれた建築。外観は現代アートミュージアムのような姿をしています。
エントランスを抜けると、県立松山女子高校書道部による「平和」と「創造」の文字、そして世界がテーマの縦8.5m×横18mの壮大な大壁画が姿を現します。
展示室へはこちらのタイムトンネルを抜けていきます。ゆっくり進む平面エスカレーターとささやかなライトの演出が雰囲気抜群。
常設展示室は、戦時下を開設するパネルや遺留品など多岐に渡っています。いずれも人々と戦争との関わりを感じることができる内容です。
戦時下を伝える展示
こちらは戦前の住宅。大正末期に浦和に建てられた町営住宅を再現したものです。ちゃぶ台に並ぶのはご飯、味噌汁、小魚やナスの漬物。何気なく見ていたのですが、続く展示を見ると、このちゃぶ台の意味が見えてきます。
展示室を進んだ先に現れるのは、戦時下の住宅。爆風でガラスが飛ぶのを防ぐため、窓ガラスに障子紙を張り付けていたり、電灯にもカバーがかけられていたりと様々な工夫が凝らされています。
そして、ちゃぶ台に並ぶのはすいとんと漬物だけ。この食事の移り変わりは、戦時下をリアルに体感するのに充分すぎる展示です。
こちらは風船爆弾の模型。アメリカ本土への直接攻撃を行うために和紙とコンニャクのりで作られた、直径10mの気球です。日本から9,000発以上が発射され、その1割がアメリカに到達したそうです。
教育と避難の擬似体験
展示室の一角には教室を再現した部屋があります。こちらは戦時中のある一日を15分間で疑似体験できるコーナー。
スクリーンには戦時中の国民学校の教室の中で授業が流れ、席に座ると当時の教育を体験することができます。起立・礼・着席の号令とともにはじまる科目は「修身」、今で言う道徳にあたる内容です。
歴代天皇の号令、大東亜戦争は何のための戦争か、大東亜共栄圏とは何か・・・。日本国内だけでなく、アジア全体を他国から守り裕福にするための戦いであるという考えを浸透させる内容でした。
授業の途中で鳴り響くのは空襲警報。教室から防空壕に移動するように指示があります。
再現された防空壕は内部へ避難できるつくり。中に入ると、音と光と振動による空襲の疑似体験がはじまります。
なお、この体験は9:20〜16:00まで、平日は40分おき・土日祝日は20分おきと時間が決まっています。平日は回数が少ないので、訪問の際は時間を見ながら向かうのがおすすめです。
パノラマ広がる展望タワー
館内には展望タワーがあり、エレベーターで自由に登ることができます。
高さは41mとそれほどではありませんが、海抜は147.5m。展望フロアは、遮るもののないパノラマが広がっていました。
資料館の庭に広がる芝生には、埼玉県のマスコットキャラクターであるコバトンが描かれています。
設置されている望遠鏡は全て無料。目の前に広がる大東文化大学の東松山キャンパスや埼玉県こども自然動物園の森、遠くには川越、大宮、池袋、新宿といった街並みも見ることができます。
戦争をテーマにした資料館の中でも、リアルな体験という点で非常に充実した内容の展示でした。特に、教室に座り授業を受け、その途中で防空壕に避難するという体験は唯一無二。授業の映像もびっくりするほどリアルに作られていました。
戦争に関する知識がなくても、とりあえず行ってみるのをおすすめします!
アクセスと営業情報
東武東上線の高坂駅からバスで5分の「大東文化大学」から徒歩5分。
今回「埼玉県こども自然動物園」から歩いて向かったのですが、資料館の入り口までは距離があり、しかもずっと上り坂。徒歩だと30分近くかかりました。1区間だけでもバス利用がおすすめです。
開館時間 | 9:00~16:30 |
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休館日 | 月曜、年末年始 |
料金 | 無料 |
公式サイト | https://www.saitama-peacemuseum.com/ |
※掲載の情報は2024年10月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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