様々な企画展を開催する大きな美術館。多数のインスタレーションも展示されており、無料で鑑賞することができます。歴史を現代的に解釈した作品は、この地で見ることに意味があります。
モダンな建築の美術館
大分市の中心部にある大分県立美術館 OPAM。1977年9月に開館した大分県立芸術会館を前身としており、2015年にオープンしました。
1階はガラス張りのアトリウムが広がっております。外からも中の様子がわかるようになっており、立ち寄りやすさを演出しているそうです。
これぞ現代の美術館といったデザイン性の高い建築は、世界的建築家・坂茂(ばん しげる)氏の設計によるもの。建築界のノーベル賞と言われる米プリツカー賞を受賞しており、東京銀座「ニコラス・G・ハイエック・センター」、フランス国立近代美術館分館「ポンピドゥー・センター – メス」など、世界中に多数の作品を残しております。
複数の展覧会を開催
広い館内には多数の展示室があり、複数の展覧会を同時に開催しています。直近ではこんなラインナップです。
会期:2024年4月5日(金)~6月3日(月)
会場:大分県立美術館 3階 コレクション展示室
会期:2024年4月5日(金)~5月6日(月・振休)
会場:大分県立美術館 1階 展示室A
4/4(木)に訪問した所、いずれもまさかの準備期間。ちょうど展示替えのタイミングに当たってしまいました。
唯一鑑賞できた展覧会がこちら。
会期:2024年3月1日(金)~2024年4月30日(火)
会場:大分県立美術館 2F
大分市在住の画家、伊藤篤司さんの作品が並ぶ企画展。赤レンガ館、縁起横丁、若草公園など大分の町並みを描いた作品は、まちの変遷も感じることができます。
常設インスタレーション
このOPAM、展覧会がなくても見どころがあります。館内の1階と3階には多数の作品が常設展示されており、無料で自由に鑑賞することができるのです。
①ユーラシアの庭
かつて大分県の臼杵にはオランダの商船「リーフデ号」が漂着。臼杵の人々が助けたという乗組員には、後に幕府に使えるヤン・ヨーステンやウィリアム・アダムス(三浦按針)らがいました。1階のアトリウムには、このエピソードを呼び覚ます「ユーラシアの庭」と呼ばれる2つのインスタレーションがあります。
《ユーラシアン・ガーデン・スピリット》マルセル・ワンダース
イースターエッグのような卵型のバルーンは、さわっても大丈夫。風船とは違いけっこうしっかりした質感ですが、軽く押しただけで揺れ動く。固定されているわけではないのですが、さわっても位置が動かないという不思議な存在感。
《ユーラシアの庭「水分峠の水草」》須藤玲子
日本のテキスタイルデザイナー、須藤玲子による作品。白い筒のようなものが多数ぶら下がっております。うっすらと照明がついているので、日が暮れてからの方がきれいに見えそう。
②ミヤマケイの大分観光壁
1階アトリウムの奥は「大分のため」「大分の伝統が現代に蘇る」をイメージしたアート観光壁。日本の伝統的な故事来歴をポップに表現するアーティスト、ミヤマケイによる作品が並びます。
《世界は届けい・セカイハトドケイ WORLD could be a safe place CLOCK 大分の中心で家内安全を叫ぶ》ミヤマケイ
壁に掛けられているのはたくさんのデジタル時計。「PARIS」「AMSTERDAM」などとともに「大分」の文字が記されているものも。よく見ると時計そのもののデザインも、その都市をイメージした建物の形をしています。定時になると、都市名部分に各都市の言語でメッセージが流れてきました。
《水府 覆水難収・フクスイオサメガタシ》ミヤマケイ
唐突に現れるのはプール。白いタイルの枠の中はエメラルドに光る。監視員用の背の高いイスも置かれています。
このプール、泳いでも良いそう。靴は脱いで物を落とさないように注意とのこと。なお、水は張っていないので、泳ぐ場合は演技力が問われます。もちろん飛び込みは禁止ですよ!
《おかえりなさい。》ミヤマケイ
吊るされている七夕飾りのようなものは、大分の伝統工芸品「切子灯籠」。そこには仏頭やヒツジ、神獣のような生き物が描かれています。
《もどる場所があるということ》ミヤマケイ
横長の作品ですが、一度に全貌を見ることができない仕掛けがあるため、横に進みながら見ないといけません。描かれているのは、おじいさん、ウサギ、キツネ、だるま、キジ、ネコ、白狐、そして2人の子ども。どんなストーリーなのか想像しながら鑑賞するのもおすすめ。
③天庭
3階屋外展示が天庭(あまにわ)。自然光が降り注ぐガラス張りの中庭には、カラフルな作品群が。
クリアなガラスの作品、セラミックのような質感の赤や青の植物、集合体のような白いオブジェ。
《四大エレメントより−火および水》《原初の庭》徳丸鏡子
《クリスタル・フラワー》礒﨑真理子
《光を呼ぶ、雨を求める》高橋禎彦
「工芸を超える現代三人衆」と称される3名の作品が入り混じっています。どれが誰の作品か考えながら見るのも楽しいです。
展覧会は見れませんでしたが、常設インスタレーションは見ごたえ抜群。これが無料で楽しめるのはとってもお得な気分でした。
アクセスと営業情報
JR九州の大分駅から徒歩15分。車の場合は大分ICから10分ほど。駐車場は1時間まで200円、以後30分100円。建物の周りは一方通行が多いので、事前に公式サイトで駐車場入口を確認しておくのがおすすめです。
開館時間 | 10:00~19:00 ※金土は20:00まで |
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休館日 | 年中無休 ※臨時休館あり |
料金 | 展覧会により異なる |
公式サイト | https://www.opam.jp/ |
※掲載の情報は2024年4月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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