富津岬の先端にある、まるでキノコが集まったような不思議なカタチの展望塔。他に類を見ない独特なデザインは、なんとも説明し難い魅力があります。階段で自由に登ることができるため、大人でもついついはしゃいでしまうスポットです。
魅力が詰まったデザイン
富津(ふっつ)岬の先っぽにある明治百年記念展望塔。その先端には明治百年記念展望塔という展望塔が建てられています。
何といっても目を引くのはこのデザイン!こんなカタチの展望台、他にありますでしょうか。
この展望台をデザインしたのは、造園家でもあり環境デザイナーでもある池原謙一郎氏。幾重にも重なる構造は、「五葉松(ごようまつ)」をイメージしているそうです。
通常は針のような葉っぱが2本ほど生えている松の木ですが、五葉松は短めの葉が5本生えています。丸っこいフォルムとなり、盆栽で使用されることもあります。
好きなフロアを見つけよう
一時は登れない期間もあった展望台ですが、今は自由に探検できます。階段を次々登って先へ進んでいく感覚は、まるで大人のジャングルジム。派手な演出があるわけではありませんが、なんだかワクワクしてしまいます。
全体で組み上がっているように見えていましたが、よく見るとひとつひとつは1本の柱の上に乗っており独立しています。まるでキノコの集合体のような姿なのです。
ところどころにはちょっとしたイスも設置されています。みなさま好きな場所で思い思いに過ごしている感じが、とってものびのびとした雰囲気。
この展望塔があるのは、前述の通り細い岬の突端。そのため、どこを選んでも基本的にはオーシャンビューは約束されています。
空に浮かぶ最上階
他の層は入り組んでいますが、最上階への階段はたった1ヵ所だけ。
そこへ足を踏み入れると、まるで空に浮かんでいるような感覚を体験することができます。
最高地点は21.8m。数字だけみるとそんなに高くは感じませんが、開放感あふれるつくりであるため体感はずっとずっと高く感じます。
遠くに浮かんでいる小島は第一海堡。「海堡(かいほう)」というのは人口の島。かつてこのあたりは首都防衛のための要塞が築かれていたのです。
周辺にはビーチもあり
展望台の周辺は富津公園として整備されています。すぐ近くには富津海岸の砂浜が広がっており、テントをはってバーベキューを楽しむ方々が何組も来ていました。なんとなく穴場ビーチな雰囲気です。
海上にはたくさんのジェットスキーが走り抜けており、海の家のような食堂もあります。
さらに、ちょっとマニアックな箇所ですが、「着弾観測壕」という戦争遺跡なんかもあります。海風を浴びながら、周辺を散策してみるのもおすすめです。
感じる昭和のエネルギー
ところで気になるのは『明治百年記念展望塔』という名前。いったいどのような意味があるのでしょうか。
明治に元号が変わった1868年からちょうど百年後の1968年に、政府主体のもと「明治百年記念式典」が大々的に開催されます。それに伴う明治百年記念事業として全国に公園や博物館が作られたり、国際交流を図ったりと様々なことが行われていたそうです。
こちらの明治百年記念展望塔も、そんな明治百年を記念して造られました。
気になるのは、その時点で元号は昭和へと変わっているということ。なぜ2つ前の元号である明治百年のお祝いをしたのでしょうか?
ここからは予想ですが、明治というのはそれまでの日本が大きく変化し近代国家へと変わった激動の時代。それが百年続いたのだから「近代日本建国百周年」的な意味合いで式典を開いたのではないでしょうか。
また1968年という時代もポイント。高度経済成長期に入り、4年前には東京オリンピックも開かれ、さらに2年後には大阪万博も控えているというなんだかワクワクしてしまう時代。お祝いごとに対する昭和エネルギーがあふれていたのではないでしょうか。
アクセスと営業情報
JR内房線の青堀駅からバスで20分ほどのバス停「富津公園」下車後、徒歩20分。
開園時間 | 24時間 |
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料金 | 無料 |
公式サイト | https://www.city.futtsu.lg.jp/0000000524.html |
※掲載の情報は2023年9月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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