世界一の木造歩道橋!?『蓬莱橋(ほうらいばし)』(島田市)

静岡県

ストレートに伸びる姿が美しい、木でできた歩道橋。雄大な大井川の上を歩くと、清々しい気持ちになれます。「世界最長の木造歩道橋」としてギネス登録されている橋ですが、本当に世界一なのかも検証してみました・・・!

訪問日:2023/2/25(土) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

とにかく長い木の橋

蓬莱橋(ほうらいばし)は、静岡県島田市の大井川に架かる木造橋。全長は897.422メートルにも及び、「897.4 mの長い木橋」にかけて「厄なしの長生き橋」なんていうユーモアあふれる語呂合わせでも知られています。

橋を渡る場合、北側から入るのが一般的。駐車場はこちらにあり、近くには物産販売所である「蓬萊橋897.4(やくなし)茶屋」と勝海舟の銅像などもあります。

この橋は24時間通行可能、ということで客足が落ち着く夕方頃に訪問してみました。橋を渡るには通行料100円が必要であり、受付が閉まる夕方以降は料金箱に投函します。

蓬莱橋を歩く

橋の通行幅は2.4メートル。歩行者目線では、狭くも広くもなくちょうど良い感じ。木造ならではの軋みはありますが、吊り橋のように揺れることもなく、橋板の隙間もほとんど見えないため快適に歩くことができます。

ただし、両サイドにある柵が低いので転んだらピンチ。風が強いことも多いので、よろけないように注意が必要です。

橋の中心部分には「ど真ん中」という記載も発見しました!控えめな表記なので、意外と気が付かずに通り抜けてしまいそうです。

足元だけを見ながら歩いていると、橋が後ろにコンベアのように後退しているような錯覚に陥ります。例えるなら車の洗車機で、停車しているのに進んでいるように感じるあの感覚に似ています。

さくさく歩いて12分、対岸に到着しました!

渡った先にあるもの

渡った先にはミニギャラリー、仮設トイレ、そして恵比寿様。ここから先は七福神が配置された「蓬萊七福神の小路」という散策路へとつながります。片道1.7km、約25分とのことです。

日没がはじまっているので、あまり奥へ進むのも不安。ということで、すぐ近くにある展望台へ。ここからは、まっすぐ伸びる蓬莱橋の全貌を拝むことができます。

さらに、記念撮影にぴったりなフォトフレームも。このフレームは、蓬莱橋の解体古材を利用しているそうです。

蓬莱橋の歴史

江戸時代、東海道最大の難所と言われていた大井川。橋を架けることも渡し舟を運航させることも許されておらず、川越人足(かわごしにんそく)という、肩車や連台で川を渡す人夫に頼るしか方法がなかったといいます。

そんな江戸時代も終わり、明治時代に入ると、職を失った旧幕臣たちは牧之原台地を茶畑として開拓。その際に茶畑と島田宿を結ぶために架橋したのがこの蓬莱橋なのです。

これでいつでも川を渡れるようになり、みんなが幸せになりました・・・!と言いたいところですが、この架橋により問題となったのは川越人足。橋がある以上は人夫に頼る必要性はなくなり、お役御免となってしまいました。職を失った人夫たちは、旧幕臣たちとともにお茶畑の農作業へ従事。その結果、さらに静岡はお茶の生産が盛んになっていったようです。

人々の生活を支えた蓬莱橋ですが、1994年にコンクリートでできた島田大橋が供用開始されると、通行人は徐々に減って行きます。現在は、観光名所としての役割を担っています。

世界一の木造橋?

この蓬莱橋は、「世界最長の木造歩道橋」としてギネスに認定されているそう。駐車場の近くには、ギネス認定書を記した記念碑も建立されていました。

世界一なんてスゴイ!!そう思ったのですが、ここでそれを覆す情報が。ミャンマーにある木造橋ウーベイン橋は、その長さなんと1.2km。この蓬莱橋よりも長いのです。ということは、世界一はウーベイン橋なのでは・・・?

蓬莱橋のギネス登録後にできた新しい橋かと思いきや、この橋の建設は1849年とのこと。なぜウーベイン橋がギネス登録されていないのでしょうか。私がぱっと思いついたのは以下の3つ。

①何らかの理由で正確に調査できなかった
②単純に申請していないだけ
③「木造歩道橋」という定義から外れる理由がある

蓬莱橋がギネス記録として認定されたのは1997年。この頃のミャンマーは軍事政権解体前のミャンマー連邦時代であるため、①の可能性もありそうです。

さて、あまり詳しくない世界史の話でお茶を濁してしまいましたが、世界最長の木造歩道橋としてギネスに認定されているのは事実。そして、本当に世界最長かどうかは要検討、といったところでしょうか。国内で最長の座が揺ぐことはなそうなので、こういうときは「日本一の木造歩道橋」と言ってくのが良さそうです!

御託はさておき、とりあえず夕暮れ時の蓬莱橋は素敵すぎます!

アクセスと営業情報

橋の通行は24時間可能なので、早朝や夕暮れの人が少ない時間に訪問することもできます。

通行料は100円。8:30~17:00は受付にて支払い、それ以外の時間は料金箱に投函するカタチになります。

JR島田駅から徒歩20分ほど。車の場合は、東名の吉田ICから15分、新東名の島田金谷ICから20分ほど。駐車場は橋の北側の河川敷にあり、無料で利用できます。

車がある方、時間に余裕がある方は、このまま山間部へ進み「塩郷の吊り橋」「奥大井湖上橋」など、橋めぐりをするのもおすすめです!

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