御前崎に建てられた2つの塚、「ねずみ塚」と「猫塚」。ここに祀られているネズミとネコには不思議な伝説が残されています。いったいどのような出来事がこの地で起こったのでしょうか。
ネズミを祀るねずみ塚
御前埼灯台がそびえる御前崎ケープパーク。灯台から300mほど進むと、見えてくるのが「ねずみ塚」。
石碑の上にちょこんと乗っているのは、ねずみの像。何か玉のようなものを抱えたており、なんともかわいらしい姿。キレイな花が添えられており、きちんと清掃されています。
「塚」というからには、何かねずみに関わる出来事があり、それを供養するために建てられたのでしょうか。東京都広尾の祥雲寺にあるという鼠塚は、1900年のペスト流行の際に駆除されたネズミを供養するために建てられたそう。ここにはいったいどんなストーリーがあるのでしょうか。
ネコを祀る猫塚
そんなねずみ塚から徒歩10分ほどのところ、駒形神社の近くの畑にあるのが猫塚。
ねずみ塚と同様に石柱の上に猫の石像が置かれています。ネズミに比べると少々風化しております。
こちらもネズミ塚同様に手入れはしっかりとされています。ネコ缶が供えられており、現代でも大切に信仰されているような雰囲気。
北海道知内町にある猫塚は、退治された化け猫を供養するために建てられていました。ここに祀られているネコはいったい何をしたのでしょうか?
ネズミとネコの戦い
ねずみ塚と猫塚、この2つにはネズミとネコの伝説が残されています。ねずみ塚の案内板に記されていた内容を要約してみるとこんな感じ。
かつて旅の僧に化けたネズミが住職に襲いかかろうとしたところ、2匹のネコに阻まれ、相討ちとなってしまいました。
猫は手厚く葬られましたが、ネズミは海に捨てられることに。海へと運ばれたネズミですが、運びきれず途中であるこの地に捨てられることに。
その夜、ネズミは村長の夢枕に姿を現し、「心を入れ替えて漁業の守り神となりますからお墓をつくってください」と懇願。それ以後、ねずみ塚が作られて海の守り神として祀られることになったそうです。
両者共倒れの結末
さてさて、猫塚の方に記されていた案内板は、もう少しディティールがくっきりとしています。
かつてこの近くにあった遍照院というお寺の住職は、海上を漂う板にしがみつく仔猫の姿を発見します。不憫に思い、漁師に頼んで救助してあげました。この仔猫はすくすくと育ち、言葉も聞き分けるほどになったそう。
ある日、お寺に旅の僧が訪ねてきたため、住職は堂内に停めてあげることにします。続いてその3日後、隣の猫が寺の猫をお伊勢参りへと誘いにやってきます。寺の猫はなんとなく住職の身が気になり、これを断ってしまいます。
その日の真夜中、お寺の本堂で大きな物音が響き、村人たちが駆け寄ると、そこには「巨大なネズミ」と「寺の猫&隣の猫」が倒れているという不思議な光景が広がっていました。旅の僧の正体は大きなネズミで、住職を食おうとしていたところ、2匹の猫に正体を見抜かれ、退治されてしまったのです。
2匹の猫も深い傷を負い、村人たちの看病空しくこの世を去ってしまいました。住職は、身を挺して守ってくれたこの2匹の猫を手厚く葬りました。この猫塚は、この伝説を後世に伝えるため、1932年に建立されたそう。
近くにある2つの塚に祀られているねずみと猫は、かつて戦って双方果てたという壮絶な過去があったのでした。日本各地に存在する鼠塚と猫塚ですが、このようなストーリーは他では見かけたことがありません。
御前崎に訪れた際は、2つの塚をめぐって、ネズミとネコの戦いを想像してみてはいかがでしょうか。
おまけの駐車場情報
「ねずみ塚」は目の前に駐車場があります。御前埼灯台も徒歩5分ほどなので、合わせての訪問がおすすめです。
「猫塚」は駐車場が無く、道も狭いため路上駐車もしづらいです。ねずみ塚から徒歩10分ほどなので、歩いて向かうのがおすすめ。ただし、猫塚周辺は交通量は少なく、そんなに滞在するような場所ではないのでちらっと見るだけなら、ぎりぎり路上駐車でも大丈夫かもしれません。
コメント
[…] […]