太陽の門を有する神聖なるグスク跡『玉城城跡』(南城市)

沖縄県

琉球神話にまつわる重要な聖地が多く残る沖縄本島南部。この玉城城跡(たまぐすくじょうあと)も、古来より重要な聖地として琉球国王や住民から崇められてきました。ダイナミックな石垣と、そこに造られた太陽の門が見ごたえある城跡です。

訪問日:2022/3/29(火)

階段を登って城内へ

駐車場からは未舗装の道を進んで行きます。若干不安になりますが、すぐに木々は晴れます。

広がる城壁と、うねる木製の階段が見えてきました。この玉城城跡は台地の上に築かれた山城。高い位置にあるため、少しだけ登る必要があります。

この見えている石垣は、一の郭(主郭)の城壁。絶壁のように立ちはだかり、近くで見るとかなり迫力があります。保存状態は良好で、完全に近いカタチで残っているそうです。

太陽の門

階段を登った先にあるのは、ぽっかりと空いた丸い門。城内へと続くこの門は、一枚岩をくりぬいて造られているそう。

ここは玉城城跡イチの絶景ポイント。この門の手前で振り返ると、青い海と広がる空、そして琉球ゴルフ倶楽部のグリーンが広がる景色が見えます。

さらに、門をくぐった先から見ると、まるで景色を切り取ったような、とっても絵になる光景に。

この門、夏至の日の早朝に訪れると、ちょうど朝日が射し込むように計算されているそう。「玉城城跡 夏至」などで検索すると、城門がオレンジに染まる神秘的な写真を見ることができます。

二の郭と三の郭

門を潜り抜けた先には広大な空間・・・ではなく、かなりコンパクトな広場。

二の郭、三の郭があったとされていますが、建築などは残っておりません。また、それぞれの郭の城壁は米軍が基地建設の資材として持ち去ったため、保存状態はそれほどよくはありません。しかし、道のように続く石垣や、1段高いスペースから、かつて建築があったことが感じ取れます。

城内には拝所があります。案内板によると、「天つぎあまつぎの御嶽」(※雨つづ天つぎ御嶽(あまつづてんつぎうたき)とも)が祀られているそう。

神聖なグスク

琉球神話における創世神アマミキヨは、沖縄本島をつくり、そこに9つの聖地と7つの森を作ったと考えられています。斎場御嶽(せーふぁうたき)に代表されるこの聖地は、「琉球開闢九御嶽」として最も神聖な地とされています。ここ玉城城跡にある御嶽も、そのうちの一つであるため、古来より聖地として崇められてきました。

そのため、琉球国王が国の安泰と豊作を祈願する聖地巡礼の儀式「東御廻り(あがりうまーい)」においても、園比屋武御嶽や斎場御嶽、知念グスクとともに14の聖地として指定されています。

漢字から「グスク=城」と捉えていしまいがちですが、この玉城グスクを見ていると、軍事拠点や権力の象徴であった内地の「城」とは少し異なっているように感じます。どちらかといえば、寺院や神社といった宗教施設に近いものであったのではないでしょうか。

グスクロード

玉城城周辺には多くのグスク跡が残されており、それらをつなぐ道は「城の道(グスクロード)」と呼ばれています。中でも、糸数城は立派な石垣が残されており、見ごたえがあります。グスクロードの西端に位置しており、玉城城から約3km。合わせての訪問がおすすめです。

連なる石垣は見事。規模は大きく、かなり立派な城であったことが伺い知れます。

この城は玉城城の西を守るために築かれたといわれていますが、詳しいことはほとんどわかっておりません。
本当は糸数城址で1記事書こうと思っていたのですが、Wikipediaですらも「築城主 不明/築城年 不明/主な城主 不明/廃城年 不明」といった状態でほとんど情報が見つかりませんでした。

規模も大きく、保存状態も良く見えますが、記録が残っていないのは少し違和感。内地と比べると、沖縄は残された史料が少ないということを実感しました。

アクセス情報

那覇バスターミナルより上泉行きのバスで約50分、バス停《玉城》より徒歩20分ほど。
車の場合は那覇空港より30分ほど。

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