日本三大稲荷に数えられる豊川稲荷。参道に立ち並ぶ無数の幟(のぼり)や、あたりを埋め尽くすほどの像が集まる霊狐塚など、印象的な光景が広がります。稲荷神社かと思いきや、実は神社ではないのをご存じでしょうか。
重厚な伽藍
お土産屋さんや飲食店が立ち並ぶにぎやかな参道を抜けると見えてくるのが明治時代に改築されたという総門。銅板葺きの屋根はかなり大きく、少しアンバランスなデザイン。
大本殿は総欅(けやき)造りで重厚な印象。高さ30mというかなりの大きさで、非常に迫力のある建築です。
この大本殿は、明治時代に有栖川宮家より「豊川閣」の大額が下賜されたことにより豊川閣とも呼ばれるようになりました。そのため豊川稲荷に加えて豊川閣という名で呼ばれることもあります。
眼が眩む千本幟
大本殿から奥の院へと続く参道には、たくさんの幟(のぼり)が立ち並んでいます。こちらは、その数の多さから「千本幟」という名で呼ばれています。
立ち並ぶ木立の中に白地に赤文字ののぼりがびっしりと並ぶ様子は圧巻。どこまでも連なる姿は、別の世界へ導いてくれそうです。
無数の幟は全て参拝者が奉納したもの。良く見ると奉納者の住所と氏名、そして商売繁盛や良縁成就などの願いもしっかりと込められています。
神秘的な霊狐塚
本堂から進んでいくと、霊狐塚(れいこづか)にたどり着きます。境内でかなり奥地にあるため、ここまで参拝に来ている人は非常に少ないです。
びっしりと並ぶのは赤い前掛けの狐像。願いを込めて奉納されており、その数はなんと800体を越えるというから驚きです。
こちらの岩は、富士山の溶岩とのこと。その上にももちろん狐像が鎮座していました。
この岩の隙間には硬貨が納められており、それを見つけて持ち帰ると金運がアップするとのウワサ。そして、一年後上手く儲かっていたら、再び納めに来るそう。公式HPには記載が無いため、参拝者の中で生まれた民間信仰かもしれません。
東京にある豊川稲荷東京別院では、参拝時にお金を借りて一年後お返しする「融通稲荷」があります。ここがルーツだったりするのでしょうか・・・?
神社ではない?
境内にそびえる鳥居、そして豊川稲荷という名前から稲荷神社と思い込んでしまいますが、実は豊川稲荷は神社ではありません。妙厳寺という曹洞宗の寺院なのです。
本尊は千手観音菩薩。その護衛をつとめるのが豊川吒枳尼眞天(とよかわだきにしんてん)という神様で、キツネに乗った天女の姿で描かれることが多く、明治以前の神仏習合では稲荷神と習合されていました。
なお、境内の鳥居は神仏習合の名残かと思いきや、神仏分離令が出された際に一度撤去されています。現在立てられている鳥居は、東海道にあったものを移転してきたものらしいです。
アクセスと情報
JR飯田線の豊川駅から徒歩5分とアクセスは非常に良好です。
車の場合は豊川ICから約10分ほど。拝観料は無料ですが、駐車場は有料となっています。
一番メジャーなのは大駐車場(1日600円)。豊川稲荷の参拝だけで、そこまで長居しない場合は豊川商店街駅前駐車場(20分100円)に停めると少しだけ節約できます。
開門時間 | 総門は5:00~18:00 ※本殿、奥の院、万堂は7:30~15:30 |
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拝観料 | 無料 |
公式サイト | https://www.toyokawainari.jp/ |
豊川稲荷は、東京赤坂にも別院を持っています。境内はそれほど広くありませんが、立ち並ぶ千本鳥居や霊狐塚を拝むことができます。
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