何度でも復活する朱の城『首里城公園』(那覇市)

沖縄県

沖縄を代表する観光地として知られる首里城は、かつての琉球王国の国王の居城。琉球の文化や歴史をダイレクトに感じることができる貴重な歴史スポットです。那覇空港からゆいレール直通で行けるアクセスの良さもポイントです。

2018/10/5(金)
※掲載内容は2019年火災による焼失前のものです

いくつもの門を抜けて

首里駅から歩くこと10分弱、守礼門(しゅれいもん)へ到着。沖縄戦で破壊されてしまいましたが、昭和33年(1958年)に復元されました。私の記憶では、この門には「守禮之邦」と書かれた額が掲げられていた気がするのですが見当たりません。もしかして台風に備えて外していたのかもしれません。

続いて歓会門(かんかいもん)。「歓会」とは歓迎の意味。どことなく神社や寺院の雰囲気があった守礼門とはうってかわって、重厚な石の門。ここから先が首里城の城郭となります。こちらも沖縄戦で焼失しましたが、再建されました。

階段を登った先にあるのは瑞泉門(ずいせんもん)。「瑞泉」とは、めでたい泉という意味で、かつてはこの石段の途中に水がわき出る泉があったそうです。瑞泉ときくと泡盛の銘柄が浮かびますが、その名前もこの泉からとったらしいです。

真っ赤な廣福門(こうふくもん)。門というよりは建物そのもの。迫ってくるような圧迫感があります。ここを抜けた先は首里城の中枢部。有料ゾーンとなります。

首里城の中心

ひたすら門をくぐり抜け、ついに正殿(せいでん)へ。正殿は、玉座が置かれ城の中心となる御殿。イメージは天守閣みたいな位置付けかと思います。中国と日本の文化が混ざった建築が独特で、非常に個性的。屋根の上には鯱ではなく龍が乗っています。

世界文化遺産「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として世界遺産に登録されている首里城。しかし、実のところ登録されているのは首里城ではなく「首里城跡」。この豪華な正殿も、戦争により焼失・復元された建築物のため、世界遺産ではないのです。

正殿の前の広場は御庭(うなー)は年間を通して様々な儀式が行われた広場。地面に目をやると、赤と黄色のストライプ柄がとってもあざやか。

正殿の内部へ

正殿は内部に入ることができます。琉球王国の歴史や文化に関する展示、美術品などが飾られており、博物館のような雰囲気です。

2階にあるこちらの椅子は、国王の玉座である御差床(うさすか)。王の間として相応しく豪華絢爛な装飾が施されております。

さらにその真下の1階にも御差床があります。1階は国王自ら政治や儀式を行う場所、2階は国王や親族たちが儀式を行う場所と分けて使用していました。御差床の奥には階段があり、国王はこの階段を使用して1階と2階を行き来していたそうです。

琉球舞踊の実演

館内放送に耳を傾けると、琉球舞踊が間もなくはじまるとのこと。正殿を出て、会場となる下之御庭(しちゃぬうなー)へと向かいます。

琉球舞踊にはそれぞれ様々な歌意(かい=歌の意味)があります。アナウンスやパネルによって紹介してもらえるので、いろいろとイメージしながら見ることができます。

「かぎやで風」

歌意は「今日の喜びを何とたたえる事ができましょう。まるで蕾の花が朝露を受けて、ぱっと咲き開いた様な心持ちです」。演者さんはとても真剣な面持ちでしたが、喜びを表現した舞とのことでした。

「かせかけ」

歌意は「七読や廿読の細かい縦糸を糸巻きに掛置き 愛しい貴方様に蜻蛉の羽のような美しい 着物を作ってあげたい」。現代的に解釈するなら、働く女性の健気なラヴソングといったところでしょうか。

この琉球舞踊は1日3回(11:00/14:00/16:00)上演されるそう。無料エリアでの開催なので、観覧料はもちろん0円です。開催曜日は水・金・土・日・祝と限定されていますが、普段気軽に見られるものではないので狙って行くのもアリではないでしょうか。

5回に渡る焼失

ここまでの記載は全て2018年10月訪問時のもの。その後、2019年に大規模な火災が発生、ほとんどの建築物が焼失してしまいます。

首里城が焼失してしまうのは今回が初めてのことでは無いそう。さらっと調べてみたところ、今回の火災を含めると、その数は5回にも及んでいました。

<首里城焼失の歴史>
①1453年:王位争いである志魯・布里の乱の戦火によって焼失。
②1660年:詳しい史料は残されていないようですが、再建に11年かかったそう。
③1709年:火災によって正殿・北殿・南殿などが焼失。
④1945年:第二次世界大戦におけるアメリカ軍の砲撃によって焼失。
⑤2019年:火災によって正殿と北殿、南殿が全焼。

このような波乱の歴史の城を見ると、大坂城(大阪城)が真っ先に浮かびます。大坂の陣、落雷、戊辰戦争、空襲と様々な天災・戦災に晒され、何度も焼失した大坂城。しかし、その歴史は何度壊されても復活してきたということにもなります。

首里城もまた多くの人の力添えのもと、輝かしい姿で復活することを祈っております。

アクセスと営業情報

ゆいレールの首里駅から徒歩10分ほど。那覇空港からゆいレールのみでアクセスできる貴重な観光スポットなので、沖縄到着日に立ち寄るのにもおすすめです。

開館時間 8:30~18:00 ※有料エリアは9:00~17:30
料金 400円
公式サイト https://oki-park.jp/shurijo/

※2021年7月現在の情報です

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