わずか10分でアクセスできる離島・篠島(しのじま)は、ローカルな島の魅了が色濃く残るのどかな離島。伊勢神宮と関連があり、20年に一度の式年遷宮とも深く関わっています。今回は早朝に訪問して、1時間ほど散策してきました。
篠島ってどんな島?
篠島(しのじま)は、三河湾に浮かぶ愛知県の離島。日間賀島(ひまかじま)・佐久島(さくしま)と合わせて愛知三島に数えられています。「鯛としらすとふぐの島」とも呼ばれる、海の幸が豊かな島です。
篠島行の船が出るのは知多半島の師崎(もろざき)港、河和(こうわ)港、渥美半島の伊良湖(いらご)港の3ヶ所。車がある方は師崎港が本数が多く利用しやすいですが、電車の場合は河和駅がすぐ近くにある河和港がおすすめ。
今回私は師崎港から向かうことにしました!
師崎港から篠島へ
早朝7:00の師崎港へ。連休明けの平日ですが、そこそこにぎわっています。
港のコインパーキングは1時間100円。周辺には民間駐車場も多く見かけました。11月というオフシーズンだったため空車がありましたが、夏季はきっと混雑するのでしょう。
師崎港から篠島への船は高速船とフェリーの2種類。高速船は23便、フェリーは6便とかなりの本数があります。所要時間は10分・お値段は710円と、かなり気軽に行ける離島です。
師崎7:40発⇒篠島7:50着
~1時間20分滞在~
篠島9:10発⇒日間賀島(西港)9:20着
篠島港には島の駅SHINOJIMAがあります。観光案内所、食堂、売店、レンタサイクルを備えた複合施設。篠島観光のスタートにぴったりですが、営業時間は9:00〜16:00のためまだオープンしていませんでした。
近くには見やすい観光案内マップが設置されています。紙のマップを入手できなかったので、これを写真に撮っておこう。
歩いてまわれる離島
篠島の面積は0.94km²と、徒歩で充分まわれるサイズの島。港から集落周辺を散策してみることにしました。
港のすぐ近くに設置されているカラフルなベニヤアート。よく見ると、人の名前がたくさん書かれています。これは、島の小中学校の卒業記念作品とのこと。
港に置かれている謎の石。こちらは名古屋城築城の石です。名古屋城普請をまかされた加藤清正は、篠島からも採石しておりました。石を割ったあとに残る矢穴と呼ばれる穴が空いているのが特徴。
島の東側に広がるサンサンビーチは、800メートルに渡り砂浜が続く海水浴場。ビーチサイドにはホテルや民宿がびっしりと並んでおり、夏場のにぎわいを匂わせます。
お地蔵様のように路肩に置かれているのは弘法様。島を囲むように全部で八十八ヶ所設置されており、港のすぐ近くには第八十八番と新一番が並んでおります。
バイクが行き交う集落
離島らしく、細い道が入り組んでいる篠島の集落。
ポイントは、ほとんどの道がアスファルト舗装されているところ。コンビニなどのチェーン店は無い島なのですが、モータリゼーションが非常に発達しており、バイクや車をかなり多く見かけます。
路地裏を覗くと、たくさんのバイクが停車中。埋め立て地が広がる北部以外は、起伏が多い地形なので、自転車だと少しハードなのでしょう。
原付に乗ったおじいさんが、道を歩くおばあさんの傍でストップ。おばあさんに「これ乗ってけ!」とバイクを受け渡すという、まるで映画のワンシーンのような光景も見かけました。
唐草模様の漁船
定期船の港とは別に、漁船が多く停泊している港があります。離島ではよく見かける小規模な漁港ですが、並んでいる船にはちょっとした特徴があります。
よく見ると、ほとんどの船の船主には、緑色の模様が描かれているのです。中央には赤いハートも描かれており、まるでタトゥーのようなかわいらしいデザインです。
この唐草模様がある船は、「篠島にて造られた船」。島内にある3ヶ所の造船所では、それぞれ独自の模様を記しており、どの造船所で造られた船か一瞬で見分けがつくようになっています。いわゆるブランドマークに近いのでしょうか。
なお、毎年7月に開催される祇園祭では、島中の漁船が集まり、船団パレードを開催しているそう。その数、なんと70隻以上!きっと凄い迫力なのでしょうね。
受け継がれる神聖な木材
島の集落内にある神明神社は、伊勢神宮より土之宮を勧進した神社。
伊勢神宮は一度遷宮を行い、お社を新しく立て直す「式年遷宮」を20年毎に行っています。その際、古い木材は全国の神社へ贈られ、リサイクルされています。
この篠島の神明神社も、そんな遷宮に関わる神社の一つ。式年遷宮とともに下賜される木材を使い、ここもまた20年に一度建て替えられているのです。
その際に、それまで神明神社であったお社は、海と造船の神として祭られる八王子社へと受け継がれます。さらに!それまで八王子社として祀られていたお社は、島内の小さな社へと変わっていきます。
伊勢神宮→神明神社→八王子社→小宮と受け継がれていく流れは、なんと千年以上も続いているそう。悠久の時を刻む伝統に、ロマンを感じずにはいられません。
伊勢神宮へ奉納するおんべ鯛
港を出て左手に見える小さな山は、神宮干鯛調整所。中手島という名の小島で、埋め立て工事により篠島と陸続きとなった島です。
神宮干鯛(じんぐうひだい)というのは、6月・10月・12月の祭事に、伊勢へお供えする塩漬けの鯛のこと。通称「おんべ鯛」とも呼ばれており、篠島のシンボルでもあります。古くは鎌倉時代の文献にも記載があったというおんべ鯛は、現在も伊勢神宮への調進が続いています。
調整所ときくと何か施設があるのかと思いきや、木が生い茂った山。参道らしき道が見えたので登ってみたところ、木々に包まれるようにお社がありました。
ここは現在でも伊勢神宮が管理しているらしく、おんべ鯛の加工に使用される道具や装束は、全て伊勢神宮から贈られてきているそうです。
日間賀島とセットで行くのもおすすめ
軽く散策を終えたので、篠島港へ。師崎港に帰るかと見せかけて、このあとは日間賀島へ渡ります!
篠島と日間賀島は3kmほどしか離れておらず、2島間の航路もあるためセットで訪問するのもとってもスムーズ。
さらに、お得な「2島めぐり周遊券」もあります。それぞれの島で1回ずつ下船が可能なきっぷで、師崎港発の場合1,500円とリーズナブル。
次回は日間賀島について書きます!
コメント
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