一般人がアクセスできる最東端、それがこちらの納沙布(のさっぷ)岬。すぐ目の前には北方領土を見渡すことができる、緊張感のある最果ての地です。岬の周辺には資料館や展望タワー、灯台や神社などの見所スポットが充実してます。
最東端の岬・納沙布岬
日本の最東端は東京都の「南鳥島」ですが、一般人がアクセスすることはできません。北海道東部、根室市にある納沙布岬こそが一般人が行ける本土の最東端。
なお、日本の東西南北のうち一般人が行ける限界は以下の4ヶ所。
西・・・与那国島(沖縄県)
南・・・波照間島(沖縄県)
北・・・宗谷岬(北海道)
いずれも北海道と沖縄で占められているのですが、意外と知られていないのではないでしょうか。納沙布岬は、他の3ヶ所に比べると観光スポットがとても充実しています。
今回私が訪れた6ヵ所をご紹介いたします。
①納沙布岬灯台
岬といえば灯台!この納沙布岬にも、納沙布岬灯台という名の灯台が建っております。
真っ白に輝く姿が美しい、北海道で最初の様式灯台。日本各地に多くの灯台を築き「灯台の父」とも呼ばれる技術者・ブラントンによって造られました。
中に入ることはできないようですが、近づくことはできます。裏手にまわってみると、目に入る謎の小屋。こちらは納沙布岬ハイド(野鳥観察舎)。文字通り、野鳥を観察するための小屋です。
3~10月:6:00~17:00
11~2月:7:00~16:00
この覗き小屋からならば、鳥を脅かさずにゆっくり観察ができます。野鳥の写真が名前付きで展示されているので、知識が無くても大丈夫です。
持参した双眼鏡でしばらく観察していると、黒い頭に赤い顔が印象的なチシマウガラスをたくさん見かけました!
②四島のかけ橋
納沙布岬を代表するのがこちらの四島(しま)のかけ橋。北方領土返還の願いが込められたモニュメントです。「四島」というのはもちろん、国後島、択捉島、色丹島、歯舞群島の北方四島のこと。
これ、写真で見るよりずっと大きい!高さ13m、横幅35mもあるため、とっても迫力があります。
1日でも早い北方領土返還を祈り、周辺には様々な碑やモニュメントが立ち並んでいます。
様々な石がぎっしりと敷き詰められたこのスペース、よく見ると47都道府県の名が刻まれています。こちらは「希望の道」。各都道府県産の石が埋められているのこの道は、北方領土の返還を願って造られたのです。
四島のかけ橋すぐそばにある灯火台には「祈りの火」が灯っています。この炎は、アメリカより変換された沖縄の波照間島で自然発火した炎を運んだもの。北方領土返還運動のシンボルとして燃え続けています。(※現在、夜間は消灯しているようです)
③望郷の家&北方館
四島のかけ橋のすぐ近くにある資料館、望郷の家と北方館。この2館は中でつながってます。
休館日:11~4月の月曜、年末年始
入館料:無料
地形的な北方領土の解説から、当時島に暮らしていた人々の声など北方領土に関する資料がたくさん。日本人として知っておかねばならないことでしょう。館内に流れるビデオでは、ロシア人と日本人が北方領土でふれあう楽しいシーンも見ることができます。
気になるのは北方領土の大きさ。最大の択捉島は沖縄本島より大きいのです。ということは、東京や大阪よりも大きい!
2階は展望室となっており、設置されている望遠鏡からは、北方領土がよーく見えます。なんと、ロシア国境警備隊員の宿舎や、赤く目立つ礼拝堂の姿も。普通に歩いている隊員が見えることもあるそうです。
まるでピサの斜塔のように傾くのは、北方領土で最も本土に近い貝殻島に立つ灯台。ロシアが実効支配しているため、管理することができず、廃墟のような姿となっています。
こちらでは北方領土視察証明書を発行してくれます。選べるデザインは5種類!
こんなに近くに見えるのに、北方領土へ渡ることはできません。現在北方領土へ渡ることができるのは・・・
・返還運動の関係者
・報道関係者
・専門家
関係ない一般人が渡るのはなかなか難しそう。ロシアに渡り、そこでビザを発行してもらえば普通の旅行者でも訪れることができるかもしれないみたいですが、それはちょっと違いますよね。
館内を歩いていると、シーサーを発見しました。こちらは、沖縄復帰20周年記念&北方領土の返還を祈って寄贈されたものです。間違いなく日本最東端のシーサーでしょう。
④オーロラタワー
納沙布岬周辺を一望できる白亜のタワー。またの名を望郷の塔といいます。こちらももちろん、日本最東端の展望タワーです。
休館日:火曜
料金:500円
ふと納沙布岬灯台を見ると・・・タイタニックしてる!
⑤納沙布金刀比羅神社
オーロラタワーの麓には、金刀比羅神社があります。こちらも現在のところは本土最東端の神社。高くそびえるオーロラタワーを後ろに控えさせております。
御祭神は金刀比羅大神と龍王神。金刀比羅神社といえば、讃岐に流された崇徳天皇が合祀されていることが多いのですが、ここでは含まれていないようです。配流先で故郷を思うことも多々あったであろう崇徳天皇には、『望郷』というコトバがとても似合う気がするのですが。
境内には石碑が立てられています。お墓、もしくは記念碑かと思ったのですが、そこに書かれている文字は『返せ北方領土』。参拝者に強力なメッセージを投げかけます。
⑥北方領土資料館
ラストはこちらの北方領土資料館。もともと観光物産センターであった建物をリニューアルして造られたミュージアム。2016年12月にオープンした、比較的新しい施設です。
休館日:11~4月の水曜、年末年始
料金:無料
北方領土返還要求運動の父、安藤石典に関する展示がたくさん。当時、根室町長であった彼は、戦後すぐにマッカーサーに対し北方領土を米軍統治下においてもらうよう願った陳情書を提出したり、日ソ共同宣言の際はときの首相である鳩山一郎に条約内の2島ではなく4島返還を要求すべきと直訴したりと、返還のために尽力し続けていました。
色丹島にあった色丹神社の1/4レプリカもあります。ゆるくカーブを描く鳥居は、シロナガスクジラの骨で作られています。
シアターでは、戦前北方領土で暮らしていた人たちの声を聞くことができます。当時、北方領土に暮らしていた人ってどれくらいだと思いますか?なんとその数17,000人以上!かってにもっと少数だと思い込んでいました・・・。
こちらでは、日本本土四極証明書をもらうことができます。北は宗谷岬(北海道)、南は佐多岬(鹿児島県)、西は神崎鼻(長崎県)と、日本本土の東西南北端にてもらえる証明書。裏面に日本地図の一部が描かれており、4枚集めると日本列島が完成する仕掛けになっています。
全部まわって観光だけで約2時間ほどの滞在でした。
納沙布岬には名物の生サンマ丼やカニ汁など、美味しそうな海鮮を扱う食事処もあります。食事や買い物をする方はもう少し時間を長めに取っておくと良さそうです。
私は根室でエスカロップを食べるため、お腹を空かせているのでここは我慢。さあ、根室市街へ向かいます。その前に、もう一つの最東端へ・・・
コメント
[…] 根室にある最東端は納沙布(のさっぷ)岬と名前が似てるので間違えないようにご注意ください。なお、ノシャップ岬を漢字で書く場合は「野寒布岬」となります。 […]