黄昏の海に浮かんだシルエット『人形岩』(薩摩川内市)

鹿児島県

東シナ海に面した薩摩川内(さつませんだい)市の西方町(にしかたちょう)。静かな入り江の中心には、不思議なカタチの岩が鎮座しています。まるで赤子を抱えた母親のような姿の岩には、悲しいストーリーが伝えられていました。

訪問日:2023/11/4(土) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

国道3号線の駐車場

1泊2日の甑島旅を終えて17:20に到着した川内(せんだい)港。本日の宿がある出水(いずみ)市へ向かう途中、気になったのが人形岩

国道3号線沿いに駐車場があったので、そこに車を停めて向かってみることにしました。

Google Mapでは「とるぱ」という名称で登録されています。謎の名称が気になり調べてみたところ、「撮るパーキング」の略称であり、撮影スポットと駐車場が整備されている所を指すそうです。

浜辺を歩いて人形岩へ

駐車場から北側にあるスロープを降りていきます。

砂浜にたどりつきますが、人形岩に関する案内などは見つからず。Google Mapを頼りに右(北側)へ進むことに。

途中、ちょっとした岩場を越えると入り江が見えてきます。この入り江の中心に鎮座するのが人形岩。駐車場からここまで3分ほどでした。

今回、ほぼ干潮ジャストタイムに訪問することができたため普通に歩いて行くことができましたが、おそらく満潮時は海の中を歩くことになりそうです。今回利用した国道3号線の「とるぱ」とは別に、西方海水浴場にも駐車場があるようなので、もし干潮時以外に向かう場合はそちらの方が良さそうです。

不思議な姿の奇岩

こちらが人形岩。独特のくびれたフォルムは、まるで人の頭や体のように見えます。見る角度によっては、子供を抱えた母親のような姿にも見える、不思議なカタチの奇岩です。

ここはサンセットスポットとしても知られています。日入時刻から30分後であったため夕焼けには間に合いませんでしたが、黄昏の海に浮かぶ姿は非常に絵になります。

見る角度によって印象が変わるというのも、こういった奇岩の面白いところ。少し離れて見ると、先ほどはお母さんに見えていた岩は、背びれをはやしたゴジラのように見えてきました。さらに、抱えていた赤ん坊も自立しており、まるでミニラのようにゴジラと並んでいます。

人形岩にまつわる伝説

この岩には悲しい伝説が残されています。要約すると、こんな感じです。

はるか昔、この近くには若い夫婦と赤ん坊が暮らしていました。漁師である父親が小舟で海に出ていると、急な天候不良に遭遇し、そのまま海底へと沈んで命を落としてしまいます。母親は赤ん坊と共に父親の無事を祈り続けますが、そのまま息絶えてしまいました。これを不憫に思った海底の守り神は、赤ん坊を抱えた母親を岩の塊に変えてしまいました。

この話によると、父親も小舟と共に岩に変えられているそうです。どの岩を指しているかは明記されていませんでしたが、探してみるのも面白そうですね。

幻のクジラが打ち上がった浜辺

さてさて、今回利用した駐車場「とるぱ」には、こんな海棲哺乳類のモニュメントが設置されていました。

こちらはタイヘイヨウアカボウモドキというクジラ。1882年にオーストラリアで発見されるも目撃例が非常に少なく、とっても珍しい生き物です。

そんなレアなクジラですが、2002年にここ薩摩川内市いて漂着しているのが見つかります。体長648cmのメスで、人形岩の近くの浜辺に打ち上げられていたそうです。その後、国内でも目撃情報は追加されており、トカラ海峡、小笠原諸島などで確認されているそう。また、2022年には高知県の四万十市で座礁が見つかったそうです。

もしかしたら人形岩を見に来た際に、このクジラのような漂着物に出会えるかもしれません・・・!

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