西洋や日本の近現代絵画を中心にコレクションした美術館。ゴッホ、モネ、ピカソ、ルノワールといった巨匠をはじめ、多くの作品を鑑賞することができます。画家のパレットコレクションは、とてもユニークな展示です。
3つに分かれた美術館
東京銀座の洋画商である日動画廊の創業者、長谷川仁・林子夫妻が私財を投じて造り上げた美術館。
受付、企画展示室のある「企画館」、西洋画を中心に展示した「フランス館」、画家のパレットコレクションなどを集めた「パレット館」と3つの建物に分かれています。それぞれ立体的な構造をしており、歩いているだけでもわくわくします。
企画館からパレット館・フランス館までは、屋外の通路を通り抜けます。竹林の中を進む橋となっており、並べられた真っ白なイスとテーブルがおしゃれ。
橋を抜けた先には野外彫刻園も。なだらかな丘陵には、全部で19体の作品が並んでいます。庭園も手入れされており、とってもキレイ。
フランス館
フランス館2階の展示室では、ピカソ、ゴッホ、セザンヌ、ルノワール、モネといった著名な画家の作品が展示されています。中には、アンディ・ウォーホルやニキ・ド・サンファルといった現代アートの作品の姿も。
一部の作品は撮影も可能。こちらはゴッホの「サン=レミの道」。自分の耳を切ったことで精神病院に入院していたゴッホが、その周辺の風景を描いた作品です。厚塗りの油絵の具から、非常に強い動きを感じます。
さらに1階には岸田劉生の作品や、ミュージアムショップ、創設者である長谷川仁・林子の記念室も備えています。
パレット館
多くの展示内容の中でも、ひときわユニークなのがこちらのパレットコレクション。なんと、画家のパレットを展示した非常に独創的な内容となっています。
創設者である長谷川仁と交流のあった画家から寄贈されたものにはじまり、現在では300店以上ものパレットを収蔵しているそう。
そこに乗せられた絵具の配色も千差万別。絵の具とともに、モチーフが描かれているものも多数見かけました。
今まで全く意識したことがなかったのですが、「パレットには画家の個性が詰まっている」ということを実感できる個性的な内容でした。
企画館
受付があるのは企画館。ここでは、年に5回ほど様々な企画展示を行っています。2021.5.22(土)〜7.18(日)は昭和の洋画家・鴨居玲(かもいれい)をテーマにした「鴨居玲展Camoyの生きざま」を開催。
インパクトが強いのが高さ2m近い大作「私の話を聞いてくれ」。影を帯びているため表情は見えないのですが、不思議と老人の悲痛の顔が見えてきます。
他にも人をテーマにした作品が多く、「私の村の酔っぱらい」をはじめとした酩酊状態を描いたユニークな作品も多い。(気分転換に酔っぱらいを描き始めたところ、面白くなってしまったそうです)
また、黒や褐色を基調とした作品からは、ゴヤのような闇に吸い込まれる怖さも感じます。芥川龍之介を題材にした「蜘蛛の糸」では、赤黒く染まった罪人たちの中に、一筋の光の糸が射し込んでいます。
入口も窓もなく、斜めにそびえる「教会」。人間の造った建築という概念を軽く飛び越えていくような作品で、神秘的なオーラを感じます。
アクセスと営業情報
JR水戸線の笠間駅から徒歩25分。すぐ近くにバス停《日動美術館入口》があるため、市内循環バスやかさま観光周遊バス(1日8便・1回100円)も利用できます。
車の場合は北関東自動車道の友部ICから車で約15分。無料の駐車場も備えています。
笠間稲荷から徒歩5分ほどなので、合わせて訪問するのもおすすめです。
開館時間 | 9:30~17:00 |
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休館日 | 月曜 |
料金 | 1,000円 |
公式サイト | http://www.nichido-museum.or.jp/index.html |
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