盛岡藩による藩政時代を中心とした歴史ミュージアム。南部藩こと盛岡藩の歴史や、藩主を務めた南部家、そして立派な城郭を誇る盛岡城など、様々な展示が広がります。デジタルコンテンツも多数備えており、感覚的に楽しめる博物館です。
城跡に建つミュージアム
盛岡城跡公園に立つもりおか歴史文化館は、旧岩手県立図書館の建物を元に2011年にオープンした歴史ミュージアム。
盛岡城をはじめとした盛岡の歴史、歴代藩主をつとめた南部家ゆかりの品々、今もつづく伝統的な祭など、盛岡について詳しくなれる博物館です。
2階建てで、1階が観光交流ゾーン、2階が歴史文化ゾーンとなっています。開館時間は19:00まで(11~3月は18:00まで)と長いため、他の観光スポットをめぐった後に訪問すると時間を有効活用できそうな気配。
江戸時代の盛岡
江戸時代、盛岡を治めていた盛岡藩。このミュージアムのメインとなるのは、その藩政時代の盛岡。
盛岡藩の領土は広大で、盛岡を中心とした岩手県中北部はもちろん、現在の秋田県である鹿角や、青森県である八戸、三沢、下北半島まで広がっていました(※八戸は、後に八戸藩として独立します)。そんな中でも、隣接する他藩との藩領争いがおこっており、特に仙台藩とは半世紀に及んで藩境争いが繰り広げられていたそう。
たくさんの舟が連なり、その上には板が敷かれています。こちらは舟を並べてつくった「舟橋」。北上川の新山河岸と仙北町を結ぶ箇所に架けられており、新山舟橋と呼ばれていました。ここでは立体模型と鏡を使って、長く繋がる舟橋が再現されています。
こちらは1751年に記された江戸から盛岡にいたる奥州街道の風景を描いた「増補行程記」を元にした城下町絵巻シアター。デジタル化されており、人々が動く様子やにぎわいの声が聞こえてきます。
盛岡城の再現模型
盛岡城の模型も見どころの一つ。中津川に面して広がる城郭がミニチュアで再現されており、在りし日の姿を俯瞰で見ることができます。天守閣はありませんでしたが、本丸には立派な三重櫓が建てられています。
盛岡城は、青森県の三戸からこの地に拠点を映した南部信直によって1598年に築かれました。関ヶ原の戦いで東軍に属した南部氏は、それ以後も所領を安堵され、以後江戸時代が終わるまで、盛岡城は南部氏の居城として利用されていきます。
城内には烏帽子岩の姿も。塀で囲まれており、神聖な雰囲気です。この岩は、現在も櫻山神社の社殿の裏に残されています。
CGシアターでは、岩手山をバックにそびえる美しい盛岡城。盛岡城跡へ行く予定の方は、ここを見てから巡るとよりイメージしやすそうですね。
立派なお城であった盛岡城ですが、明治時代の廃藩置県によって廃城に。廃城令が施行されると、老朽化もあったため建築物は解体されてしまいました。現在は、盛岡城跡公園として整備され、街の中心の憩いの場となっています。
なお、盛岡城はもともとは不来方城(こずかたじょう)という名でしたが、2代藩主・利直の時代に「盛り上がり栄える岡」と言う願いを込め「盛岡」に改めたそう。現代まで続く盛岡の発展を見ると、その願いは叶ったのではないでしょうか・・・!
盛岡藩から岩手県へ
展示を進んで行くと再現された町家が広がるエリアへ。ここは藩政が終わりを遂げた「近代の盛岡」。
幕末の盛岡藩は、戊辰戦争時は奥羽越列藩同盟を結成、新政府軍と戦います。最初は優勢でしたが、徐々に立て直した新政府に押され、後に降伏。15代藩主であった南部利恭は13万石へ減封、白石へ転封となりました。
その後、版籍奉還が行われると各藩主は藩知事へ。利恭は白石藩知事となりましたが、盛岡で嘆願運動が行われ盛岡に復帰。しかし、藩財政の窮乏などの問題を抱えており利恭は辞職してしまいます。(※利恭は盛岡復帰のために政府へ献金を約束するが、それが叶わなかったためとも・・・。)
その後の廃藩置県で盛岡藩は盛岡県となり、その後、1872年に岩手県へ。1889年には9つの村が合併して盛岡市が誕生します。
にぎやかなお祭ゾーン
1階の観光交流ゾーンでは祭に関する展示があります。こちらは入館料不要で見学できるエリア。
シアターでは「盛岡さんさ踊り」の映像が流れています。盛岡さんさ踊りは誰でも参加できる夏祭りとして1978年にスタートした夏祭りで、「サッコラチョイワヤッセー」という掛け声とともに繰り広げられます。熱気あふれる踊りや、それに向けて準備を行う様子がドキュメントタッチで描かれており、ついつい見入ってしまいます。
となりに佇むド派手なお馬さんは「チャクチャグ馬コ」。華やかな装飾をまとった馬に稚児を乗せて進むお祭りで、毎年6月に開催されています。名馬の産地として知られる岩手ならではの祭りです。
毎年9月に運行される「盛岡山車」も展示されています。左奥にある背の高いものが明治時代の山車、その高さは10mにも及びます。一方右手前が現代の山車理高さは半分程度ですが、装飾様式などは引き継がれています。サイズが小さくなったのは、電線普及の影響でしょうかね。
アクセスと営業情報
盛岡駅から徒歩20分。駐車場は「盛岡城跡公園地下駐車場」がすぐ近くにあります。料金は日中で30分150円。
開館時間 | 4月~10月:9:00~19:00 11月~3月:9:00~18:00 |
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休館日 | 月第3火曜、年末年始 |
料金 | 300円 |
公式サイト | https://www.morireki.jp/ |
※掲載の情報は2022年10月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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