太平洋に浮かぶ小さな島であるにも関わらず、かつて鉄道が走っていたという歴史をもつ南大東島。サトウキビを畑から工場、そして港へと運搬するために敷かれた多数のレール。今もその一部が残されており、往時の面影をほんのわずかだけ感じることができます。

かつての鉄道シュガートレイン
南大東島の基幹産業であるサトウキビ。八丈島の人々によって開拓されたこの島は、製糖会社によって支配された島でした。
砂糖の原料となるサトウキビを生産するため、島内には多くのサトウキビ畑が作られます。当初は水路を利用して運搬していましたが、より生産性を高めるために開発されたのがサトウキビ運搬用列車、通称「シュガートレイン」。

1917年に初めて設置され、最盛期には島中に線路が広がり、その総延長は30kmにも及んでいたそうです。1983年の収穫を最後にその役目を終え、その後はトラックがメインとなりました。
ほとんどのレールは撤去されましたが、一部には残っていたり、その跡を利用した道ができていたりします。Googleマップで「シュガートレイン」と検索したら4ヶ所ヒットしたので、めぐってみることにしました!
4ヶ所に残るレール
まずは島の西側、大東神社近くの軌道跡。落ち葉が溜まっており、言われないと素通りしてしまいそうです。

レール自体はほとんど目立ちませんが、建てられた案内板が見つける際の目印。ここは十八号集積場跡であるそうです。

続いて島の北東の軌道跡。北部の道路を横切るように残っています。ここも案内板のおかげですぐに見つかりました!ちなみに書かれている内容は、先ほどのものと同じ。どうやらここは九号集積場跡らしいです。

島の南東にある三号集積場跡。道路を横切るように10mほど残っております。

ここは案内板がないため見逃し注意!知らないと何かのゲートでもあるのかと思ってしまい、特に気にもとめないで通り抜けてしまうはず。
近くには、同じく三号集積場跡が残っているポイントがもう1ヶ所。こちらは道路とは離れて6m程度のレールが見えます。落ち葉や雨水が溜まっているので、タイミングが悪いと隠れてしまっている可能性もありそうです。

遊歩道・フロンティアロード
こちらのフロンティアロードは、かつての軌道跡を整備した遊歩道。約2.5kmにおよぶ道で、「塩屋海岸」の入り口近くから「西港」付近まで伸びています。

レールは残っておりませんが、自然豊かなまっすぐな道。かつての鉄道を思い浮かべながら、ウォーキングするのにも良さそうなポイントです。道の両サイドは木々が生い茂っており、夜間はダイトウオオコウモリも見られるそう。

この線は、工場で加工したサトウキビを西港へと運ぶための「西線」と呼ばれた路線。島を一周する「一周線」だけでなく、北部に延びる「北支線」、亀池港に延びる「亀池線」など、複数の支線が設置されていました。
実物の車両展示
シュガートレインについて知るなら見逃せないのが、前回記事にさせていただいた「ふるさと文化センター」。島の歴史を学べる民俗資料館であり、シュガートレインに関する展示も多数あります。

なんといっても、シュガートレインの実物が展示されているのが魅力的!こちらは雨宮製作製の2号SL。「SL」は蒸気機関車のことを指します。

日本車輌製の8号DLも。「DL」はディーゼル車のことを指します。2つの車両は錆びついた姿ながらも今もしっかりと保存されていました。

館内ではシュガートレインが実際に動いている映像も見れます。トラックに車両を載せて運びレールに降ろす作業や、サトウキビだけでなく人々を載せて動く様子も見ることができます。

まさかのアクスタ
そんなシュガートレイン、アクリルスタンドになっています!

車両のアクスタを思い浮かべた方もいるかもしれませんが、車両ではなくてまさかの軌道跡。あえてこれをアクスタにしてしまったというのがハイセンス。
レンタカー屋さんや居酒屋さんのレジなど、島内のあちこちに置かれていて気になっており、「星野洞」の受付でやっと販売しているの見かけました。もともとは記念品であったのですが、販売を望む声に答えて商品化したそう。星野洞以外では「空港観光プラザ」「ふるさと文化センター」の計3ヶ所にて販売しているようです。
かつてのシュガートレインの軌道が赤線で記されており、今も残る部分は青線にて記されています。島の観光名所も併記されているので、軌道跡めぐりのお供にもぴったり!
ご当地アクスタをゆるく集めているので、躊躇いなく買ってしまいました!そんなわけで、今回の記事はおしまい。次回以降も引き続き、南大東島の島内スポットを紹介していく予定です!


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