海を挟んで向かい合う2つの叶神社。それぞれ対になるポイントがあるので、浦賀散策では両方めぐるのがおすすめ。二社の間には「浦賀の渡し船」という、情緒ある渡船も運行しています。船を使った二社参りは定番のコースです。
2つの叶神社
浦賀の町には、港を挟むように東叶神社と西叶神社の2つの叶神社があります。
もともとは西叶神社と呼ばれる神社だけでした。江戸幕府の政策により、浦賀村は浦賀港を挟んで東西2つに分けられると、叶神社は西浦賀に属することに。東浦賀ではこれまで信仰していた神社を失ってしまったため、分霊祭祀して建てたのが東叶神社。
この2つの神社をめぐるのは、浦賀では人気の散策コース。浦賀レンガドックや浦賀奉行所跡と合わせても歩行時間1時間ほどで巡ることができます。
「西叶神社で勾玉を授かり、東叶神社のお守り袋に入れる」といったように両参りすることで完成する御守りも扱っているので、せっかく来たら両方めぐってみましょう!
西叶神社
まずは西側の西叶神社へ参拝。源氏の再興を祈願し、京都の石清水八幡宮を勧請して建立した神社で、創建は1181年と長い歴史を持ちます。
社殿は江戸時代に焼失しており、現在の物は天保13年(1842年)に再建されたもの。総ヒノキ造りの趣深い建築が特徴です。
目を引くのは、虹梁や欄間に施された精巧な彫刻。龍や獅子が今にも飛び出してきそうな躍動感で彫り上げられています。この彫刻は、安房国の彫工・後藤利兵衛によるもの。
こちらの狛犬、一見すると普通に見えますが、実は両方口が開いています。狛犬といえば、片方が口を開いた阿形、もう一方が口を閉じた吽形で造られることが一般的ですが、ここのものは少し特殊です。
狛犬から少し視線を落としてみると、玉垣の影に隠れるようにしている別の狛犬の姿も。まるでおそるおそる覗いているようなユニークなポージング。とってもかわいらしいデザインです。
浦賀の渡船
2つの神社をめぐる際にぜひとも利用したいのが浦賀の渡船。浦賀港の西岸と東岸をつなぐ海上交通で、誰でも利用することができます。どちらの神社も渡し船の乗船場から徒歩5分ほどなので、これを利用しない手はありません。
運行している船舶は「愛宕丸(あたごまる)」。東叶神社の神輿を運ぶ御座船をモチーフに造られており、華やかな装飾に気分が高まります。
乗船料はたったの200円。現金を運賃箱に入れるタイプなので、小銭を用意しておくとスムーズ。乗船時間は約3分とあっという間。超ミニクルーズですが、海上から眺める浦賀港もまた新鮮でした。
なお、運行時間は決まっておりません。7:00~17:00の間で随時運行していますが、もし船が見えないときはインターホンを押すとやってきてくれるそうです。また、12:00~13:00の1時間はお昼休みなので運休しております。意外と忘れがちなのでご注意ください。
東叶神社
さて続きましてもう一つの叶神社、東叶神社へ。渡し船乗り場からは270m、徒歩5分ほどです。
見ての通り、完全に日が暮れて真っ暗です!
日中に訪問しようとしたのですが、渡し船がお昼休憩に入って帰れなくなってしまうため、神社参拝は後回しに。千代ヶ崎砲台跡や観音崎公園など他の場所をめぐっていたら、すっかり日が暮れてしまったのでした。
西叶神社よりも海に近く、港の目の前に鳥居が建つ開放的なロケーション。天気が良い日は凄くキレイな写真が撮れそうです。
今回は真っ暗なため断念しましたが、拝殿の先にはさらに山を登る階段があります。山頂には、奥宮と勝海舟断食の場を記す標柱が立っているそう。勝海舟断食というのは、かつて咸臨丸でアメリカへ渡る勝海舟が、旅の無事を祈って断食を行った場所とのこと。さらに、勝海舟が冷水を被り身を清める「水垢離(みずごり)」を行った井戸もあるそうです。
東叶神社の狛犬は両方とも口が開いていましたが、こちらの狛犬は両方とも口を閉じています。こんなところにも対になっているポイントを見つけてしまいました。
ところで、最初にあったはずの西叶神社の狛犬は、もともと両方口が開いていたのでしょうか?それとも東叶神社建立に合わせて、狛犬を変えたのでしょうか。どのタイミングで狛犬がこのような組み合わせになったのか、気になるところです。
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