日本の歴史における超発見の場『岩宿遺跡&岩宿博物館』(みどり市)

群馬県

群馬県の古代遺跡・岩宿(いわじゅく)遺跡は、考古学の凄さを感じられるスポットです。日本列島の人類史を書き替えるほどの大発見があった場所とのことですが、いったい何が発見されたのでしょうか。

訪問日:2024/8/11(日) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

岩宿遺跡の凄さ

群馬県みどり市にある岩宿遺跡。ここは、歴史的に重要な発見があった遺跡として知られています。

それは1946年のできごと。相澤忠洋さんが関東ローム層に埋もれていた縄文より以前の石器を発見。その後、それが日本の旧石器時代のものと判明します。

これの何が凄いかと言いますと、それまでは縄文時代以前に日本列島に人が暮らしていたという証拠が無かったのです。発掘中に地中から関東ローム層が出てくると、火山灰が降り積もっていた時代に人は暮らせなかったという判断から発掘をやめてしまっていたそうです。これは、そんな常識を破った発見であったのでした。

そんな岩宿遺跡について学べるのがみどり市岩宿博物館。1992年に開館した笠懸野岩宿文化資料館が、2006年に名称変更した施設です。ドーム状の外観がインパクトあります。

旧石器時代の展示

館内は1階が企画展示室、2階が常設展示室。広々としたドームの中に、多数の考古資料が展示されています。

こちらが相澤忠洋さんが発見した槍先形尖頭器。小さな石器ですが、これによって日本文化のはじまりが1万年以上も古く遡ることになったと考えると、その存在感は大きいです。

岩宿遺跡の生活の様子を再現したジオラマもあります。川を挟んで、数軒の竪穴住居が集まるムラが形成されていたと考えられているそう。

こちらは岩宿時代の狩りの様子を再現したジオラマ。落とし穴を掘り、そこにオオツノジカを追い込んでいる様子が描かれています。実際に落とし穴と思われる土坑が発見されているそうです。

壁に架かるのは多数の石器。槍のように木の棒の先につけられた姿で展示されています。使い方を示したイラストもあるためイメージしやすいです。

氷河時代の動物

岩宿遺跡でヒトが活動していた時代は、現在よりもずっと寒い氷河時代であり、火山が盛んに噴火していました。その頃には多数の大型哺乳類が生息していたそうです。

こちらはオオツノシカの頭骨。体長は2.5m、肩までの高さは1.6mと、現生のシカをはるかに上回る大きさです。人々の重要な狩猟対象であったようで、先ほどのジオラマでも落とし穴に追い込まれていましたね!

ナウマンゾウの切歯と臼歯。更新世の終わりごろまで日本列島に暮らしていたゾウの化石。1万7千年前頃には乱獲と環境変化によって絶滅してしまいました。

こちらはナウマンゾウの全身骨格標本・・・と思いきや、こちらはマンモスの全身骨格。マンモスといえばアジア大陸北部を中心に生息していた氷河時代を代表する動物。日本では北海道のみで発見されており、この骨格はシベリアで見つかったもののレプリカ、寄贈品とのこと。

相澤さんの情熱

相澤忠洋さんに関連する展示もあります。大学の考古学研究者かと思い込んでいたのですが、実は行商をしながら独学で考古学を学んでいたそうです。

1946年には既に、関東ローム層より石器のような石片を発見していましたが、人類による石器とは言い難いため発掘を続けていました。そして、1949年に先ほど紹介した槍先形尖頭器の発見を成し遂げます。

発見当初はなかなか信用が得られず、学者に説明するため、自転車で都内まで通っていたとのこと。

展示室には、相澤さんが愛用したという自転車も展示されています。きっとカゴに道具や発掘品を入れて運んだのでしょうね。

自転車の隣には愛用したバイク、50ccスーパーカブ(昭和35年製)も。サビはありますが保存状態は良さそうです。

モノには魂が宿るという日本文化独特の考えがありますが、こういった道具を見ていると相澤さんの考古学に対する情熱がすっかり染み込んでいるように感じてきます。

岩宿遺跡と岩宿ドーム

博物館から少し歩いたところに岩宿遺跡があります。特に大きな見どころがあるわけではありませんが、ここで歴史的な大発見があったと考えると非常に感慨深い場所。

そしてその向かいには史跡岩宿遺跡遺構保護観察施設、通称「岩宿ドーム」があります。

古墳の石室のような入口から入ると、内部は展示館となっています。スクリーンでは、岩宿時代の人々の暮らしを写した映像作品が上映中。少々古い映像ですが、アニメ仕立てなのでとってもわかりやすいです。

地層断面のはぎとり標本も展示されています。こちらは岩宿遺跡B地点の地層。というか、この施設は標本を保存・展示するために作られたそうです。

そんなわけで、古代ロマンとそれを発見する人々の情熱に浸れるスポットでした。

ちなみに、岩宿博物館では「岩宿人のくらしをさぐる」という企画展示が開催されていました。そこでは、岩宿人の衣服の再現も。毛皮の服はとっても重かったです!

私がまったく似合わないのは見逃してくださいね。

アクセスと営業情報

開館時間 9:30~17:00
休館日 月曜、年末年始
料金 310円
公式サイト https://www.city.midori.gunma.jp/iwajuku/

※掲載の情報は2024年8月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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