何もなくとも圧倒的な存在感『伊勢神宮・内宮』(伊勢市)

三重県

古来より多くの参拝客が訪れる、日本を代表する神社・伊勢神宮。意外にも見所は少なく世界遺産に登録されているわけでもありませんが、年間数百万人もの人が参拝に訪れる不思議な場所。その存在感は他の追従を許しません。

訪問日:2018/8/6(月) ※掲載内容および写真は訪問時のものです

一生に一度はお伊勢参り

「一生に一度はお伊勢参り」、きっとこの言葉を耳にしたことがある人も多いハズ。江戸時代にお伊勢参りは大流行、庶民の憧れの旅であり、このようなコトバが生まれたといいます。現代においてもその人気は衰えず、人々は様々な願いを胸に、鉄道やバス、はたまた車でこの地を目指して訪れます。

そんな伊勢神宮ですが、『外宮(げくう)』『内宮(ないくう)』に別れており、この2社は4~5kmほど離れています。

両社を「両参り」する場合は、外宮→内宮の順で参拝するのが古来からの習わし。どちらか片方だけお参りする「片参り」はなるべく避けた方が良いともききます。

今回は4日間の旅の初日に外宮へお参り、最終日となる本日・内宮へお参りすることに。伊勢神宮ではじまり、伊勢神宮で終わる旅ってなんか良いですね。

※外宮についてはコチラ

初日の参拝がおすすめ!朝一番で向かう『伊勢神宮・外宮(げくう)』(伊勢市)
伊勢鳥羽志摩の旅の初日、最初の目的地は伊勢神宮・外宮!朝5:00から開門しており、さらに駅から徒歩で迎えるというアクセスの良さもあるため、非常に参拝しやすい神社です。まだ参拝客のまばらな朝の時間帯、爽やかな空気が流れる木漏れ日の参道を進んで行きます。

内宮へのアクセス

内宮へ参拝する際に気を付けなくてはいけないのは駅から離れているということ。外宮は伊勢市駅より徒歩5分ほどですが、内宮は徒歩だと約30分もかかります。がんばれば歩ける距離ですが、真夏の太陽のもとでの徒歩移動はなるべく避けたいのでバスで行くことに。

こちらが内宮最寄りの五十鈴川(いすずがわ)駅。伊勢鳥羽志摩エリアは、駅前にコンビニすら無いことが多いです。

内宮前に向かうバスは、路線バスとCANバスの2種類。どちらにしてもまわりゃんせがあれば乗り放題!乗車時間は約6分と、あっという間に内宮前へ到着しました。

近鉄の宇治山田駅からもバスで10分ほど。また、伊勢神宮「外宮」からも内宮行きのバスに乗ることができ、こちらも10分ほどでアクセスできます。

鳥居で感じる式年遷宮

まずは五十鈴川(いすずがわ)に架かる宇治橋は、日常から神域への架け橋とも呼ばれる橋です。この橋は右側通行。外宮は左側通行と異なっていますのでご注意ください。

内宮は20年に一度、社殿を建て替える式年遷宮を行います。正殿はもちろん、すべての社殿、鳥居、そしてこの宇治橋も造り替えられるのです。

宇治橋の両端にある鳥居は、旧正殿の「棟持柱(むなもちばしら)」でできています。式年遷宮の際に本来なら廃材になる古い社殿の木材は、この鳥居をはじめ別の場所へと移り新たな役目を得るのです!

さらに、この鳥居の古材は鈴鹿の「関の追分」と桑名の「七里の渡」の鳥居になるそう。この鳥居は一例で、他にも全国各地の神社へと渡って行くそう。「社殿を造り替える」というところまでは知っていましたが、その古材もさらに利用されていく仕組みは初めて知りました・・・!

開放的な神苑と五十鈴川

橋を渡った先の神苑は、刈り込まれた芝生と植え込みが美しい。足元の白い砂利も輝き非常に清涼感があります。

こちらは五十鈴川御手洗場(いすずがわみたらし)。美しい清流の川辺は、参拝する前に心身を清める場所です。

続く参道は木立が高くそびえた日陰の道となっており、真夏でも涼しさを感じます。さすがに参拝客は多いですが、道幅はとても広いため移動が困難になるほどではありません。

天照大御神を祀る正宮

見えてくるのは御饌殿(みけでん)神楽殿(かぐらでん)。お札やお守り、御朱印はこちらでいただくことができます。

宇治橋から歩くこと約10分、正宮に到着しました。ここから先は写真撮影禁止ですので、現地に行ってぜひご自身の目でご確認くださいね。

内宮という表記をとってきましたが、正式名称は皇大神宮。天照大御神を祀っており、「日本国民の総氏神」として信仰を集めています。参拝の際、まずは「感謝の気持ち」を伝えるのが古来からの習わしだそうです。

また、伊勢神宮におみくじはありません。その理由は「おみくじは日頃お参りできる身近な神社で引くもの」ということ、そして「お伊勢参りが大吉でないわけがない」とのこと。これを聞いた瞬間、なんだか運気が上がった気がしました・・・!

世界遺産にはならないの?

有名な神社というのは何か大きな見所があることが多いです。歴史ある社殿や伝説が残る池などをはじめ、伏見稲荷の「千本鳥居」や出雲大社の「大注連縄」のようにインパクトのある景色も多いです。

意外なのですが、この伊勢神宮には人目をひくようなポイントはほとんどありません。案内マップを見ていても、名所や伝説などをアピールしている様子も無いのです。「式年遷宮」を行っているためか、社殿などの建築も文化財に指定されていません。

そして、世界遺産にも登録されていません。

長い歴史を持ち、これほど人々の信仰を集めているにも関わらず、世界遺産に登録されない理由、それもまた式年遷宮が理由といわれています。

これには「遷宮によって建築の歴史的価値がない」「世界遺産に登録すると改築ができなくなり、遷宮が行えなくなるから」など、様々な推測がなされています。

最近聞いた話によると、「遷宮を行う度に膨大な資料を作成し許認可を得る必要があり、神宮側・ユネスコ側にとっても現実的ではない」という理由もあるようです。

そんな伊勢神宮ですが、日本各地から毎年数百万人という参拝者を集めています。もちろん、強い目的があって参拝する方もいるかと思いますが、「何となく行ってみたい」「一度は行っておかないと」みたいな感じで訪れる人が多い気がします。

さらに、式年遷宮が行われる度に「また伊勢へ行こう」と思う人も少なくないはず。歴史的価値がリセットされるかに見える遷宮も、参拝の気運を高める役割を担っているように思えます。実際のところ、御幸道路開通、宇治山田駅開業、おはらい町整備、伊勢市駅前整備などといった都市計画も式年遷宮に合わせて行われており、町全体が新しく生まれ変わっていくのです。

わざわざ強い観光アピールしなくても自然に人が集まる場所、これぞまさに真のパワースポットなのでしょう。

そう思ったのですが、公式サイトに寄せられた「神宮内にパワースポットはありますか?」という問いに対する回答は「特にそのような場所はありません。神宮は2000年以上祈りが捧げられている聖地ですので、あえていうなら神域すべてがそうなのでしょう。」とのこと。

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