水没した姿が非常にレアな水中鍾乳洞。水の中に浮き上がる鍾乳石は、荘厳で神秘的な光景です。園内には昭和レトロなロマン座や美術館、金色の大観音像など見どころがたっぷり詰まっています。
2つのルートに分かれた鍾乳洞
大分県の豊後大野市にある稲積水中鍾乳洞。「水中」という名が示す通り、形成された鍾乳洞が一度水没。その後、川による侵食で排水が行われ、再び洞窟の一部が再び空中に露出したという非常に珍しい経緯を持っています。全長1km以上あり、水中鍾乳洞の中では日本最長のであるそう。
受付では自動券売機で入場券を販売機しています。料金は1,500円とちょっぴりお高めですが、ここは洞窟以外にも見どころが多いので満足度は高いです!
洞内へ進むといきなりブルーとグリーンのライトアップ。そして登場するのが水着姿の男性。何が起こったのかと驚きましたが、ここでは鍾乳洞を水風呂替わりにしたアウトドアサウナが開催されているのでした。気持ちよさそうですが、鍾乳洞の観光客の前ではちょっと落ち着かなそうな気もしますね。
すぐに見えてくる分岐点。洞内は「新生洞」と「水中洞」という2つに分かれています。いずれも約200mほど。行き止まりなので、それぞれ往復ルートです。
ダイナミックな新生洞
まずは新生洞から。すぐに見えてくるのは黄金柱。道を塞ぐようにそびえ立つ巨大な鍾乳石は迫力満点です!
ブルーにライトアップされているのは、天井に無数の穴が開く空間。鐘のような穴の形からベルホールと呼ばれています。8万5千年前の阿蘇山の噴火の影響で水没、地下水の流れの渦によって浸食されてできた穴であるそう。これは水中鍾乳洞ならではの見どころですね。
終点となる大サンゴ洞は大きなホール空間。最上部は水没しなかった地点であるため、つらら石や石筍などが保存されています。
この鍾乳洞はアップダウンがほとんどないため、非常に歩きやすいのが特徴的。ただし足場の一部には下が見えるフェンスタイプのスリリングな箇所もあるので、高所恐怖症の方はちょっとだけ注意です。
ミステリアスな水中洞
来た道を分岐まで戻り、今度は水中洞へ。ここからは文字通り水中にある鍾乳石が見どころのルート。稲積水中鍾乳洞ならではの光景が広がります。
ライトで照らされた仙人の淵。水深30mもあり、10m地点までは鍾乳石を見ることができます。底にはダイバーの命綱となるロープもうっすらと見えています。
覗き込むと見える水中の黄金石。水とライトの影響で、岩肌には植物がたくさん育っています。
水中洞の終点となるのが示現の淵。勢いよく流れ落ちる滝と、その滝壺である深い泉が広がる神秘的な空間です。
ずらりと並ぶ鍾乳石が水中へと伸びているかのようですが、鍾乳石というのは石灰岩を溶かした水が滴ってできあがるもの。水中で鍾乳石が伸びることはないはずなので、既にできあがった鍾乳石が水没した姿なのです。
昭和ノスタルジーな出口
地上へと戻り出口へ進むと、流れてくるのはレトロなBGM。鍾乳洞の出口は昭和タイムトリップ「ロマン座」へと繋がっているのです。
時計屋、電器屋、理容店、キャバレーが並ぶ町並みはなんともノスタルジック。
ショーケースに並んでいるのは、玩具、映画のポスター、家電、文房具、お面など。懐かしさがたっぷり詰まった空間です。
園内には鍾乳洞とロマン座以外にも多数の見どころが揃っています。基本的には鍾乳洞の入場料だけで自由に見学可能とのこと。せっかくなので、散策していくことにしました。
見どころ多数な園内
開世美術館では、ピカソ、シャガール、東郷青児、山下清、竹久夢二、エミール・ガレといった有名画家の作品がずらり。中には、尾崎豊や工藤静香といったアーティストの絵画も展示されていました。
地底洞窟は入場料が別途100円。といっても、おみくじ付きなので気持ちは0円です。内部は鐘乳洞の延長かのような、水が滴る洞窟。般若心経、観音像、阿修羅、無数のお地蔵様と仏教ワールドが広がります。
金色に輝く大観音像は、大分県で一番の高さを誇るという昇龍大観音。ここは成田山不動院大分別院であり、まわりには黄金の七福神像や、十二支御守本尊がずらりと並んでいました。
多数の見どころがある中でも私の心を掴んだのはコチラの石造物。
じっくりと観察すると、それぞれ表や裏側に十字が刻まれています。実はこれらは隠れキリシタンによって造られたと考えられています。大分県の国東町で見つかったもので、大観音建立にあたり、供養のためにここに移されたそうです。
つい先ほど、竹田市にある「竹田キリシタン資料館」でキリシタンの歴史を学んできたばかりなので、早くも出会えたキリシタン遺物にちょっぴり感動してしまいました。
アクセスと営業情報
開館時間 | 9:00~17:00 |
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休館日 | 年中無休 |
料金 | 1,500円 |
公式サイト | https://www.inazumi.com/ |
※掲載の情報は2024年4月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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