巨大な天体望遠鏡とストーンサークル『県立ぐんま天文台』(高山村)

群馬県

2種類の大きな望遠鏡を備えた天文台。美しい宇宙の写真や、ちょっとした体験型の装置、古代の天体観測施設を再現したモニュメントなど、多彩な展示が楽しめます。

訪問日:2024/7/14(日) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

上り坂を越えて行く天文台

前回ご紹介した「ロックハート城」と並ぶ、高山村の観光スポットが県立ぐんま展望台。群馬県の人口が(力あわせる)200万に達したこと、そして群馬県出身の向井千秋さんが日本人初の女性宇宙飛行士として宇宙に旅立ったことを記念して、1999年に建設されました。

駐車場に停めると、そこには天文台への行き方が記されています。

なんと、駐車場からは600mの上り坂を進む必要があります。

ということで、霧の森の中を進みます。なだらかな道のりなので、それほどハードというわけではありませんが、昨日・今日と山歩きしてきた身には響きます。

途中には太陽系の惑星紹介も。海王星・天王星のあとはしばらく見えなくなり、最後は畳み掛けるよう他の惑星が現れます。もしかして、実際の距離と同じ比率になっているのかもしれません。

駐車場から約10分、建物が見えてきました。

美術館+科学館のような雰囲気

コンクリートむき出しの無機質な館内。エントランスには、鮮やかな宇宙の写真が並んでいます。館内はとっても静かで、モダンアートミュージアムみたいな雰囲気。

2階部分には、150cm反射望遠鏡の模型をはじめ、天体望遠鏡の仕組みを解説する展示が多数。可視カメラと赤外カメラの映り方の違いや、距離で光の強さが変わる様子を体験できる装置もありますが、基本的にちょっと難しめ。

こちらは太陽投影盤。屋上の太陽望遠鏡が集めた太陽の光がリアルタイム投影されるという措置ですが、本日は雨のため中止。傍に置かれたモニターで映し出したときの様子は見ることができました。

大きな65cm望遠鏡

エレベーターで5階へ進み扉を開けると、ドームに鎮座する大きな天体望遠鏡が!

こちらは65cm望遠鏡。これぞ天文台、といったイメージ通りの大きな望遠鏡です。

ドーム内には望遠鏡のスペック解説が多数書かれているのですが、「焦点アイピース」「焦点距離」など専門用語が多くてさっぱりわかりません・・・!

とりあえず視野が広いため星雲などの広がった天体は見やすく、減光フィルターが装着できないため満月は非常に眩しく見えるらしいです。土日祝日の晴れた夜には天体観測会も開催しているそうなので、お近くの方はぜひリアルな宇宙を見に行ってみてください~。

さらに巨大な150cm望遠鏡

一度エレベーターで降りて別のエレベーターで4階へ進むと、先ほどとは違うドームにたどりつきます。

こちらは150cm望遠鏡。ぐんま天文台の主力望遠鏡、目で直接観察できる反射望遠鏡としては世界最大クラスであるそう。

先程の65cm望遠鏡がイメージ通りの望遠鏡らしい姿であったのに対して、こちらはカラフルで非常に複雑な外観。まるで変形するロボットみたいです。

こちらもまた解説があるのですが、「可視低分散分光撮像装置」「3波長同時偏光撮像装置」「高分散分光器」・・・やっぱり難しいです。とりあえず、遠く暗い天体も観望できるそうです!

あ、「観望」というのは星を見ること。学問的な「観測」とは異なり、純粋に見て楽しむという意味もあるそうです。

屋外モニュメント

この天文台は、屋外にもいくつかの展示物があります。こちらの三角形のものは「ジャンタル・マンタル」

ただのオブジェではなく、18世紀にインドで建設された天体観測施設を再現したものです。多数の三角形の中でも一番大きいものは、天体の目測や日時計に使用する「サムラート・ヤントラ」。

こちらの小さな三角形は惑星の黄道座標を測定できる「ラシバラヤ・ヤントラ」。その数は12基、それぞれ黄道十二宮を示しています。

そして圧巻なのが「ストーンサークル」。なんとなく祭事の場のイメージでしたが、こちらもまた天体観測施設としての機能も備えています。この石の並びで、二十四節気それぞれの日の出、日の入り方角を知ることができるそうです。

なお、このモニュメントを含む天文台の設計を担当したのは磯崎新氏。大分出身の建築家であり、群馬県内にも「群馬県立近代美術館」「ハラ・ミュージアム・アーク」などの作品を残しています。


古代の人々の知恵から、現代の技術が詰まった望遠鏡まで、まるで博物館のように楽しめる天文台でした!ということで、帰りは駐車場まで長い道のりを下って行きます。

ちなみに駐車場からこんなに離れた山の上にあるのは、車のライトなどの光を避けるためであるそう。また、アスファルトが昼間に蓄えた熱を夜に放出することで気流が発生して悪影響が出るため、なるべく離れていた方が良いとのこと。何億光年も離れた微細な光を観測する施設は、非常に繊細なのですね。

アクセスと営業情報

開館時間 3~10月:10:00~17:00
11~2月:10:00~16:00
※土日祝は夜間の開館もあり
休館日 月曜、年末年始
料金 300円
公式サイト https://www.astron.pref.gunma.jp/

※掲載の情報は2024年7月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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