大自然の中の美術館『ハラミュージアムアーク』で加藤泉展を見てきた(渋川市)

群馬県

美しい芝生の真ん中に建つ晴れの日に訪れたい美術館。伊香保温泉のすぐ近くなので、合わせての訪問がおすすめ。今回はミステリアスな作品が異彩を放つ加藤泉の展覧会を見に行きました。

営業時間:9:30~16:30
休館日:木曜、1月中旬~3月中旬
料金:1,100円
加藤泉 LIKE A ROLLING SNOWBALL
会期:2019年7月13日(土)~2020年1月13日(月・祝)
2019/09/15(日) ※掲載内容は当時のものです

建物そのものが作品

ハラミュージアムアーク
東京都品川にある原美術館。その別館にあたるのが、伊香保温泉から車で5分ほどのところにあるハラミュージアムアーク

緑の芝生が広がる中に建っており、建物そのものが絵になる美術館。天気の良い日に訪れたくなります。美術館は伊香保グリーン牧場の敷地内にあり、セット券の販売も。
展示室は複数に分かれており、ギャラリーA、ギャラリーB、ギャラリーCに加えて、書院造をモチーフにした趣ある特別展示室「觀海庵」あります。

ハラミュージアムアーク通路

テラスのような館内の通路からは芝景色と遠くに広がる山々が見渡せます。ずっと眺めていたくなる景色です。

カラフルにペイントされた中庭も。
ハラミュージアムアーク中庭

駐輪場には小さな自転車を見つけました!小さな発見が楽しい美術館です。
ハラミュージアムアーク自転車

建築はの磯崎新(いそざきあらた)。関東では、水戸芸術館や県立ぐんま天文台、つくばセンタービルなどを手掛けている建築家です。

いつでも会える常設展示作品

企画展示がメインの美術館ですが、常設されている作品もいくつかあります。

インパクトが強いのは、アンディウォーホルの「キャンベルズトマトスープ」。大きなトマトスープの缶がそのまま芝生の上に置いてあります。缶の中身はいったいどうなっているか気になりますが、彼の作品の裏側を求めようとするのはナンセンスかもしれません。
キャンベルズトマトスープ

メナッシェカディッシュマンの「プロメテウス」。鳥に襲われている人に見えますが、何か意味があるのでしょうか。
プロメテウス
気になったので調べてみたところ、プロメテウスというのはギリシャ神話の神様の名前。ゼウスの怒りを
買ってしまい、磔にされワシに襲われることとなります。しかし、プロメテウスは永遠の命を持つため、その罰は3万年続いたそうです。ワシに襲われ続けていたら、考えるのをやめることもできなかったことでしょう。そして、そのワシも3万年襲い続ける気力が凄い。

なお、この作品は、真横から見るとがらりと印象が変わります。

シルバーに輝く謎の小屋。こちらはデンマークのアーティスト、オラファー エリアソンによる「Sunspace for Shibukawa」。
Sunspace for Shibukawa
普段は閉まっているのですが、たまたまスタッフさんが掃除しているタイミングだったので中に入れてもらうことができました。内部は射し込む太陽光が描く曲線がうねる、光を上手く利用した作品でした。

草間彌生

イメージ写真

展示室Cの奥にある扉を開けると、壁一面黄色に黒いドットが描かれた草間彌生の部屋「ミラールーム(かぼちゃ)」があります。そこにある箱を覗くと、どこまでも無限に広がるカボチャを見ることができます!(※写真撮影NG)

この草間彌生の部屋につながる扉はとても地味でほとんどの方が気づかずに素通りしてしまっていました。訪れる際はぜひ注意してご覧ください。

展覧会「LIKE A ROLLING SNOWBALL」

只今の期間は加藤泉(かとういずみ)のLIKE A ROLLING SNOWBALLを開催中。会期は2019年7月13日(土)~2020年1月13日(月・祝)と比較的長めです。

展示室に入るとすぐに広がるこの光景!!立ち並ぶのは原始美術とも称される奇妙な作品たち。

加藤泉展1

人間のようですが、奇形のようなバランス、未開の地の民族のようなフェイスペイントが、見ていてとても不安になってきます。幼少期に見たらトラウマ必至だと思うのですが、隣で同じポーズで記念撮影している子供たちの姿も。

加藤泉展2
作品を眺めていると、また別の感情が生まれてきます。よちよち歩きのような仕草から赤ん坊や子供のような無垢を感じ取ることができるため、同時にかわいらしさも感じてしまうのです。

「怖い」のか「かわいい」のかわからない。なんとか自分の感情に落とし込もうとするのですが、すぐにはみ出してしまう不思議な感覚です。

・・・たぶんですが、人形たちは顔が問題なのではないでしょうか。顔を「(・ω・)」とかに置き換えれば、問答無用でかわいくなるはず。きっと。

真っ白な部屋は、よく見ると部屋の隅っこや壁にも小さな作品が展示されています。作品リストがあったのですが、全て「無題」。そして、ほとんどが木材や石といった天然素材で造られています。加藤泉展3

加藤泉展4

幼体の特徴を持ったまま成体になることを幼形成熟(ネオテニー)といいますが、まさにそのイメージを具現化したような作品たち。成体というのは、基本的には生殖活動が行える状態を指すのですが、この作品たちの多くは生殖器があるのも、幼形成熟らしさを強調しているように感じ取れます。

加藤泉展5

加藤泉展6

撮影禁止でしたが、他にも加藤泉の描く油彩画も多く展示してありました。


本館にあたる東京の原美術館でも、同時に加藤泉の展覧会を開催しています。この原美術館は2020年12月に閉館予定とのことですので、東京に戻ったらこれを機に訪問してみよう!

このあとは、すぐ近くの中之条町へ。只今の期間は2年に1度のアートフェスティバル『中之条ビエンナーレ2019』開催中なのです!

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