非常に長い期間で開催される夏の大イベント「郡上おどり」を一年中体感できるミュージアム。高賀信仰や妖怪にまつわる民話、そして名産品である食品サンプルなど、知られざる郡上の魅力を知ることができます。
郡上八幡のミュージアム
郡上八幡博覧館は、大正時代に造られた郡上税務署庁舎を利用した博物館。いかにも大正時代といったレトロな建築が印象的です。
内部は、郡上八幡の町を知ることができる展示がたくさん。豊かな湧水や、そこに暮らす生き物、さらには古代の人々の暮らしなど様々なテーマがあります。
郡上八幡の城下町に関する展示もあり、また入館時にいただけるパンフレットには観光マップも記載されています。町を散策する前に訪問すると、より楽しめそうです。
日本を代表する盆踊り・郡上おどり
郡上八幡といえば郡上おどり。戦国時代末期頃にはじまったと言われる盆踊りで、その特徴は、なんといっても期間の長さ。7月〜9月と非常に長い期間踊りが続けられ、特に旧盆の8/13〜8/16の4日間はなんと夜通し踊り続けます。郡上の人々の体力、恐るべしです。
阿波踊り(徳島県)・西馬音内盆踊り(秋田県)と合わせて三大盆踊りに数えられたり、江差追分(北海道)・磯節(茨城県)・山中節(石川県)・正調博多節(福岡県)と合わせて日本三大民謡にも数えられている、日本を代表する踊りです。
「三大」といいつつ4つ以上ありますが、よくあることなので気にしてはいけません
毎日開催!踊りの実演
夏の風物詩ともいえる郡上踊りですが、この博覧館では毎日実演されており、いつ訪問しても見ることができます。
上演時間は11:00/12:00/13:00/14:00/15:00と1日5回、土日祝は10:00/16:00も加わり7回。時間は15分なので、観光の合間に気軽に見られます。
郡上おどりは10種類の踊りの総称なのですが、人気の「かわさき」、「春駒」などそのいくつかを実演しくれます。猫の動きを真似た「猫の子」がなかなかユニークでした。
曲はそれぞれ、笛と三味線の伴奏がある曲、太鼓だけの曲、下駄と手拍子だけの曲など、必要な編成が異なっています。演奏者が休むことができる曲や、必ず最後に踊る曲など、それぞれ役割があり、詳しく知ると非常に面白いです。
なお、観覧者も一緒に踊ります。このように書くと、恥ずかしがりやな方は一気に拒否反応がでてしまうかもしれません。しかし、一緒に踊るとはいえ強制的な感じは全くなく、あくまで任意な感じです。また、座席に座ったままで手振りだけを行うので全く恥ずかしくありません。手拍子の延長、くらいの気持ちで楽しめます!
この地に根付く高賀信仰とは
白山信仰や立山信仰など、日本各地に残る山岳信仰。この郡上八幡には高賀信仰という高賀三山を崇める信仰がありました。
かつて高賀三山の一つである瓢ヶ岳には「さるとらへび」という、頭が猿・体が虎・尾が蛇という魔物が住んでいました。朝廷は藤原高光を派遣し、これを退治。守り神として高賀六社と呼ばれる6つの神社を建てました。
やがて、北陸より白山信仰がもたらされます。それをベースに高賀六社を中心とした信仰である高賀信仰が生まれました。
こちらの仏像は「懸仏(かけぼとけ)」。鏡の中央に仏像を取り付け、吊り輪で下げるという変わったカタチの仏像です。修験者はこれを持ち歩いて人々にその教えを広めており、小型のものも多く存在しているそう。
わかりやすいイラストがあったのですが、このように人々の前で壁にかけて説いていたのですね。今でいうスライド資料みたいなイメージでしょうか。
むかし話「新平さと牛鬼」
館内を歩いている、目に入ったのはこちらのインパクト抜群なキャラクター。こちらは、奥美濃むかし話「新平さと牛鬼」で使用される新平さと牛鬼の人形。
隣に設置されたモニターでは、三味線の演奏に合せて動かされる様子を見ることができます。後ろで人が羽織るようにして操作しているのですが、ぽてぽてとコミカル。
一人ぼっちの牛鬼は相撲を取る相手を探して人里へ訪れます。しかし、牛鬼の容貌を見た村人は、皆怖がって逃げてしまい、相撲をとってくれるような人はいませんでした。そんな中、新平という大男がいるという噂を耳にした牛鬼は、はるばる彼のもとを尋ねます。新平は悪い牛鬼と思い、懲らしめてやろうと相撲をとることにしました・・・。
まんが日本昔ばなしのホームページにも掲載されていましたので、続きが気になる方はコチラで。
なお、相撲をとったりヒゲが凄く濃いのに、この牛鬼はなんとメスらしい!
食品サンプルの町
突如現れる食品サンプル。なにか郷土料理の紹介かと思いきや、そうではありません。この郡上八幡は、食品サンプルに縁の深い岩崎瀧三の生まれ故郷なのです。
岩崎瀧三は、大阪にて「食品模型岩崎製作所」を創立。その頃、町中に出回り始めた食品サンプルを製造、そして貸付を行うサービスを展開し、事業として発展させました。
事業化に成功した岩崎瀧三は、地域社会教育などの目的でふるさとであるこの地に岐阜工場を設立、社名も「岩崎模型製造株式会社」に変更します。現在では国内シェアの70%を占めているそうです。
郡上市内には「サンプルビレッジ・いわさき」というミュージアムもあります。天ぷらやパフェなど、様々な食品作りが楽しめるそうです。
アクセスと営業情報
長良川鉄道の郡上八幡駅から徒歩25分、バスを利用すると約20分。車の場合は郡上八幡ICから約10分ほどでアクセスできます。
駐車場は3時間320円の有料。と思いきや、建物向かって左側に駐車スペースがあります。尋ねてみたところ、ここに停めても良いそう。
とはいえ、台数は非常に少ないため、もし空いてたらラッキーくらいの気持ちで向かうのが良さそうです。
休館日:年末年始
料金:540円
名前そのまんまの「さるとらへび」、その外観からすると鵺(ぬえ)という妖怪の類だったのではないでしょうか。また、「牛鬼」という妖怪は日本各地に伝説が残りますが、こんなにフレンドリーなタイプはレアです!
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