「茶の都しずおか」に誕生したお茶がテーマのミュージアム。お茶を学び、お茶を味わい、たっぷりとお茶の文化に浸ることができます。広大な茶畑が広がる牧之原ですが、なぜこの場所に茶畑が作られたのか。それは少し意外な理由でした・・・!
お茶のテーマパーク
静岡と言えばお茶。国内生産量第1位を誇る静岡茶は、宇治茶、狭山茶と並んで日本三大茶にも数えられています。
そんな「茶の都しずおか」に2018年3月にオープンしたのがふじのくに茶の都ミュージアム。静岡県中部の島田市にあり、富士山静岡空港からも車で15分ほどでアクセスできます。
お茶の産業・歴史・文化を紹介する展示が楽しめる「博物館」、茶室を有する「日本庭園」、さらには茶摘みや抹茶挽きなどの各種体験も楽しめる、お茶のテーマパークとも呼べそうな楽しいミュージアム。レストランやショップもあるので、時間に余裕をもってたっぷり楽しみたいスポットです。
お茶に詳しくなれるミュージアム
3階の博物館展示室へ進むと、まずはお茶の歴史からスタート。原産地といわれる中国雲南省から世界各地へ広がる様子がパネルで展示されています。
再現された世界の喫茶環境。トルコ、チベット仏教、台湾と3箇所が再現されています。解説パネルもあるので、それぞれの地域のお茶文化を体感することができます。
ずらりと並んだ世界のお茶。緑茶、青茶、紅茶、白茶、黄茶、黒茶という酸化発酵の違いによる六大分類がサンプルつきで展示されています。
その数なんと60種類!引き出しになっており、開くと直接茶葉の匂いを感じることができます。アッサム紅茶、ダージリン紅茶など馴染み深いものから、きいたことないようなお茶まで。日本からは玉露、富山県のバタバタ茶、高知県の碁石茶など15種類がラインナップ。
乾燥させながらかき上げる「粗揉機」、揉み出す「揉捻機」など手揉みの動作を再現するために造られた一連の「製茶機械」もずらり。モニターでは実際に稼働している様子、さらに人の手の動きとの比較もできるようになってます。繊細な動きをする機械の映像はずっと見ていられます。
回遊式の日本庭園
敷地内に広がる日本庭園。こちらは後水之尾院の仙洞御所の東庭を復元したもの。作庭したのは、江戸幕府の作事奉行として建築や庭園を担当した人物・小堀遠州。「綺麗さび」という独自の美の概念を再現しているそうです。
回遊式庭園となっており、自由に散策することができます。築かれた岩山や州浜は、きっとどこかの景色を再現しているのでしょうね。
この庭園は、自然と人工、直線と曲線といった相反する要素を共存させている点が特徴とのこと。対比している箇所を自分なりに見つけてみるのも楽しいです。
築地塀の向こうには8つの橋が架かっております。よく見ると橋のデザインが全て異なっており、それぞれ名前が付けられています。この橋は伊勢物語にちなんでいるそう。
池に浮かぶ風流な茶屋
庭園には小堀遠州が手掛けたものを復元している茶室「縦目楼(しょうもくろう)」があります。博物館のチケットでこちらも見学可能。
特に目を引くのは、茶室から池の上にせり出した茶屋「向峯居(こうほうきょ)」。水に浮かぶなんとも風流な部屋です。
真ん中が空いており、水を湛えた姿を内部から眺めることができます。多数のお茶を見た後だと、グリーンの水は抹茶にしか見えません。
この茶室は15:30までと博物館の閉館よりも早くクローズします。そのため、遅めの時間に訪問される方は、博物館より先にこちらへ向かうのがおすすめ。茶室入口でもチケット購入可能でした。
広大な牧之原茶畑の歴史
3階に造られた牧之原大茶園展望テラス。ここからは牧之原台地の広大な茶畑を見渡すことができます。開放的なウッドデッキでは、座布団も利用可能。天気が良い日は、ここでのんびりするのも良さそうです。
この牧之原台地の茶畑、実は農民ではなく武士たちによって造られました。明治維新により職を失った幕臣たちは、刀を鍬(くわ)に持ちかえ、農作業に従事します。さらに、大井川に橋が架かると出番がなくなってしまった川渡し人夫「川越人足」たちもそこに加わり、この広大な茶畑を作り上げていったのです。
静岡が「茶の都しずおか」となるまでには、明治維新や架橋が深く関わっているのでした。てっきり古来より茶の生産が盛んな地域であったのかと思いきや、本格的にはじまったのは明治以降だったのですね。
アクセスと営業情報
JR金谷駅から徒歩約20分。バスを利用する場合は、約5分ほどでアクセスできます。
開館時間 | 9:00~17:00 |
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休館日 | 火曜 |
料金 | 300円 |
公式サイト | https://tea-museum.jp/ |
※掲載の情報は2023年2月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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