古代から続く壮大な歴史と現代の先端技術を体感することができる情報量が多いパビリオン。特に終盤に流れる「普通の中国人の暮らし」の映像は、なんだか胸がアツくなる内容です。各エリアに必ず登場するジャイアントパンダも見逃せません!
書簡デザインのパビリオン
中国のパビリオンは、色彩がほとんどなく非常にシックなデザイン。派手な建築が多い海外パビリオンの中では、非常に地味に映りますが、逆に風格を感じます。
まるで書簡のような柱に、びっしりと記されているのは漢字。5つの書体で漢詩や名文が刻まれています。ひとつくらいわかる漢詩ないかなと思ったけど、手も足も出ませんでした。
訪問したのは9月9日の火曜日18:20。待機列案内の方は笑顔で「1.5時間!1.5時間!」と言っていましたが、実測はなんと15分でした!!!!長い列ができるのを防ぐための策なのか、それともただアバウト過ぎるだけなのかは不明ですが、めっちゃ得した気分でした!
入場時にパンダのしおりがもらえます!こちらはマスコットキャラクター「悠悠(ヨウヨウ)」。同じパンダの北京オリンピックキャラクター「ビンドゥンドゥン」に比べると、パンダそのまんまのキャラデザです。
デジタル映像で知る中国
最初は映像からスタート。中国出身のアスリート、宇宙飛行士、潜水艇クルーなど様々なヒーローたちのウェルカムメッセージからはじまります。
展示室に鎮座するのは、直径8mはあるかという巨大な円形スクリーン。そこに映し出されるのは「二十四節気」のイメージ映像。工芸美術の巨匠である94歳の常沙娜さんの作品であり、敦煌壁画の美と、蓮や鳳凰といった自然モチーフが融合しています。
「敦煌(とんこう)」は、仏教の石窟寺院が多数残るオアシス都市。以前、生口島にある「平山郁夫美術館」(広島県尾道市)で学びました!
こちらは「農業百科全書」や「耕織図」をデジタル技術で再現したもの。四季によって移ろう人々の姿が描かれています。古い絵図の人物が動き出すのは不思議な感じがしますね。
歴史的な展示品が並ぶ先は、豊かな自然に焦点を当てた展示。オオヤマネコ、チベットヒグマ、ユキヒョウなど特徴的な動物が登場し、ユニークな生態系を見ることができます。もちろん、パンダも出てきます!
他にも現代の都市構造、自然、文化など様々な映像が盛りだくさん!とにかく情報量が多いです!!
国宝クラスの青銅器
そびえ立つのは4m近くにも及ぶ巨大な青銅器。三星堆遺跡から発見されたもので、世界最大の単体青銅器であるそう。その名も青銅神樹(せいどうしんじゅ)といいます。
こちらも青銅器、后母戊鼎(こうぼぼてい)。高さ約133cm、長さ約110cm、幅約79cm、そして重さがなんと832kg!!これまた世界最大級の青銅器なのです。
驚くべきは、青銅神樹も后母戊鼎も3000年前くらいに造られたものということ。日本が縄文時代から弥生時代に移り変わろうかという頃、大陸ではこれほどまでに優れた鋳造技術が発達していたのですね!中国の歴史の深さを実感する展示です。
木彫りの中日友好回廊
二階へのスロープは、壁面には木彫りの作品が並んでおり中日友好回廊となっています。この作品もかなり見応えがありますので、通路として通り抜けてしまうのはもったいない!
こちらのお坊さん、誰かわかりますか!?
そう、鑑真です!名前は有名ですが、何をした人物か即答できる人は少ないのでは。中国のお坊さんで、仏教の戒律を伝えるために日本を目指しますが、嵐や事故などで幾度となく失敗。失明してしまいながらも、6度目の航海にてついに渡日に成功。鑑真のおかげで日本の仏教は本格化することができました。(詳しくは鑑真記念館(鹿児島県南さつま市)の記事にて)
他にも最澄や空海、毛沢東や松下幸之助の姿も。日中関係に深く関わる様々な人物が登場します。
仲良さげに描かれたアトムと孫悟空もいます!アトムって中国語で「阿童木」って書くんですね!
終盤にはなんと、平山郁夫も登場!先程、「敦煌」のときにちらっと名前を出した20世紀を代表する日本の画家。敦煌をはじめとしたシルクロードをテーマにした作品を多数描き、中国でも高い評価を得ます。文化財の保護にも尽力したことから、日中関係を深めた人物なのです。
ちなみに、なぜかパンダも登場します!この「カンカン」と「ランラン」は日本に初めて贈られたパンダ。日中友好の架け橋となった動物ですね!
普通の中国人の暮らし
スロープを経てたどりついた2階。唐突に現れるのは「普通の中国人って、毎日どんなふうに過ごしてると思う?」というメッセージ。
その先にあるシアターで映し出されるのは、時刻ごとに繰り広げられる様々な日常のシーン。オフィス、まちなか、港、ティータイム、家族の夕飯、若者の夜…。とにかくたくさんの人が登場するのですが、みなさんとにかく良い顔で胸が熱くなります!!
街や文化を紹介するパビリオンは数あれど、これほどリアルな国の様子を覗き見ることができる展示はとってもレア!
7分ほどの映像でしたが、映画を1本見たくらいの満足感が得られました。ちなみに、もちろんパンダも登場します!
宇宙から深海まで
映像のあとは最後の展示室。登場するのはスマートシティ構想。「智慧城市」と書かれていたのでてっきりそういう名の市があるのかと思いきや、この言葉は中国語で「スマートシティ」を意味する言葉。ジオラマをベースに、スクリーンにもその機能が映されます。
こちらはAIによる多言語対話。マイクで質問すると孫悟空が回答してくれます。「俺様が答えてやるぜ!」「お前さん、ちょっと待ってくれよ」といった具合に、口調がちょっと強めなのが面白いです。
有人深海探査艇「蛟竜号」をモデルにした展示もあります。内部に入ると、深海で撮影された貴重な映像を、レバーを操作して探検気分で見ることができます。蛟竜号って名前がかっこよすぎますね。
行列ができているのは、月探査機「嫦娥5号・6号」が持ち帰った月面土壌サンプル。月の表側と裏側の土壌が同時に公開されるのは、世界初の試みであるそう。
そして、なぜかパンダも展示されています!!
このパンダは2025年4月24日に飛び立った「神舟20号」に乗り宇宙へ行ったぬいぐるみ。その後、宇宙ステーション「天宮」にて「神舟19号」に乗せられ、地球へと帰ってきました。宇宙を旅したパンダでした!
ちなみにこのパンダは中国パビリオンのマスコットキャラクター「悠悠(ヨウヨウ)」。とのこと。あまりにもパンダ過ぎて、キャラクターと気づきませんでした!
これにて展示はおしまし。古代の貴重な展示品から、現代のデジタル技術まで、幅広い展示で見応えたっぷり!ちなみに私の滞在時間は50分。未来の都市と同じく、一番長く滞在したパビリオンでした。
出口付近にはショップがあり、当然パンダグッズがたっぷり!
パンダに始まりパンダに終わるパビリオンでした。

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