全国の鬼が大集合!鬼専門のミュージアム『北上市立鬼の館』(北上市)

岩手県

鬼にまつわる文化の残る北上市に建つ、鬼専門の博物館。日本各地の鬼面をはじめとした、ずらりと並ぶ鬼に関する展示はとにかく圧巻。わかりやすい映像コンテンツやパネルがあるので、知識が無くても楽しめます。深く研究して作り上げられた「作品」とも呼べるミュージアムです。

訪問日:2022/10/8(土)

迫力ある演出が楽しい博物館

鬼を先覚者として捉えた「あの高嶺鬼すむ誇り」という市民憲章があるほど鬼が愛されている岩手県北上市。市の中心部から8km程のところに建つ鬼の館は、そんな「鬼」に焦点をあてたレアなミュージアム。

エントランスホールにて入館者を待ち受けるのは巨大な鬼面。高さ3mにも及び、真っ赤な顔と鋭いキバで迫力満点。正面に立つと、その場から動けなくなりそうです。

展示室へ続くゲートは重厚な雰囲気。よく見ると、来場者を上から見下ろす鬼の姿も。なんとなく、高い声でよくしゃべりそうな雰囲気の鬼です。

入口を進むと、木々が立ち並ぶ雰囲気満点なシアタールーム。スクリーンでは鬼のイメージ動画「鬼を見たか」を上映しており、一気に鬼の世界に引き込まれます。

鬼にまつわる大量の展示

展示室は、どこを見ても鬼だらけ!写真や絵はもちろん、お面や像など立体的な展示も多く、かなり見ごたえがあります。

こちらは日本各地の鬼に関連するまつりを紹介した「日本の鬼まつり」。モニターでは、様々なまつりの映像が次々と流れていきます。

ずらりと並ぶ鬼面神楽面。まつり同様、日本各地に伝わるものを集め展示されています。よく見るといろいろなカラー。口が開いていたり閉じていたり、バリエーションは豊か。

なお、たまに動く鬼面があります。現地へ行かれる際は驚かないようにご注意ください・・・!

ここに並ぶのは男鹿半島のナマハゲ、甑島のトシドン、三陸町のスネカなど。これらは、特定の日に人々の家へやってくる来訪神としての性格を持つ鬼たちです。

鬼をカテゴライズした鬼曼荼羅

鬼の館では、鬼を「大人」「妖怪」「鬼神」「餓鬼」の4つの要素に区分し展示しています。これを壁面に描き出した展示は、仏教の曼陀羅にちなんで「鬼曼荼羅」と名付けられています。

大人
雷や台風などの自然現象を神格化した存在。権力闘争に敗れた人物なども含まれるそう。描かれているのは「風神雷神」、京都の「酒呑童子」、蝦夷の総帥「悪路王」、「土蜘蛛」など。

鬼神
祭りや神事に登場する鬼。「烏天狗」、渡来神とされる「摩多羅神」、建物を守護する「鬼瓦」など。

餓鬼
仏に使役されるもの、または教えに従わず懲らしめられる存在。灯籠を持つ「天燈鬼・龍燈鬼」、降三世明王に踏まれる他宗教の神「大自在天・烏摩妃」など。お寺で見かけることも多いですね。

妖怪
おどろおどろしさが強調され、化け物として扱われる鬼。「百鬼夜行」、「ぬらりひょん」、「山姥」、妖狐「玉藻前」など名だたる妖怪たちがラインナップ。

今なお続く伝統・鬼剣舞

鬼剣舞(おにけんばい)というのは、北上市に伝わる伝統芸能。修験の祖である役小角が念仏を広めるために踊ったものや、悪霊退散の念仏踊りがルーツといわれています。正式には「念仏剣舞」という名ですが、鬼のような面を付けることから明治以降にこのような名前で呼ばれるようになったそう。

現在もその伝統は続いており、様々な伝統芸能が披露される夏祭り「北上・みちのく芸能まつり」をはじめ、地域の運動会などでも開催されるほど親しまれているそうです。

ずらりと並ぶお面。正確には鬼ではなく仏の化身であるため、鬼のような形相ですが、角はありません。赤、青、白、黒、黄の5色ありそれぞれ五大明王を表しています。

なお、白面はリーダーであり1人しかいないとのこと。最も踊りの上手い人のみ付けることができるそうです。

行ってみた感想

最初のシアターや近づくと動くお面など、ちょっとしたアトラクション要素もあるため、知識が無くても楽しめるミュージアム。展示内容も非常に読みやすくまとめられており、さらっと見ても楽しめるし、ある程度知識がある人がじっくり楽しむこともできます。「テーマパーク的な楽しさ」と「博物館的な面白さ」のバランスが絶妙で、様々な人が楽しめる仕上がりのミュージアムです。

いろいろな読み物を眺めていると、「鬼とはいったい何なのか?」と考えさせられます。特に「鬼曼荼羅」は、これまでいろいろなところで名前を見かけてきた鬼や妖怪、さらには神様の名前が多く登場してきて「これも鬼と呼べるのか」と、非常に楽しめました。

平泉や花巻へ訪問の際は、少し足を延ばして立ち寄ってみてはいかがでしょうか。そして、鬼についていろいろ考えて見ると面白いかもしれません。

鬼に興味がある方は、こちらもおすすめです!

鬼とはいったい何者なのか『日本の鬼の交流博物館』(福知山市)
鬼をテーマにしたちょっとレアな博物館。館内には鬼瓦や鬼の仮面など、鬼に関連する展示が盛りだくさん。鬼を考察した読み物も多数展示されており、日本各地に伝わる「鬼」という存在についてどっぷりつかることができるミュージアムです。

アクセスと営業情報

最寄り駅は北上線の江釣子駅および藤根駅ですが、いずれも徒歩だと1時間近くかかります。月水金限定ですが、北上駅前からバスで約40分のバス停《岩崎橋》へアクセスすれば、そこから徒歩15分ほど。

車の場合は東北自動車道の北上江釣子ICから約15分、秋田自動車道の北上西ICから約15分。

開館時間 9:00~17:00
休館日 月曜 ※年数回の休館日あり
料金 500円
公式サイト https://www.city.kitakami.iwate.jp/life/soshikikarasagasu/oninoyakata/index.html

※掲載の情報は2022年10月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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