1400年の歴史を持つ、日本で最初の本格的仏教寺院。本尊の飛鳥大仏は日本で最も古い仏像といわれています。それにも関わらず国宝には指定されていません。いったいどのような理由なのでしょうか。
日本で最初の寺院
飛鳥寺は6世紀末頃に建立された仏教寺院。開基は蘇我馬子で、蘇我氏の氏寺である法興寺の後身であるそう。
この飛鳥寺、日本最古の本格的仏教寺院といわれています。あれ、日本最古の寺は法隆寺じゃなかったっけ・・・?
飛鳥寺は創建時の伽藍が失われているため、建築的な意味での日本最古は法隆寺ですが、創建年を見ると、最初に建立されたそうです。「日本最古の仏教寺院」ではなく「日本最初の仏教寺院」と書いた方が、わかりやすそうですね。
静かにたたずむ伽藍
境内に入るとすぐに見えるのは本堂。2度の火災で焼失しており、現在の建築は文政9年(1826年)に再建されたもの。
聖観世音菩薩を安置している思惟殿。新西国三十三箇所第9番札所にも選ばれています。
鐘楼は延享2年(1745年)に建立されたもの。梵鐘は昭和18年(1943年)の戦時下に供出されており、現在のものは昭和33年(1958年)に新たに鋳造されました。
かつての伽藍は五重塔を中心に、中金堂、東金堂、西金堂という3つの金堂が立ち並ぶ壮大な寺院であったそうです。境内には、創建当時、塔が建てられていたポイントを示す塔跡表示柱もあります。この地下3mに塔の基礎があるそうです。
飛鳥大仏の存在感
この飛鳥寺最大の見どころが、本尊である釈迦如来像、通称「飛鳥大仏」。高さは約3mの坐像です。
609年に建立されたもので、日本最古の大仏として知られています。大仏として見るとそれほど大きいわけではありませんが、数多く存在する日本の仏像の中でこれが一番最初と考えると胸がアツくなってきます。
作者として伝わるのは、飛鳥時代の仏師・鞍作鳥(くらつくりのとり)。他にも法隆寺金堂の釈迦三尊像も手掛けた人物です。以降の大仏に比べると面長であり、アーモンド型の眼が特徴的。これは大陸の影響を受けているそう。
左側は厨子に入った聖徳太子孝養像。こちらは室町時代に造られたものです。聖徳太子の16歳の姿を描いているそうです。
国宝に選ばれない理由
日本最古の大仏であるにも関わらず、現在は国宝には指定されておりません。同じ鞍作止利作である法隆寺金堂 釈迦三尊像は国宝に指定されているのに、なぜ飛鳥大仏は違うのでしょうか・・・?
昭和15年(1940年)に一度は国宝に指定されるものの、昭和25年(1950年)に文化財保護法が施行されると、それまでの国宝は一度重要文化財に。改めて国宝が指定され直しましたが、飛鳥大仏はその選考から外れてしまったのです。
その理由は、飛鳥時代の制作当初部分がわずかで、顔の大部分をはじめとした多くのパーツが鎌倉時代〜江戸時代に補修されているため。しかし、最近の研究では、顔はほぼ建立時のものであることがわかり、再度国宝に返り咲く可能性もあるようです。
蘇我入鹿の首塚
境内を抜けてすぐの場所には蘇我入鹿の首塚があります。ここまで来たら、あわせて訪問がおすすめ。
蘇我入鹿といえば、「大化の改新」の始まりの事件・乙巳の変にて中大兄皇子と中臣鎌足に討たれた人物。当時の蘇我氏は政治の実権を握るほど強大な力を持つ豪族。これを討つことで天皇を中心とした国家をつくろうとした改革でした。
飛鳥寺を開いたのは、前述の通り蘇我馬子。もともと蘇我氏の氏寺の法興寺というお寺であったため、蘇我入鹿もこの地で供養されたのでしょうね。
アクセスと営業情報
開館時間 | 4月1日~9月30日 : 9:00~17:30 10月1日~3月31日 : 9:00~17:00 |
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料金 | 500円 |
公式サイト | https://asukamura.com/sightseeing/487/ |
※掲載の情報は2025年5月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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