関東十刹に数えられる古刹。境内では四季折々の花や文学碑めぐりも楽しめます。夢窓疎石の意思を継ぐ重厚な岩の庭園は圧巻です。
料金:200円
瑞泉寺へのアクセス
鎌倉駅から京急バス[大塔宮行き]に乗ること15分。バス停《大塔宮》で下車、鎌倉宮の脇の道を歩くこと10分ほどで到着します。
受付を済ませたあとも、しばらく道は続きます。なかなか急な石段を登っていくことになるので、暑い日はタオルや水分をお忘れなく。(バス停からのルート上に自販機はいくつかありました)
途中、2つに分かれる道が。苔むして急な左側か、緩めの右側。左は滑りそうな気がしたので、ここは迷うことなく右の道を選びました。
関東十刹の一寺
瑞泉寺は、臨済宗円覚寺派の寺院。1327年、鎌倉時代の御家人・二階堂貞藤によって建立されました。
開山は夢窓疎石(むそうそせき)。京都の天龍寺・金閣寺・銀閣寺・西芳寺(苔寺)でもおなじみの人物です。仏殿には、本尊である釈迦牟尼仏とともに夢窓疎石坐像も安置されていました。
なお、鎌倉五山に次ぐ関東十刹の一寺に数えられています。十刹の多くは現在廃寺となっており、残るものは3つしかありません。
岩を彫って作られた庭園
優れた作庭家としても知られる夢窓疎石。仏殿の裏手には彼の作品といわれる瑞泉寺庭園が広がっています。
岩肌がむき出しの崖が迫る、迫力ある光景。岩盤を削り出して作り上げたこの独創的な庭園は「岩庭」と呼ばれることもあるそう。
ぽっかりと空いた大きな穴は天女洞。鎌倉には「やぐら」と呼ばれる岩をくり抜いた洞窟が多数存在していますが、その中でもかなり大きい部類。この洞窟は修行の場であったそう。
2つの木の橋と、その先にある木戸も雰囲気を引き立てます。見る人に流れを作る働きを持っているのではないでしょうか。
なお、この庭園は昭和45年に発掘され、復元されたものです。
文人も多く訪れた寺院
この瑞泉寺は文学と関係が深い寺院。鎌倉時代には五山文学の拠点となり、また川端康成や大佛次郎といった文人ゆかりの地でもあります。
境内には浅草の小説家・久保田万太郎の碑を見つけました。刻まれているのは「いつぬれし松の根方ぞ春しぐれ」の句。
こちらは大宅壮一評論碑。「一億総白痴化」や「口コミ」、「恐妻」など数多くの造語を世に生み出していますが、そのうちの一つである「男の顔は履歴書である」が力強く彫られていました。
鎌倉随一の花の寺
様々な植物が生い茂っている境内。季節に合わせて様々な花を見ることができるため「花の寺」とも呼ばれています。今回は7月に訪問したため、初夏の花が多く咲いていました。
黄色く小さな花がかわいらしいキンシバイ。5枚の花びらが梅ににていることから「バイ」と名前に付きますが、実際はオトギリソウの仲間です。
オレンジ色の花はヒオウギズイセン。小さな花がたくさんでにぎやかな印象です。
紫色の上品な花を咲かせるキキョウ。星形の花は、明智家の家紋や晴明神社の神紋などでもおなじみのデザイン。
赤と黄色という派手なカラーリングのヘメロカリス。咲いていたのはわずか3つでしたが、存在感抜群です。
他にも、季節によってツツジ、マンサク、スイセンなどの花が楽しめるそう。また、紅葉の名所としても知られています。四季を強く感じることができるお寺です。
鎌倉めぐりの旅もこのあたりでおしまい。バス停《大塔前》まで戻り、バスで鎌倉駅へと帰ります。
コメント