落ち着いた色合いが美しい「翡翠(ヒスイ)」を数多く展示するミュージアム。巨大な原石や様々な加工品、そして翡翠でできたお風呂など、様々なカタチに馴染む翡翠の可能性を感じることができます。
休館日:月曜、翌祝
料金:700円
デザイナー建築の博物館
最寄り駅は京急線の北品川駅から徒歩10分ほど。品川駅からだと徒歩20分ほどかかります。原美術館のすぐ近くにあるので、セットでの訪問もおすすめです。
入館料は700円。館内ではスタッフの方が丁寧に解説してくださり、香りの良いお茶のサービスもいただけます。
翡翠原石館は、もともとは照明器具のショールームだった建物を利用した博物館。取り壊しになりそうだったところ、庭のサクラの木を守るために館長がこの建物を買い取り、翡翠博物館として利用したそう。
イタリアのデザイナーが設計したという館内は、おしゃれで立体的な、まさにデザイナーズ物件といったイメージがぴったりハマります。
階段の脇に高くそびえるのは翡翠を使用した奴奈川姫(ぬなかわひめ)のモザイクアート。古来より翡翠の産地である糸魚川に伝わるお姫様で、ヒスイを用いて国を治めたとされています。
翡翠という漢字は、「ヒスイ」の他に「カワセミ」とも読みます。渓流の宝石とも呼ばれる美しい鳥・カワセミも共に描かれています。
グリーンの宝石
ヒスイは緑色の鉱石。装飾品や勾玉、また丈夫な性質から石器の材料としても利用されてきました。
日本国内では多く産出されており、北は北海道から南は長崎まで10ヶ所で確認されています。新潟県の糸魚川では、世界最古のヒスイの加工品も発掘されています。
古来より日本人にとってなじみ深い宝石であるヒスイは、2016年には日本鉱物科学会によって日本の国石にも認定されました。国石というコトバ、はじめて耳にしました!ヒスイのが他にはどのような石が候補だったのか気になって調べてみたところ、花崗岩、輝安鉱、水晶、自然金がノミネートされていたそうです。
緑色のイメージが強いヒスイですが、ラベンダー色の翡翠も。チタンなどの成分が入り込むことで、グリーンではないカラーリングの翡翠が出来上がるそう。他にもコバルトブルー、ピンク色などのヒスイも見ることができます。
巨大な原石
館内中央に鎮座するこの大きな岩は、ヒスイの原石。いったいいくらの価値があるんだろうと、ついつい考えてしまいます。
中庭にも巨大なヒスイの原石がいくつも並んでいます。磨いてあるものはツヤツヤでわかりやすいのですが、そのままの原石は普通の岩に見えます。もし山で見かけても気づかないかもしれません。
なお、この庭園にはカエルが暮らしており、スタッフの方はエサをあげたりして育てているらしいです。日本一美しい声のカエルと名高いカジカガエルもいるそうなので、春から初夏の繁殖期にはきっと美声を響かせていることでしょう。
ヒスイギャラリー
ヒスイの加工品を見ることができるギャラリールームもあります。こちらはヒスイでできた五重塔。うっすらとした緑が、銅の緑青(ろくしょう)のようで美しい。何だか嫌味が無くて優しい雰囲気です。
ヒスイのペーパーナイフ。その硬さから、先史時代には石斧などにも利用されていたこともあります。このナイフはなんだか不思議な力を込めていそうで、少し妖しい雰囲気です。
このお座布団も、なんとヒスイ製!つるつるして肌触りは良いですが、長く座るにはちょっと硬いです。ひんやりしているので、夏場は気持ちよさそう。
圧巻の翡翠風呂
この翡翠原石館の目玉展示といえば、巨大なヒスイをくり抜いて作られた翡翠風呂。「宝石で作ったお風呂」と書くと何となく趣味の悪そうな響きですが、ヒスイのお風呂は全くそんな風には見えません。風呂桶だけでなく壁や床もすべてヒスイという豪華仕立てですが、大理石に似た色味のせいか、とてもよく馴染みます。
お湯は張っていませんが、風呂桶の中に入ることも可能。石なのでとってもひんやりした質感。お湯を張るときも、70℃の熱いお湯を張らないとなかなか温まらないとのことですが、その代わり冷めにくいという利点もあるそう。
日常生活ではあまりなじみのないヒスイですが、上品でシックな輝きはとても魅力的な宝石でした。あまり機会はないのですが、「好きな宝石は?」という質問を受けたらヒスイと答えようかな。
帰りが際、翡翠原石館の隣を見ると建築中の建物が。スタッフさんによると、こちらは翡翠原石館の2号館となる予定とのこと。オープンしたらまた来よう!
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