NHKによる放送にテーマをあてたミュージアム。ラジオやテレビ放送の歴史とともに、NHKならではの番組の歴史も感じることができます。非常に幅広い世代が懐かしさを感じることができる稀有なスポットです。
愛宕山の博物館
1956年3月3日に世界初の放送専門博物館としてオープンしたNHK放送博物館。2016年にリニューアルを経て、展示内容がアップグレードされました。
この博物館の立つ愛宕山は、かつてNHKが本格的に放送を開始した場所。そのため、NHK発祥の地とも呼ばれています。標高は25.7mと小ぶりな山ですが、23区内の天然の山では最高峰。今でこそ高いビルに囲まれていますが、当時はきっと見晴らしの良い場所であったことでしょう。
なお、入館料は無料!さらに、駐車場も無料。気軽に立ち寄りやすいミュージアムです。
放送の歴史からスタート
1925年3月22日、東京高等工芸学校図書室の東京放送局仮放送所から「JOAK」のコールサインで日本初のラジオ放送が開始。同年7月12日、ここ愛宕山から本放送が開始。天気予報、音楽演奏、ラジオ劇などの番組が届けられます。
こちらは朝倉文夫作の後藤新平像。日本初のラジオ仮放送の際に、総裁として挨拶。文化的な生活に放送は欠かせないことを説きました。
1926年には日本放送協会が発足、1928年には全国中継網が完成します。野球や相撲といったスポーツ中継もはじまり、一家団らんの中心的な存在へと成長していきます。
1931年に満州事変が勃発すると、ラジオは臨時ニュースを放送。徐々に新聞を越えるメディアとしての面が強まっていきます。戦時中は政府の施策を伝え、日本の主張を海外に宣伝する役割も担うようになっていきます。
最も大きな役割を持ったのは終戦時。玉音放送と呼ばれる天皇の声による呼びかけは、日本国民へ戦争の終わりを告げました。なお、この玉音放送は、生放送ではなく事前に録音されたもの。陸軍将校らによって、放送を阻止しようと録音盤の強奪を計画するという動きもあったそうです。
テレビ放送のはじまり
ラジオに続いてテレビ放送、といいたいところですが、日本のテレビ研究はラジオが放送開始される前から行われていました。
1926年、浜松高等工業学校の助教授であった高柳健次郎によって、ブラウン管に映像を映し出すことに成功。最初に映されたのはカタカナの「イ」でした。イであることに違和感がありますが、当時は「あいうえお」ではなく「いろは」であったので、単に最初の文字を選んだだけであるそうです。
1939年の反射型テレビ。当時のブラウン管は長さがあったため、縦向きに設置して鏡に反射させて見るようになっています。
1940年に開催予定であった東京オリンピックに向けてテレビ放送の研究が進められますが、戦争によりオリンピックは返上、研究もストップしてしまいます。戦争も終わり1953年2月1日、内幸町の放送会館より初のテレビ放送が開始。1964年の東京オリンピックでは、カラー放送もスタートします。
こちらは再現された1960年代のお茶の間。テレビが中心に置かれた昭和の暮らしぶりが伝わってきます。足元にあるモニターは、なんとテレビからの目線!テレビの画面を囲んで盛り上がる家族の姿が映し出されます。
懐かしのこども番組
突然現れるのは、じゃじゃ丸、ピッコロ、ポロリの「にこにこぷん」トリオと、「できるかな」のゴン太くん。NHKといえば、Eテレ!ここでは、NHK教育テレビにて放映された番組が紹介されています。
2022年4月からはじまったのは「ファンターネ!」。左から、ルチータ、みもも、やころという名前で、それぞれライオン、カッパ、ひょうたんの子どもというユニークな設定となっています。
壁には「ガラピコぷ~」「ポコポッテイト」「モノランモノラン」など歴代写真も。おそらく歴代すべての写真が貼られていますので、ほぼ全ての人が懐かしい気持ちに包まれることでしょう。
この装置はもちろん「ピタゴラスイッチ」!2002年より放送がはじまった番組で、日用品を使ったカラクリ仕掛けがとってもくせになります。この展示は実際に動くわけではありませんが、モニターで放送の様子を見ることができます。
テレビの妖精・ジュモクさんが登場する朝のお目覚め番組「シャキーン!」。番組内で流れる音楽のクオリティが非常に高く、さらにシュールなコーナーも多いため大人が見ても楽しめる内容です。あゆちゃんとナオトの頃、よく見てました・・・!
思い出にひたれるドラマ紹介
長い歴史を持つNHKは、長寿番組やシリーズとして続いているものがたくさん。「紅白歌合戦」や「のど自慢」など、知らない人はいない名前ですよね。
こちらは歴代の「大河ドラマ」&「連続テレビ小説」の一覧。フルで見ていなくても、話題になることが多いので名前はきいたことあるものばかり。
各種体験コーナーもあり
こちらは「昔の音づくり体験コーナー」。風の吹く音を発生させる布のかかった滑車や、馬の蹄の音を再現するヤシの実&砂利など、実際に鳴らして体験することができます。SEが発達する以前は様々な工夫がされていたのですね。
「放送体験スタジオ」では、撮影セットが設置されており、ニュースキャスターになりきることもできます。また、「愛宕山8Kシアター」も備えており、訪問した際は「VRでよみがえるガウディ ~サグラダ・ファミリアの秘密~」を放映中。受付にて予約を行っていますが、定員は6名ほどと少なめ。見たい方は最初に予約するのがおすすめです。
さらに4階の「番組公開ライブラリー」では、NHKで放送された番組約1万本を視聴可能・・・!公式HPにて事前検索も可能なので、あらかじめ狙いを定めてから訪問するのが良さそうです。
行ってみた感想
今では当たり前になっている放送の歴史を学ぶことができて、非常に面白かったです!遅めの時間に訪問したため、「愛宕山8Kシアター」と「放送体験スタジオ」がクローズしていたのがちょっぴり残念。この2つに興味がある方は、早めの時間に訪れるのがおすすめです。
やっぱり印象深いのはこども番組コーナー。最近すっかり見る機会も減ってきてしまったので童心に返ったような気持ちになることができました。この展示は、老若男女問わず、みんなが懐かしい気持ちに浸れることでしょう。
欲を言えば、コッシーやサボさんが登場する「みいつけた!」や「にほんごであそぼ」などの歴史も見てみたかったです!さらに「えいごであそぼ」「クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!」「リトル・チャロ」など、もう終わってしまっている番組についても展示してほしいところ。
もういっそのことEテレミュージアムとかどうでしょうか・・・?現在Eテレを見て育っているお子様はもちろんのこと、ストレス社会で苦しむ大人が「あの頃」に戻れる場所として人気が出そうです。
アクセスと営業情報
・東京メトロ日比谷線の「神谷町駅」3番出口)より徒歩8分、「虎ノ門ヒルズ駅」A1出口より徒歩10分
・東京メトロ銀座線の「虎ノ門駅」1番出口より徒歩13分
・都営三田線の「御成門駅」A5出口)より徒歩10分
体力に余裕がある方は、愛宕神社の出世の階段を登り、神社へ参拝してから訪問するのがおすすめ。お急ぎの方は「愛宕山エレベーター」を使用すると、一気に愛宕山の山上までアクセスすることもできます。
開館時間 | 10:00~16:30 |
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休館日 | 月曜 |
料金 | 無料 |
公式サイト | https://www.nhk.or.jp/museum/ |
※掲載の情報は2023年8月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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