狛江古墳群 Part 1 駅の南側の6つの古墳めぐり(狛江市)

東京都(市町村部・多摩地区)

東京都の狛江市には、古墳がいっぱい!メジャーな巨大古墳などはありませんが、太古の昔から人が暮らしていた歴史を感じることができます。駅から徒歩で気軽にめぐることができますが、少々上級者向けかもしれません・・・!

訪問日:2022/1/16(日)

古墳がいっぱいの狛江市

古墳めぐりに最適な季節といえば秋~冬

一見すると古墳に季節性は無さそうに思えますが、ばっちり観光用に整備されたメジャー古墳以外の古墳は自然に包まれているものばかり。草木が茂る季節は、藪の中を進んだり、大量の蚊に襲われたりと急激にハードモードとなってしまうのです。

というわけで、なんとなくGoogle Mapで「古墳」を検索してみると、知らない古墳がごろごろと出てきます。東京都内にもけっこう残っていることにびっくりしながら地図を眺めていると、1箇所妙に古墳が集まっているポイントがあります。それが狛江駅周辺

名前は知っていてもなかなか行く機会の無い街、この機会に訪問してみることにしました!

ここから先は、実際に古墳めぐりをしたレポートになります。狛江古墳めぐりを考えている方は、あえて何も事前情報を仕入れず、Google Mapの地図だけを頼りに散策してみるのもおすすめです!「どれが古墳だろう?」「どんな状態なんだろう?」といった期待と不安を胸に抱えて探すのはとっても楽しかったです。

駅周辺に密集した古墳群

Google Mapで見つけた古墳は全部で15基。これらは狛江古墳群という名で呼ばれています。いずれも徒歩15分圏内とアクセス良好なので、全てまわってみることにしました!とはいえ、1つの記事にまとめるとわけわからなくなりそうなので、駅の北側と南側に分けてみることに。

<狛江駅南口>(※本記事に掲載)
①猪方小川塚古墳
②前原塚古墳
③猪方稲荷塚古墳
④清水塚1号古墳
⑤土屋塚古墳
⑥橋北塚古墳
<狛江駅北口>(※次の記事に掲載)
⑦駄倉塚古墳
⑧東塚古墳
⑨松原東稲荷塚古墳
⑩飯田塚古墳
⑪白井塚古墳
⑫兜塚古墳
⑬亀塚古墳
⑭経塚古墳
⑮弁天池塚古墳

※古墳の名称は全てGoogle Mapを参照にしています。

①猪方小川塚古墳

まずは一番駅から遠くにある猪方小川塚古墳へ。といっても南口から徒歩15分ほど。Google Mapに従い進んで行くと、住宅街の中へと入っていきます。

この古墳は、猪方小川塚古墳公園として整備されています。開園時間は9:00〜17:00(10〜3月は16:30まで)と決まっているのでご注意。

手前両サイドのくぼんだ芝生部分は周溝と呼ばれる古墳のまわりに張り巡らされた溝、奥の盛り上がっている部分が埋葬施設のある墳丘。墳丘の直径は15〜20mあったと考えられていますが、その大部分は削られており、現在は7mほどが残されています。

石室はガラス張りで展示されており、自由に内部を覗くことができます。鉄骨で補強された横穴石室は、玄室と前室に複室構造。合わせると4.5mほどの奥行きになります。

発掘調査によると、被葬者とともに金銅製の耳環や鉄鏃が出土。これにより、7世紀頃の築造であったと考えられています。これまでは狛江古墳群は5〜6世紀頃に造られてたと考えられてきましたが、この発見により築造年を見直す必要がでてきたそう。

コンパクトですが、なかなか見ごたえある古墳です!ベンチに腰かけてしばらく見入ってしまいました。「これくらいのクオリティの古墳が続いたら、全部まわれないかも・・・」不安になってきましたが、すぐにそれは杞憂であることを思い知らされマス。

②前原塚古墳

猪方小川塚古墳のすぐ近くにあるはずなのですが、全然見当たりません。Google Mapのポイント周辺を眺めていると、ふと目にとまったものが。

まさかまさかあれでは・・・!

畑の真ん中に、島のように浮かんでいる小さな山、これこそが前原塚古墳。畑の中=私有地にあるため、近づくことはできません。案内板も見つからず。

ネットで調べた情報によると、直径約20m・高さ2.4mの円墳で6世紀前半に築造されたと考えられているそうです。ちなみに、Google Mapのクチコミには、「土地の所有者に見学を申し出たが断られた」という内容のものも。権限リクエストも通らない、遠くから眺めるだけのView Only古墳でした。

③猪方稲荷塚古墳

赤い鳥居が立っているためとっても見つけやすい!先ほどの前原塚古墳と違い、すぐに見つけることができて一安心。

・・・と思ったのですが、これ古墳なのでしょうか?

石室はおろか、墳丘や周溝すら見当たりません。鳥居とお社が建っているため、神社であることはわかるのですが古墳らしい要素を何一つ見つけられませんでした。

「ただの丘にしか見えない」といったように、いわれないと気が付かないような古墳はたくさん見てきましたが、いずれも土が盛り上がった姿は健在でした。この猪方稲荷塚古墳には、それすら無いのです。かろうじて周囲より20cmほど高くなっていはいますが、ほぼ平面。もはやエアー古墳と呼んでも差し支えないレベルです。

④清水塚1号古墳

住宅街の中を歩いていきます。マップは草木が生い茂るこの林を指しています。

ええ、これが古墳なのでしょう。バリバリに藪となっており、なおかつロープや柵もあるため侵入はほぼ不可能。道路から眺めることしかできません。

木々の隙間をのぞくと、かろうじてこんもりとした墳丘らしき姿が見えます。とはいえ、道路からは普通の森にしか見えないため、ステルス古墳と呼びたくなります。

というか、冬でもばりばり草木生い茂ってませんか?冬なら大丈夫とか言ってたのは誰でしょうか。(スミマセン)

⑤土屋塚古墳

マンションの敷地内、手前に見える小さな山が土屋塚古墳。ちゃんと墳丘が残されており、草木の手入れもされている姿を見て一安心。

解説が書かれた案内板も設置されております。その記載によると、直径33m・高さ4.5mの大型の円墳で、周囲には幅10mの周溝もつくられていたそう。

平成16年に行われた発掘調査では、周溝の中から墳丘に並べられていた埴輪が見つかります。この埴輪は、制作技法から上野(かみつけ=群馬県)の工人集団によって制作されたと考えられています。また、河内地方にルーツを持つ装飾がされた朝顔型円筒埴輪なども出土しており、交易の広さを伺い知ることができます。

マンションの駐車場側には扉がありますが、カギはかかっていないため、墳丘上に登ることもできます。(↓写真の右奥)

とはいえ、何があるではなく、笹が茂っているためあまりおすすめはしません。でも狛江古墳群の中で墳丘上に登れるクライミング古墳はとっても貴重です。

⑥三角塚古墳(橋北塚古墳)

さて、南側ラストは三角塚古墳!引き続きGoogle Mapを頼りに進みます。路地裏へ入り指定されているポイントまで向かうと、フェンスで囲まれたところにたどり着きます。

ここは保育園。なんと三角塚古墳は保育園の中にあるのです!

この目隠しフェンスはかなり高さがあるため、内部は全く見えません。もちろんわずかな隙間などもありません。「どこか隙間くらいあるでしょう」と、周囲をぐるっとまわってみたのですが園内を覗けるポイントは皆無。完璧すぎるプライバシー設定です。(保育園のまわりをうろうろするなんて完全に通報案件ですが、本日保育園はお休みで人の気配はなかったので許してください)

案内が書かれた指標は壁に発見しましたが、全く何も感じ取れません。これはちょっと切なすぎます。でも、ここまで何一つ見ることができない古墳というのも、ある意味レアかもしれません。

ふと思ったのですが、果たして古墳は存在しているのでしょうか・・・?

シュレディンガーの猫の思考実験が頭に浮かんできたので、これからは完全に見ることができない古墳をシュレディンガー古墳と呼ぶことにします。

さてさて、南口の古墳めぐりはここまで。線路の下をくぐって、駅の北口へ。続きは次回!

(※「シュレディンガーの猫」は、箱を開けてみなけりゃわからない的な意味ではないので、正直なところ誤用です。ただし、語感が良くそれなりに状態が伝わりやすいので記載させていただきました)

狛江古墳群 Part 2 駅の北側の9つの古墳めぐり(狛江市)
前回に続いて狛江駅周辺の古墳めぐり。北口には南口よりもさらに多くの古墳が点在しています。今回ご紹介する9基もまた駅近くにあるため、徒歩で気軽にまわれます!現在の保存状態はかなり個体差がありますが、それすらも楽しめる方にはおすすめの古墳群です。

コメント

  1. […] それほどアクセス数は伸びませんでしたが、がんばったのは『チビチリガマ』、『シムクガマ』、『アブチラガマ』の戦争関連の記事、おもしろく書けたかなと思ったのが『ホエールウォッチング』、『海とくらしの史料館』、『狛江古墳群』あたり。ネタの仕込み具合としては、『シフクノオト 金澤寿司Dining』も思い出深いです・・・! […]

  2. […] […]

  3. […] […]

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