キリシタン潜伏の歴史が残る世界遺産の集落『崎津集落』

天草諸島

世界遺産に登録された崎津集落は、表向きは神道であることを装った潜伏キリシタンたちが暮らしていた小さな漁村。崎津教会、諏訪神社、資料館みなと屋などのスポットをめぐり、独自の信仰とその歴史を探ります。

訪問日:2019/10/6(日) 

世界遺産の集落

崎津集落は、熊本県で唯一世界遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産に登録された集落。

大勢のキリシタンが命を落とした天草・島原の乱が起こった際も、崎津集落は戦いには不参加。今でこそ道路が繋がっていますが、当時は山に囲まれて海上からしかアクセスできなかった隠れ里。外界と隔離されており、乱に関する情報が入ってこなかったという話も残っています。

そのため、信徒たちは血を絶やすことなく信仰を続けていました。乱が終焉を迎えキリシタンの取締が厳しくなった禁教期も、表向きは崎津諏訪神社の氏子として過ごし、潜伏キリシタンとして人目をはばかり暮らしていきます。

崎津集落の信仰は他の地域の潜伏キリシタンとは少し異なっていました。漁業の神様であるえびす様をゼウス神と考えたり、アワビのカラの裏側の模様をマリア像や十字架に見立てたりと漁村特有の生活に根ざした独特の信仰が特徴です。そんな日本古来の生活や仏教・神道と密接に繋がった信仰が評価対象となり、世界遺産に認定されることとなりました。

崎津集落へのアクセス

今回の目的地、崎津集落があるのは、天草下島の南部。市街地である本渡からは車で約45分、牛深からは約30分と離れた場所にあります。

集落内に駐車場はありますが、停められる台数はとても少ないです。夕方に訪問したため、たまたま空いているところに停めることができたのですが、土日などは天草市崎津集落ガイダンスセンターに停めてそこから歩くのが良さそう。集落までは700m、10分弱とのことです。

もし車が無い方は、天草ぐるっと周遊バスのBコースも利用可能。本渡バスターミナルを出発したバスは、崎津集落にて60分ほど滞在します。運賃は1,000円ととってもリーズナブル。


https://www.t-island.jp/bus

穏やかな崎津集落を散歩


崎津集落はとても静かな漁村。竹などで作られた海に張り出した作業場「カケ」など、この集落独特の景観も見ることができます。

観光客向けのカフェやお土産屋さんなども多く並んでおり、ふらっと散歩しても楽しい雰囲気です。

天草の集落はネコが多いのですが、この崎津集落も例にもれずネコまみれ。地元の方の話によると、これでもかなり数が減ったそう。その代わり、近年ではタヌキが増えてきているらしい。

集落のシンボル「崎津教会」


崎津集落を代表する建築がこの崎津教会。コンクリート造りのずっしりとした建築で、天を突くかのようなゴシック様式が印象的な教会です。この教会は、1934年にハルブ神父と住民の寄付により完成しました。

横から見ると、灰色から白へと途中で色が変わっています。これは資金不足により、途中で木造に切り替えられたため。

教会前のレンガ塀には十字架のくり抜き。五島列島の教会は、禁教期に信徒たちが潜伏していた場所に建てられたものが多かったのですが、この崎津教会はかつて「絵踏み」が行われた屋敷があった場所に建てられています。

内部は、五島列島の教会の多くに見られたコウモリ屋根ことリブ・ヴォールト天井。そして、なんと畳敷きなのです。これは他の教会では見られない、オリジナリティあふれる設計です。この教会の建築に携わったのは上五島出身の建築家・鉄川与助。五島列島の多くの教会を手掛けており、同じく天草の大江教会もこの方による建築です。

教会のすぐ手前にあるルルドの泉では、ニシキゴイが悠々と泳いでおります。畳敷きの内部と相まって、非常に和風な要素のある教会です。

小さなミュージアム「崎津資料館みなと屋」

崎津教会のすぐ手前にある、崎津の歴史や文化、キリスト教との関わりを紹介する資料館。

この建物は昭和11年に建てられた旅館「みなと屋」を改修したリノベーション資料館。間取りなどはそのまま利用しているため、非常に趣のある館内となっています。展示内容はとても新しく、パネルや映像コンテンツでとってもわかりやすい。交易により栄えた昭和初期の崎津の様子を表したジオラマなどの展示もあります。

潜伏キリシタンが心の拠り所としていた小銭やメダイ、アワビの貝殻などの実物展示もあります。身近なものを信心具としていたのが崎津集落のキリシタンの特徴です。

 

天草崩れの舞台「崎津諏訪神社」


集落の中心にあるのは崎津諏訪神社。石段を登り、振り返ると崎津教会と海が見える眺めの良い場所です。

1805年、天草の潜伏キリシタンが一斉に摘発される大事件・天草崩れが起こります。
詳しくは天草ロザリオ館の記事にて。

天草崩れで摘発された潜伏キリシタンはどうなったのか『天草ロザリオ館&大江天主堂』
天草・島原の乱以降、天草の信徒たちは潜伏キリシタンとして信仰を繋いで行くことになります。そんな潜伏キリシタンに関連する資料を、シアターやジオラマでわかりやすく展示しているミュージアムです。

その際、この崎津集落では人口の約70%におよぶ1,709人が潜伏キリシタンであったことが発覚しました。厳しく処罰されてしまうのかと思いきや、このとき検挙された信徒たちは「切支丹」ではなく、「宗門心得違い」ということで赦免されます。

信心具を捨てるよう支持があったのですが、そのための箱が設置されたのが、この神社の境内でした。夕方であったためか人の気配はほとんど無く、非常に重い空気を感じる場所です。

なお、この神社の裏手には「教会の見えるチャペルの鐘展望公園」へ続く階段があります。約500登りきると、そこからは海沿いに広がる集落の姿を見渡すことができるそうです。

夕陽に照らされた「海上マリア像」

崎津集落のはずれにある岬には、白い像が建っています。この像は海上マリア像

岩場にあるため地上からは接近することが難しく、横顔しか見ることができません。しかし、ここから見る夕陽は格別です。この光景は、天草夕陽八景にも選ばれています。

なお、海上クルージングツアーならば、船上よりマリア像に接近することができます。正面から見たい方は、こちらに参加すればご尊顔を拝むことができます。

海に浮かぶ集落を見るには?

崎津集落といえば、観光ポスターでよく見る海側から撮影した写真
天草市崎津集落ガイダンスセンターの奥の細い道を進むと、ちょうど集落の対岸まで行くことができます。
交通量は少ないとはいえ、細い道なので車が停められるか心配でしたが、ちゃんと数台停車可能な駐車場がありました。

こちらが人気のアングル。夕陽は山の影に隠れてしまいますが、薄暗くなってきた中に浮かぶ崎津集落は神秘的。とにかく崎津教会が凄い存在感を放ちます。静かな漁村にそびえる教会は強烈な違和感。崎津教会には「海の天主堂」との呼び名もあるそうです。

もし朝靄や霧のタイミングに来ることができたら、とてもファンタジックな絵になりそうです。


これにて崎津集落の散歩もおしまい。

今回は遅めの時間だったため訪れませんでしたが、集落内にある鶴林山 普應軒(ふおうけん)というお寺では、神社(崎津諏訪神社)、教会(崎津教会)、お寺(曹洞宗普應軒)の3つの御朱印が書かれた三宗派御朱印帳をいただくことができます。非常にレアな御朱印なので、御朱印集めしている方はぜひチェックしてみてください!
※持参した御朱印帳にいただけるのではなく、3つの御朱印が書かれた専用の御朱印帳をいただく形になります。

日も暮れてきたので、本日最後の目的地・牛深(うしぶか)へと向かいます。ここはぜひ夜に行きたい場所なのです!その理由は次回。

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