わずか2駅しかない鉄道路線、芝山鉄道。その起点駅となる東成田駅は、空港に連絡している駅であるにもかかわらず、人の気配はほとんど感じられないという非常に珍しい駅です。今回は芝山千代田駅から1区間だけ乗車してみました。
たった2駅の芝山鉄道
芝山鉄道、それは起点である「東成田駅」から終点となる「芝山千代田駅」をつなぐ鉄道路線。その全長はわずか2.2kmと、日本最短の路線でもあります。停車駅は前述の東成田駅と芝山千代田駅のみ。たった2駅しかない路線なのです。
ただし、2駅間を往復しているだけの路線というわけではありません。芝山千代田駅発の便は、「成田行き」や「上野駅」など、東成田駅から京成線に直結しています。
今回は芝山千代田駅から乗車して東成田駅へ向かってみることにしました。駅前にはコインパーキングがいくつかあり、だいたい1日300円ほど。成田空港付近の駐車場よりも安いです。
鋼索鉄道(ケーブルカー)を含めた場合、総延長0.2kmの鞍馬山鋼索鉄道が日本一短い路線となります。また、貨物鉄道を含める場合もより短い路線が存在します。従って「日本一短い」と書く場合は「旅客運輸を行う普通鉄道」などと付けるのが良さそうです。
始発駅となる芝山千代田駅
さて、時刻表を見るとちょうど10分後に成田行きが出発。ということで、改札へと進みます。
芝山鉄道はICカードには対応していないため、切符の購入が必要です。もし京成線側からこの駅に来た場合は、窓口で処理してもらう必要があります。
改札前にはハニワ。芝山町には古代遺跡が多く残っており、ハニワが多数出土しています。町内には「芝山古墳・はにわ博物館」というミュージアムもあります。
階段を上った先の高架式ホームからは、成田空港に待機している航空機がたくさん見えます。
そんなことしている間に出発の時間。動き出した車両は、わずか3分で東成田駅に到着。あっという間です。
ダークサイドな東成田駅
降り立った東成田駅。成田空港近くの駅であるにも関わらず、誰もいません。薄暗い中、目の不自由な方向けの合図「ホケキョ」の音だけが鳴り響きます。
大災害で荒廃した日本を描いた漫画「ドラゴンヘッド」のような雰囲気は、ただ歩いているだけでもドキドキしてしまいます。
よく見ると、ホームの向こう側には暗闇の中に浮かぶ別のホームの姿が。そこに設置された駅名標は、「ひがしなりた」ではなく「なりたくうこう」と記されています。
実はこの東成田駅、もともとは「成田空港駅」でした。現在の成田空港駅の開業とともに名称変更が行われ、その座を譲ることになったという過去を持ちます。
壁には「スカイライナー広告」が貼られていたり、流し台のようなものが置かれていたりと、いろいろな発見があります。おそらく1990年代のまま時が止まっているのでしょうね。
東成田駅の地上出口
ホームから改札までは、意外にもエスカレーターがあります。
改札の先は広場になっていますが、こちらも照明は控えめ、そしてやっぱりほとんど人がいません。
地上へと続くエスカレーターは動いていません。静止したエスカレーターを上ると転びそうになるのは私だけでしょうか。
上った先の出口から見た、東成田駅の外観。もちろんお店などは無く、やっぱり人もいません。
あちこち散策していると、改札前広場の隅っこの方と、地上出口付近に新聞を持ったおじさんを見かけました。話しかけるとイベントが発動しそうな雰囲気でした。
連絡通路で成田空港へ
この東成田駅、成田空港の第2ターミナルと直結しています。改札前の連絡通路で、およそ500mほど。
写真では分かりづらいのですが、しばらくはゆるい下り坂。スーツケースを持っている場合は多少歩きにくいかもしれませんね。
途中、90度のカーブがありますが、基本的に景色はほとんど変わりません。
たまに国土交通省の「空港脱炭素化プロジェクト」や「9月20日は空の日」といったポスターが現れます。普段駅で見かけてもきっと気にも留めないポスターも、これだけ殺風景な中で見るとついついじっくりと眺めてしまいます。
この通路もまた誰もいません。誰にも見られていないのを良いことに盛大にスキップでもしようかなと思った瞬間、向こうから二人組の警察官が現れるというできごとも。間一髪でした。
徐々ににぎやかな音が聞こえはじめ、成田空港第2ターミナルに到着しました。目の前は京成線の「空港第2ビル駅」、東成田駅とは違って、多数の人々でにぎわいます。
ちなみに、空港側から見た東成田駅の入口はこんな感じ。「日本一短い鉄道 – 芝山鉄道線」の案内もありますが、近づく人は誰もいません。
さてさて、せっかく成田空港に来たので、ちょこっと散策していくことにしました!フライト利用でないときだからこそ、見える物もあるはず・・・!
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