朝日長者七不思議の一つ『殺生石』は謎だらけ(九重町)

大分県

日本各地にその伝説が残る「殺生石」。大分県の九重町にもその名で伝えられる巨石があります。朝日長者伝説にちなんでいるとのことですが、いったいどのようなストーリーなのでしょうか。九尾の狐「玉藻前」との関係はあるのでしょうか。

訪問日:2024/4/8(月) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

大分県にもある殺生石

さて皆様、殺生石の時間です!

当ブログでは、那須(栃木県)真庭(岡山県)猪苗代(福島県)に続く3本目となる殺生石、今回は大分県の殺生石です。

殺生石というのは、大妖怪である九尾の狐・玉藻前(たまものまえ)が追い詰められた際に姿を変えたという石。毒気を放ち近づく者の命を奪ってきましたが、源翁(げんのう)という僧侶がこれを破壊。砕け散った殺生石の欠片は日本各地に飛び散って行きました。

Wikipediaによると「高田」と付く地名の3ヶ所に飛んだということが書かれており、その候補が以下の5つの高田。

・美作国高田(現・岡山県真庭市勝山)
・越後国高田(現・新潟県上越市)
・安芸国高田(現・広島県安芸高田市)
・豊後国高田(現・大分県豊後高田市)
・会津高田(現・福島県会津美里町)

今回、大分に行くことができたので、殺生石を探してみることにしました!

高田ではない場所

ということで、豊後高田市の殺生石情報を調べてみるも、びっくりするくらいヒットしません。が、なぜか玖珠郡九重町田野に殺生石があるという情報が流れてきました。

Google Mapで調べてみると、すぐに発見!人気観光スポット「九重“夢”大吊橋」のすぐ近くにあります。

豊後高田からはかなり離れていますが、なんらかの力で移動したのでしょうか。

岡山県の勝山はかつて「高田」であったように、旧地名が高田だったのではとも考えましたが、明確な記載が見つけられずです。

民家の隙間を抜けて

地名は気になりますが、とりあえず現地へとやってきました!殺生石があるのは、「筌(うけ)の口温泉」。数軒の温泉宿が建つ、小さな温泉街です。

殺生石があるのは、このブルーの建物とコンクリートの壁の間の細い道。

よく見るとしっかり案内板が設置されていますが、これは知らないと確実に見逃します。

通路の先に見える空き家の手前には、横向きの矢印が。行く手をはばむレンギョウの木の枝をよいしょっと持ち上げて進みます。

矢印の先は、石垣と家屋のわずかな隙間の道。さすがにこれは不安になりますが、他にルートも見当たらないので突っこんでいきます!

たどりついた殺生石

すぐに見えてきたのは案内板。

そして、その後ろに見える塊がおそらく殺生石。ツタが生い茂っていますが、近づいてみると石であることがわかります。

手入れはあまりされていないのか、そもそも殺生石なので人々は近づかないようにしているのかもしれません。

案内板によると、「石の下から有毒ガスが出ており虫や鳥や小獣が死んでいるのが見かけられた」とのこと。ただし、水路工事をしてからはガスがでなくなったそうです。ということは、近づいてもまったく問題は無さそう。

朝日長者伝説との関連は

この殺生石にはどのような謂れがあるのでしょうか?唯一の手掛かりは石のそばの案内板。それによると、この地に残る「朝日長者伝説」にちなんだ「朝日長者七不思議」のひとつであるそう。

朝日長者というのは、かつてこの地で広大な土地を持ち、贅沢を尽くしていたという人物。沈みそうになった夕陽を叫んで止めたという伝説があり、その名を国中に轟かせていたそう。ネットでみつけた長者伝説をいくつか読んでみたのですが、「殺生石」に関連するエピソードがでてきません。

他の七不思議は、長者に怒鳴られて静かになった「音無川」や、長者が好んで食べたという「青梅」「青たで」など、長者に関わるスポットがラインナップしていますが、この殺生石に関する説明は、さきほどの「石の下から有毒ガスが出ており虫や鳥や小獣が死んでいるのが見かけられた」のみ。

そもそも朝日長者と関連があるのでしょうか?

九尾の狐とは無関係?

この殺生石には、他の殺生石と同じように九尾の狐に関わる伝説はないのでしょうか。

先ほどの朝日長者伝説は「奈良時代初期」に編纂された豊後国風土記に、それと思われる記載があるそうです。

冒頭に記した九尾の狐が殺生石になったのは「平安時代の末期」、そして殺生石が打ち砕かれたのはその数百年後である「南北朝時代」。そのため、朝日長者伝説と結び付けるならば、九尾の狐伝説よりも前になります。

これはちょっとあやしい・・・と思ったのですが、そもそもこの地では「九尾の狐」「飛来した」といった殺生石の恒例ワードの記載がありません。私が勝手に飛来したものだと思い込んでおりましたが、もしかしたら全く無関係な殺生石なのかもしれません。そう考えると、豊後高田ではないことも全然おかしくはありませんね。

シンプルに「朝日長者の時代に有毒ガスが発生する石があり殺生石と呼ばれていた、もしくは後世になって名付けられた」と考えるのが自然でしょうか。「朝日長者が殺生石を止めた」や「朝日長者が殺生石を悪用した」、なんなら「朝日長者が名付けた」くらいでも良いので、何か関連エピソードがほしいところです。

 

私の殺生石めぐりはもうしばらく続きます!おそらく次の殺生石の記事は64日後くらいにアップされるはずです。

コメント

  1. 匿名 より:

    こんばんは!
    筌の口温泉は好きな温泉の一つなのですが、近くに殺生石があるとは…
    とか読み進めると、この殺生石、マニアック過ぎますて…! (゚Д゚;)

    • 匿名 より:

      コメントありがとうございます!筌の口温泉お好きなんですね!

      九尾の狐と無関係の可能性がある殺生石ですねー。このようなタイプの殺生石、もっとたくさんあるのではと推測してます

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