海を間近に望む姿が有名な六角堂。風光明媚な五浦海岸に彩を添えるこの建造物は、日本近代美術の発展に大きく貢献した岡倉天心が設計。思索の場所として使用されてきました。
海岸沿いの観光スポット
六角堂は茨城県北茨城市の五浦(いづら)に建てられています。受付はこちらの長屋門にて。入場料は大人400円です。
六角堂だけかと思いきや、海辺の遊歩道を歩いて六角堂や天心宅などをめぐるタイプの観光スポット。一周は150mほどできちんと整備されているため、気軽に楽しめます。
茨城県立天心記念美術館のすぐ近くであり、先に美術館で岡倉天心について学んでから訪問すると、より深く楽しめます。
まずは天心記念館から
順路にそって進むと、まず見えるのが天心記念館。
館内では、岡倉天心の略歴や天心と五浦の関係などを紹介したパネルなどが展示されており、イントロダクション的な施設です。
騒動によって、自らが開設に携わり校長を務めた東京美術学校を追われることになった天心。その直後に日本美術院を設立します。
天心は茨城県のこの五浦の土地を購入し、新たな拠点とすることを決意。日本美術院の絵画制作部門である第一部をここに移転、横山大観、菱田春草、下村観山、木村武山らの画家も家族とともにこの地へ移り住むことになります。
こちらは岡倉天心の設計した龍王丸。自ら作った船を浮かべて、釣りをしたりしていたそうです。
海のすぐそばに立つ六角堂
六角堂は、一段低い海辺に建っております。遊歩道を進んでいくと、まずは六角形の屋根が見えてきます。
こちらが岡倉天心が設計した六角堂。海辺の岩の上に立つ六角形のお堂で、正式名称は「観瀾亭」。「瀾」は大きな波を意味しており、「大波を観るためのあずまや」という意味だそう。
仏堂と茶室を合わせた造りとなっており、天心はここで瞑想に耽ったり、釣り糸を垂らして過ごしていたそう。中に入ることはできませんが、ガラス越しに外の景色を見ることはできます。きっとこんな感じで海を眺めて過ごしていたのでしょうね。
もともとは1905年に建てられましたが、東日本大震災によって台座板のみを残して流失。現在のお堂は2012年に再建されたものとなります。
その他の見どころ
六角堂以外にも、園内には天心に関連のある見どころがいくつかあります。
五浦の地に移り住んだ天心が暮らしていた天心邸。六角堂のすぐ近くにあり、日常的に六角堂へ足を運んでいたことが容易に推測されます。
天心の横顔が刻まれた亜細亜ハ一なりの石碑。はーなりってなんだろう、と思ったのですが、どうやら「Asia is one(亜細亜は1なり)」という意味のようです。石碑の文字は横山大観が揮毫したものとのこと。
法隆寺夢殿をイメージして作られた覆堂。この堂内ではラングドン・ウォーナー像が安置されています。
ウォーナーは、天心の教えを受けた美術史家で、太平洋戦争の際に、奈良や京都を爆撃対象から外すように政府に進言したといわれる人物。彼に対する感謝を込めた像や石碑は、日本各地に建てられています。
六角堂ビューポイント
さて、ここに来たならば「海辺に建つ六角堂の姿を遠くから眺めたい」と思う方もいるのではないでしょうか。
そんな方におすすめなのが、六角堂の受付から800mほどのところにある五浦岬公園。駐車場から園内を進んでいくと、白とブルーの爽やかな展望塔がそびえています。高さ16mのこの塔、実は東日本大震災の犠牲者を慰霊するために建てられた展望慰霊塔でもあります。
80段ほどの階段を登っていくと、崖に建つ六角堂の姿が見えてきます。望遠レンズがあると良いですが、スマホでもなんとか撮影できるくらいの距離。
この六角堂、日没から21:00まではライトアップも行っております。六角堂の受付は閉まっておりますが、ここからならばライトアップする姿を拝むことができるそうです。
アクセスと営業情報
最寄り駅は大津港駅ですが、3km程離れているため、徒歩だと45分ほどかかります。大津港駅からは北茨城市巡回バスもありますが、1日3本、さらに火木金限定のため、利用するのはなかなか難しそう。素直にタクシーがおすすめです。
車の場合は常磐自動車道の北茨城IC、およびいわき勿来ICより15分ほど。駐車場は受付から50mほど北側にあり、無料で利用できます。
開館時間 | 4月~9月:8:30~17:30 10・2・3月:8:30~17:00 11月~1月:8:30~16:30 |
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休館日 | 月曜 |
料金 | 400円 |
公式サイト | http://rokkakudo.izura.ibaraki.ac.jp/ |
※掲載の情報は2022年8月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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