京都の中心部から少し離れた大原において、最も人気のある寺院。自然豊かな境内には季節の花とグリーンの苔が魅力の2つの庭園が広がります。かわいらしい姿の「わらべ地蔵」が、訪れる人を優しく出迎えてくれます。
隠棲の里に建つ寺院
京都の市街地から北東の山中に広がる大原は、かつて仏教修行者が俗世間から離れて暮らす「隠棲の里」でした。現代においても、静かな雰囲気は残されており、少々コアな観光スポットとして根強い人気を誇ります。
大原にはいくつかの寺院がありますが、中でも一番知名度が高いのが今回紹介する三千院。
もともとは比叡山にあった円融房をルーツとした寺院で、度重なる移転を経て明治4年にこの大原の地へと移りました。その際に三千院という名前に変わり、現在に至ります。
聚碧園
受付を済ませると、まずは靴を脱いで客殿の内部へ。順路にそって進んでいくと、参拝者がくつろぐ日当たりの良い縁側が見えてきます。
目の前に広がるのが聚碧園(しゅへきえん)。眺めて楽しむタイプの池泉鑑賞式庭園で、江戸時代の茶人・金森宗和(かなもりそうわ)の作といわれています。
岩や築山を包み込む緑がとっても美しい。9月はハギやシュウカイドウがピンク色の花を咲かせて華やかに彩ります。
縁側に腰かけて鑑賞していると、穏やかな気持ちになってきます。落ち着きすぎて眠くなってきました・・・!
有清園
再度靴を履いて屋外へと進むと、今度は有清園(ゆうせいえん)という庭園へと繋がります。こちらは池泉回遊式庭園といって、歩いて様々な角度から鑑賞するタイプの日本庭園。
聚碧園と比べるとすっきりとした印象の庭園。園内に広がる弁天池には、まるで亀のような島が浮かびます。
周辺では地面を覆うように育つスギゴケが独特の情緒を感じさせてくれる。まるで絨毯の如く広がるグリーンがとってもあざやかです。
諸堂と仏像
平成元年に建立された金色不動堂。平安時代の僧である智証大師(円珍)作とされる金色不動明王を安置していますが、秘仏のため通常は閉扉されています。毎年4月に行われる不動大祭の期間に限り開扉されているそうです。
金色不動堂からさらに石段を登った先にある観音堂。こちらも平成10年に建立された比較的新しいお堂。内部では高さ3mの黄金の観音像を安置しています。
写真を撮り忘れてしまったのですが、有清園の側に往生極楽院というお堂が建っています。もともと三千院とは別の寺院でしたが、三千院がこの地に移転する際、吸収合併されたそう。堂内では国宝に指定された阿弥陀三尊像を安置しています。
苔とお地蔵様
境内に多くの見どころがある三千院ですが、人気なのがお地蔵様。普通のお地蔵様に比べてデフォルメされており、その姿はほぼ2頭身。彫刻家の杉村孝によってつくられたこのかわいらしいお地蔵様は、「わらべ地蔵」と名付けられています。
頬杖をついてコケの絨毯に寝転がっているお地蔵様。寝姿のお地蔵様って初めて見たのですが、とってもキュートですね!
木の根本で合掌するお地蔵様。少し難しそうな表情をしていますが、小首をかしげた立ち姿はやっぱりかわいらしい。
花の寺
境内にはあじさい苑があります。数千株にも及ぶアジサイが植えれており、6月中旬にはあざやかな花を咲かせて境内を彩ります。
今回は9月下旬頃の訪問であっあたためアジサイは終わっていましたが、境内を歩いていると様々な花を見ることができます。こちらの可憐な花はシュウメイギク。キクとは付きますが、菊ではなくアネモネの仲間です。
細く伸びたこちらの花は、ご祝儀袋などに用いられる水引に似ていることからミズヒキソウと名付けられています。表からみると赤い花ですが、穂先を持って裏側を見ると白くなっています。水引という名前に加えて、紅白カラーというとってもおめでたい花です。
ちょっとだけ毒々しい色合いのホトトギス。ホトトギスときくと「テッペンカケタカ」の鳴き声でお馴染みの鳥が有名ですが、植物にも同名の種が存在しています。花びらの斑点が鳥のホトトギスの胸の模様と似ているため、この名が付いたと言われています。
アクセスと拝観情報
京都駅からバスで約60分のバス停《大原》下車、そこから徒歩10分ほど。
車の場合は京都駅から約50分ほど。専用駐車場は無いため、周辺の民間のものを利用します。料金は300~500円程度でした。
開館時間 | 9:00~17:00 ※11月は8:30~17:00、12~2月は9:00~16:30 |
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料金 | 700円 |
公式サイト | http://www.sanzenin.or.jp/guide/index.html |
※掲載の情報は2021年12月時点のものです。最新情報は公式サイトにてご確認ください。
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