ゆったりとした空気が流れる、落ち着いた雰囲気の長湯温泉。開放的過ぎる露天風呂「ガニ湯」や、まるでジェットバスのようなラムネ温泉館など、見どころがたっぷりあります。今回は宿泊した翌日、早朝に散歩してみました。
落ち着いた雰囲気の温泉街
大分県竹田市にある長湯温泉は、「日本有数の炭酸泉」と称される温泉。
芹川の流れに沿って旅館が並ぶ落ち着いた雰囲気の温泉街が広がっており、バブル感もまったくない風情ある雰囲気が魅力です。
都会の喧騒を忘れて静かに過ごしたい方にぴったりな温泉。今回は紅葉館という温泉旅館の素泊まりでリーズナブルに宿泊してみました。
そんな静かな雰囲気であるため、お店も少な目。コンビニは「ヤマザキショップ」がありますが、20:00頃には閉店しておりました。
ちなみに、温泉街の入口には「道の駅ながゆ温泉」があったりします。ラムネ温泉館という日帰り入浴施設があるので車中泊もできそう、と思いきやこの温泉はちょっとだけ特殊です。詳しくは後ほど。
長湯のシンボル・ガニ湯
長湯温泉の名物といえば、川原にある無料露天風呂・ガニ湯。温泉街のほぼ中央にあるため、周辺のほとんどの旅館の客室から見えるというオープンエアな温泉です。
まず、行き方がわかりません!!!
すぐそこに見えていますが、川べりに降りるところが見当たらないのです。スマホで「ガニ湯 行き方」と調べてはじめたあたりで、入口らしき通路を発見。道路から見てガニ湯に背を向けた逆方向にありました。
階段を降りて道路下をくぐります。この道路下は過去に何かがあったような雰囲気。もしかしたら簡易的な脱衣場になっていたのかもしれません。
目隠しなどはない混浴スタイル。そして現状は脱衣所もありません。入浴難易度はかなり高いので、今回は手だけつかってみました。
なお、パイプでの引き湯なので、炭酸は抜けているとのことです。
温泉街の様々な見どころ
こちらの歴史が詰まっていそうな石塔。岡藩の城主が参勤交代で旅に出るのを見守るために建立されたものです。石工の仁兵衛と、その弟子であり岡城の天守閣修復を成し遂げた友二郎の合作であるそう。今は、旅の安全を見守る石塔としてこの地に置かれています。
ガニ湯の近くにあるのがスッポン供養碑。スッポンが多く生息しており、スッポン料理は長湯名物。近くにある「お食事処 正直屋」では、川魚料理に加えてスッポンメニューもそろっています。ちなみに、長湯温泉ではスッポンの事を「スポネ」と呼ぶそうです。
スッポン供養碑のそばにあるのは、ガニ湯縁結びおみくじ。自動販売機スタイルのカジュアルなおみくじです。
昔、川に住んでいた大きなカニが人間の女性に恋をしてしまい、毎日川の中からその女性を見つめていました。嵐で川が荒れた日、その大ガニはどこかへ消えてしまいます。嵐が過ぎ去ると、その大ガニがいた場所に温泉がわいた・・・これがガニ湯の発祥といわれる伝説とのこと。ガニ湯の「ガニ」は、蟹のことだったのですね!
歴史を感じる丸山公園
温泉街にある丸山公園は、天満社を中心とした公園。神社に加えて、湯ノ原薬師如来、八十八ヶ所めぐりや展望台、神の水など、多数の見どころがあります。
こちらのプレートに記されているのは薬用入浴剤「きき湯」生誕の地。ツムラの薬用入浴剤「きき湯」は、この長湯温泉の泉質を参考に開発されたそうです。
園内には陽光院薬泉堂というお堂が立っており、内部では飲用可能な温泉が湧いています。様々な病に効くそうで、かつて岡藩6代目藩主・中川久通公の妾である陽光院の次への持病を治したという話も残っています。
藤森照信建築・ラムネ温泉館
温泉街のはじっこにたたずむ、どことなくメルヘンチックな建物。こちらは日帰り入浴施設のラムネ温泉館。営業時間は10:00~22:00。
この雰囲気でピンと来た方はかなり鋭い!滋賀県の「ラコリーナ近江八幡」や長野県の「神長官守矢史料館」などで知られる建築家・藤森照信が設計しております。彼の作品の特徴のひとつである、「自然の素材」で造られた建築は、インパクトはありながらも素朴な雰囲気。(藤森作品の一覧はコチラ)
内湯はあったかく褐色の炭酸泉であり、外湯がラムネ温泉。シュワーとしたお湯は、まるでジェットバスのように気泡がたっぷり。輝く泡を身にまとう感覚は唯一無二です。
ただし、温度はかなり温め。ほぼ人肌と同じくらいです。地元の方の話によると、サウナのあとに入るのにちょうど良いらしいです。
また、この温泉施設はちょっと特殊なポイントがあります。温泉に殺菌・洗浄成分があるため、石鹸類の備え付けはなし。また、洗い場そのものがありません。使用が禁止というわけではなく、露天にある「高温汗室」というサウナのシャワーでならOKとのことです。
そして脱衣場にはドライヤーもありません。なんと、脱衣場を出たトイレ内に備え付けがあるという変わった仕様です。
基本的には近所に住んでいる人や近くの旅館に泊まってる人が外湯感覚で入るような雰囲気。1日の最後に体や髪を洗う、といったような利用にはちょっと不向きかもしれません。
ちなみに、この温泉はショップに加えてギャラリーも備えています。無料で見学できる上に、ネコが隠れていたりもしますよ!
こことは別に長生湯という町営温泉もあり、6:00〜22:00で入浴可能。料金は200円で、投函することで入口の回転バーが動くというユニークな支払い方法です。こちらも脱衣所にドライヤーは無いみたいです。長湯の人は、みんな髪の毛が短いのでしょうかね・・・?
そんなわけで長湯温泉の散策もおしまい。それほど広くもなく、狭くも無い温泉街は、徒歩で散策するのにちょうど良い広さ。リラックスできる温泉はもちろん、派手な看板などは一切ない落ち着いた雰囲気で心も体もリフレッシュできました!
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