出雲大社から車で約15分の出雲日御碕灯台。風光明媚な観光地として人気な灯台ですが、実は保存灯台・参観灯台・第1等灯台などなどとにかくいろいろなタイトルを持っています。この記事では出雲日御碕灯台の凄さを様々な切り口でご紹介したいと思います!
岬に立つ白亜の灯台
島根半島の西端に突き出した日御碕(ひのみさき)、そこにそびえるのは出雲日御碕灯台。明治36年(1903年)に設置されたもので、真っ白な姿が非常に美しい灯台です。
この灯台は夜になるとライトアップされることも。また、夕陽スポットとしても知られているので、日没を狙って訪問するのもありです。
周辺には海鮮メニューを扱う食堂や観光情報が集まるビジターセンターが立ち並びます。出雲大社から近いため、合わせて訪問する人が多く、とてもにぎやかな雰囲気。
歴史的な保存灯台
明治時代に造られたもので、今なお現役の灯台は全国に67基あります。1985年に結成された「灯台施設調査委員会」は、灯台の価値によってA~Dランクに区分。
そのうちAランクに指定された歴史的・文化財的価値が高い灯台は全部で23基。これらは保存灯台と呼ばれ、灯台施設保全委員会によって保存活動が行われているのです。
この出雲日御碕灯台もそんな保存灯台のひとつ。白亜の美しいルックスですが、よく見ると重厚な石造りをしています。石材は、県内で採掘された凝灰質砂岩が用いられているそうです。
2022年にはその価値が認められ、同じく島根県の美保関灯台、淡路島の江埼灯台と合わせて国の重要文化財にも指定されました。
登れる参観灯台
この灯台、一般人でも登ることができます。このような灯台を参観灯台というのですが、全国にわずか16基しかありません。
受付で入場料を支払ったら、163段の螺旋階段を登っていきます。観光施設ではないため、狭く急傾斜な階段。すれ違いが困難な箇所もあるので、降りてくる人に道を譲りながら進みます。
てっぺんまで登ると屋外へ出ることができます。開放的すぎる構造なのでなかなかのスリルですが、青い海の絶景が広がります。周辺には柱状節理や海蝕地形が広がっており、ダイナミックな景観です。
麓には灯台資料展示室も併設されています。こちらは無料で見学が可能。小さな展示室ですが、見やすいパネルやちょっとした豆知識などがあり、なかなか楽しめます。
激レアな第1等灯台
灯台で使用されているレンズにはその焦点距離によって等級が定められています。その中でも最も大きいレンズを「第1等レンズ」と呼び、それを備えている灯台を第1等灯台と呼びます。
そろそろしつこい気がしますが、なんとこの出雲日御碕灯台もそんな第1等灯台のひとつなのです!実際に最上部まで登ってみると、大きなレンズを観察することができます。
ところで第1等灯台って他にはどんな灯台があるのでしょうか。全部で何基あるのか気になったので調べてみました。
・犬吠埼灯台(千葉県)
・経ヶ岬灯台(京都府)
・角島灯台(山口県)
・室戸岬灯台(高知県)
・出雲日御碕灯台(島根県)
第1等灯台は全国にわずか5基しかありません。かなりスペシャルな灯台なのです。
なお、保存灯台・参観灯台・第1等灯台の3つを兼ねているのは、出雲日御碕灯台、犬吠埼灯台、角島灯台の3基のみ。出雲日御碕灯台すごいぞ!
5基だけの世界灯台100選
「世界灯台100選」というものがあります。世界各国の歴史的に重要な灯台が選出されており、日本からは5基が選出されています。
・犬吠埼灯台(千葉県)
・姫埼灯台(新潟県)
・神子元島灯台(静岡県)
・美保関灯台(島根県)
・出雲日御碕灯台(島根県)
お察しの通り、出雲日御碕灯台は選ばれています!
ここで気になるのは、さきほど第1等灯台にも名前が出てきた犬吠埼灯台。保存灯台・参観灯台・第1等灯台の3つが組み合わさって、さらに世界灯台100選にも選ばれているのは、出雲日御碕灯台と犬吠埼灯台だけ。
千葉県と島根県に立つ2つの灯台、東西の横綱的な感じでしょうかね。
日本一の石造灯台
出雲日御碕灯台の地上からの高さは43.65m、石造灯台としては日本一の灯塔の高さとのこと。改めて見ると、かなりの大きさです。
石造灯台という注釈付きの日本一とのことですが、日本一はどこなのでしょうか?
おそらくですがその回答となるのが横浜マリンタワー。展望塔として知られるタワーですが、灯台としての機能も兼ね備えています。
このマリンタワー、地上から塔頂までの高さはなんと101m。1990年にサウジアラビアにジッダ灯台(133m)が完成するまでは灯台としての高さは世界一!これは横浜マリンタワーが日本一で決まりだ!・・・と思いきや2008年に灯台が廃止。ということは、出雲日御碕灯台は石造りに限らず日本一の灯台なのでは!?
ということで「灯台のことなら」のキャッチフレーズでおなじみ、燈光会のホームページを見てみると灯塔の高さNo.1はこの出雲日御碕灯台となっていました。これはもう間違いないハズ・・・!
歴史もあり、高さも日本一で、さらに登ることもできる、出雲日御碕灯台はとってもスペシャルな灯台でした!あえて欠点をあげるとするならば、もし初訪問する灯台がここであった場合、それ以降に訪れる灯台は少し物足りなく感じてしまうという危険性でしょうか。
アクセスと見学情報
バスの場合はJR出雲市駅から約60分、出雲大社連絡所から約20分。車の場合は山陰自動車道の出雲ICから約30分、出雲大社から約20分。
バス停、駐車場(無料)からは徒歩5分ほどでアクセスできます。
内部見学時間 | 9:00~16:30 ※3~9月の土日祝は17:00まで |
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料金 | 300円 |
公式サイト | https://www.izumo-kankou.gr.jp/677 |
※掲載の情報は2022年6月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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